ライター:mpcsp079さん(最終更新日時:2015/11/13)投稿日:2015/11/1
この問題は難しい。おおくのレビューをまとめてみた。
この和訳は1983年にでたが、絶版か?
物性物理学のための 群論入門
http://www.amazon.co.jp/物性物理学のための-群論入門-G-バーンズ/dp/4563021539
①
群論を学ばずして物性物理を学ぶのは、歩き方を知らないまま走ろうとするようなものである。群論を学ぶことにより、今まであやふやだった物性物理に関する知識が、はっきりと理解した知識になるでしょう。
本書はGerald Burns”Introduction to Group Theory with Applications”の和訳であり、基本的な群論に関する部分と、物性物理に関係のある(固体のバンド理論など)部分を抜粋して訳してあり、物性物理を学ぶ上で大変有効である。数学的に凝り固まった証明などはなく、群論が物性物理においていかに有効であるかを丁寧に解説してくれている名著である。
■群論入門
http://www.amazon.co.jp/物性物理-物性化学のための群論入門-小野寺-嘉孝/dp/4785328061
この本のレビューだが・・・
①
群論は難しいですが、本書は実際に群論が物性においてどのように使われているのか図を多用して分かりやすく解説しています。数ある群論の参考書のなかでも理解し易い方だと思います。個人的にはラマン分光の専門書を読んでいて、群論のところでつまずいたので、本書を読んだところ大変役に立ちました。また、物理(自然科学)における対称性は一つの美であると本書を読んでいて感じます。群論の魅力を伝えてくれる良書だと思います。数学専攻の方には向いていませんが。
②
固体物理をある程度やっていると「摂動」「バンド図」といった概念が出てきますが、”なぜ”縮退が解けてエネルギー準位が分裂するのかサッパリ分かりませんでした。この本はそうした問題に群論を適用して具体的に理解させてくれます。何よりありがたいのはポイントが的確に絞られていて、煩雑な証明等に振り回されずに本質に近づける点です。物性用に「群論」の本を何冊も買いましたが、他の本では「要は何が言いたいんだ?」という疑問が常にありました。この本は、そういうのを頭からズバり答えてくれます。
③
群論入門という事ですが、入門というより、要約。
確かに簡潔に述べられ、例も挙げてありますが、初めて群論を学ぶ人には、この本だけでは、ちょっとしんどいと思います。
私のような者には、群論「超入門編」があったら有難い。
④
名前の通り物理・化学の為の応用群論の一番簡潔に書かれた入門書である。
量子力学に群論がどう使われているのか、また使われた際に解析学とは違い、群論はあくまで定性的なデータのみを提供する事。
そして、それらの対称操作によって物質の構造を解明して行く事が可能になる・・・・と言った事を図を多用し砕けた説明で展開してくれる。
実践的には全く使えないが、初めて群論を学ぶ人はこの本が一番いいのではないだろうか?
化学や物理のためのやさしい群論入門
http://www.amazon.co.jp/化学や物理のためのやさしい群論入門-藤永-茂/dp/4000051903/ref=pd_sim_14_1?ie=UTF8&dpID=41aINmp5XuL&dpSrc=sims&preST=_AC_UL160_SR112,160_&refRID=0YH5QSS5F5NN4JPG4HD1
レビュー
①
化学専攻者むけの群論の本の大半が、群の表現に必要な数学知識を当然もっていると前提にして書かれていたり、数学的なことをおざなりにして話を進めています。
そんな中にあって、本書は結構な部分を群の表現を行う上で必要な数学の解説にあてており、これを読むだけで本書を読み進めるための一通りの知識を得ることができます。
最初は「どこがやさしいんだよ?」と突っ込みを入れたくなりますが、読み進めるにつれて難儀した数学の部分が、本書の内容を理解する上で必要不可欠であると気付いて「やさしい」本であると実感出来ます。
どうやら本書は「易しい」本ではなく「優しい」本のようです。
②
著者の一人である藤永氏は有名な量子化学、化学物理の先生であり、分子軌道法(岩波)などの名著も書かれているが、この本も応用群論の本として名著と言われて来ている。
難易度はそんなに簡単でもないが(群論そのものが難しいから)、量子力学の基礎から線形代数の基礎など前半、後半に渡り丁寧に書かれていて、この一冊で様々な基礎が学べる様になっている。
そして後半は実際に群論から得られる、定性的データをどのように解析していくかを明快に説明している。
更にこの本の面白い特徴として、「続編」として12章として空間群についての記載がpdf形式でweb上で公開されており、点群についてや群論についてのプログラムの情報もある。
練習問題の解答もあるので、インターネット環境が整っている人は是非続編や付録があることも踏まえて本書に取りかかると良いと思う。
③
エンジニアリンクにおける群論のマスターは、その重要度が認知されながら、学問的なとっつきにくさ(という印象)から鬼門であり続けてきたと思う。本作の著者は専門分野のほか、多岐にわたる分野の執筆・翻訳などを手がけている。そのような博識を駆使し親しみやすい語り口で、もちろん学問的精密さを失うことなく、読み手を納得、理解させてくれる内容で綴られている。学んでみれば群論は便利である、と気づかせてくれる。
物質の対称性と群論
http://www.amazon.co.jp/物質の対称性と群論-今野-豊彦/dp/4320034090/ref=pd_sim_14_2?ie=UTF8&dpID=51MME8WFC3L&dpSrc=sims&preST=_AC_UL160_SR113,160_&refRID=0YH5QSS5F5NN4JPG4HD1
①
バンド図やスピン、フントの規則等の電子物性に関して固体論からもう一歩踏み込んで知りたいという人には良い本です。特に配位子場理論を詳しく扱った本は稀なので貴重です。ただし、肝心の群論の説明は大雑把なような気がします。群論のみなら他にもっと良い本はあります(例えば小野寺嘉孝氏の”物性物理 物性化学のための群論入門”)。しかし、群論をある程度知っていて、電子物性について詳しく知りたいという人には良いテキストです。本書で空間群やヤン−テラー効果などを学べば物性論への興味は更に深まると思います。見た目と内容は難しそうですが、分かりやすく丁寧に解説してくれているので嬉しいです。良書です。
②
様々な使い方が出来るとてもよく出来た本である。物性や化学系の人用に書かれた本としては一番丁寧だと思われる。他書が合わなかった人は一度手にとってほしい。レイアウト的にも見易い。本書は三部構成となっている。第一部、対称性と結晶学ではブラベー格子、点郡、空間郡をやる。ここが本書の見せ場で他書と違い図が非常に豊富である。第二部、群論と量子力学では題にある二つの他に球対称場での原子状態をやる。群論に一章しか割いていないのでこの本で群論を「初める」のは少しキツイ。第三部、物質の対称性とその応用では配位子場理論、分子軌道法、分子振動、バンド理論、テンソルを扱う。研究に必要なものとそうでないものがあると思うので研究分野に合わせてみると良い。付録も充実しておりページをコピーして切り抜き工作するものもある。キーワード:ステレオ図、シェーンフリース表記(←こういうを知りたいのなら本書が良い)、図:適切かつ豊富、演習:適時あり、解答:有り。
③
群論は多くの学生が涙するジャンルの一つですが、その解説書としては秀逸だと思います。
ただし、群論そのものの解説は、丁寧ではあるものの全くの初学者には少し難しいと思います。とりあえず物理化学の本あたりで群論を軽くさわり、IRやRaman活性を調べることのできる便利な概念があるんだなぁ、と知ってから読めばいいと思います。
化学系に必要な応用も事例と共に載っていますので、困ったときのために手元に一冊置いて損はない本です。
④
群論についての本はほとんどが数学書ですが、
いきなり抽象的な数学からスタートするので、化学系・物性物理系の方には一体何をしているのかが分かりにくいでしょう。
この本は群論については、エッセンスのみを紹介しています。
化学系の方にも、なぜ点群・結晶点群・空間群を使って対称性を表現すると便利なのかが分かりやすく書かれています。
⑤
たくさんのレビューアーが詳細を書いていらっしゃるので、自分の本書の使い方を簡単に紹介させてもらうと、まず第一章から順に全部読むのはちょっときつい。
点群や空間群は様々な決まり事あって、まずそれらの基本が最初に掲載されているが、これを丸暗記してから本題に入るよりは、ある程度群論の基礎は分かった上で、4章から読み始めるの6が効果的。
その後、配位子場や結晶場など群論が活躍する分野をそれぞれの用途で見つけ出して学習する事で、本書は非常に有用な専門書となりうる。
大直交定理など非常に重要な概念があるが、物理、化学で群論を使う立場であるならば、数学的な厳密性は追求する必要は無く、その辺はどんどん結果を納得する形で素早く吸収しながら、読み進めると良い。
あまり参考になっていないかもしれないが、群論の和書としては非常に優れた本である事は間違いない。
⑥
群論の説明は最低限に抑えてあるため、数学的詳細や物理への多様な応用についてより詳しく知りたい人は他書を参照する必要があるだろう。
しかしながら、群論を実際に使って問題を解くための必要最小限の内容はきちんと解説されている。
この最小限の群論の知識を用いて、配位子場理論、分子振動、バンド理論などが丁寧に解説されている。
記述はわかりやすく、明快である。もちろん、実際の研究に応用するにはより進んだ本を読む必要があるだろうが、「物質の対称性」と「物質の性質」の関係を理解するにあたって、群論がどのように威力を発揮するのかをつかむことができる。
この本をしっかりと読んだ後に、各自が必要とすることを補っていけばいいだろう。
⑦
この本は点群・空間群や個々の対象操作など、物質の対称性について、基礎から出発し、
それが化学や物質科学へと如何に応用されているかを明快かつ丁寧に記しています。
例題や図も充実しており、基礎からきっちりと学びたい人にうってつけです。
International Tablesをいきなり読むのはちょっと……という
結晶学・空間群を学び始めた方にも大きな助けとなるでしょう。
物質の構造を調べることに携わってる方には、同じ著者の「物質からの回折と結像」もおすすめです。
こちらも、回折現象について基礎から実用的なレベルまで丁寧に記してあります。