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固体物理と群論の参考書レビュー集2

ライター:mpcsp079さん(最終更新日時:2016/4/12)投稿日:2015/11/1    

 

   この問題は難しい

 


群論入門 対称性をはかる数学 (ブルーバックス)   

http://www.amazon.co.jp/群論入門-対称性をはかる数学-ブルーバックス-芳沢-光雄/dp/4062579170/ref=pd_cp_14_3?ie=UTF8&refRID=0YH5QSS5F5NN4JPG4HD1

 

           


レビュー

本書は正統派数学書の部類である。ブルーバックスは科学読み物から本書のような本格派まであり、その点を見誤らないよう購入前に注意が必要だ。

さて、本書前半は群論の基礎を、豊富な具体例や図表を用いながら丁寧に議論している。松坂和夫『代数系入門』などの定番書に取り組む前、あるいは片手に置けば、群論についての理解が進むと思われる。

一方、後半は著者のかつての専門分野であるデザイン論の色あいが強まる。果たしてブルーバックスの一冊としてここまで踏み込む必要があるのか、やや疑問が残った。

なお、著者はもともと代数学が専門であり、その後は数学教育の世界に転身した異色の数学者である。

 


1)群論の入門書として、今まで何冊かの本を読んだ。
放送大学の「代数の考え方」(2010年印刷教材 梅田亨著)は本格的な教科書であり頑張ったものの、理解が伴わす苦労したが、これが群論への興味を覚える最初の本となった。
・そのあと「群論への30講」(朝倉書店、志賀浩二著)にチャレンジしたが、何度読み返しても「商群」の概念がどうしてもつかめず、後半の4割部分を残してギブアップ。
・次いで入手した「初めての群論」(日本評論社、斎藤正彦著)は一通り読み終わったが、あまりの誤植の多さに果たして正確に理解できたかどうかにも疑問が出る始末(本文170ページ中に私が誤植と判断した部分が30か所余り)。
・その後ガロアの5次方程式の話が気になって、「ガロア群論」(講談社ブルーバックス、中村亨著)を読んだが消化不良気味に終わったので、
・「本質を学ぶガロア理論最短コース」(日本評論社、梶原健著)を入手したが、これは著者の「独自な用語(「配置」を「変えない」「入れ換え」?)に惑わされて理解できず、2500円+Taxの無駄使いに終わった。

そして今回この本を読んだ。延23日、1日平均1時間半、部分的には1ページに2~3日かけて徹底的に理解しようとして読んだ。本書は単なる数学読み物ではなく、用語の定義を明確に述べ、定理とその証明をきちんと記載した論理構成で書かれており、段階を踏んで読み進める必要がある本、いわば教科書的な書き方となっている。こうした教科書的に書かれた群論の本として私には今まで読んだどの本よりもよくできていると感じた。もちろん今までに読んだ本があったから理解しやすかったのかもしれないが、論理構成の自然さ、適切な例題と図による説明が理解を助けてくれたと思う。その意味で、大学理数系学部教養課程レベルの数学として群論に興味がある人にはおすすめできる本だとの印象を持った。

(2) とはいえ、多少の不満も残った。
第5章までの丁寧な書き方に比べて、第6章のわかりにくさが目立つ。著者は「ここからの議論では理解しがたい部分もあるかもしれない。6章1節の例1および6章2節の例3は、そのような部分をなるべく乗り越えられるように述べた面もある」(p159)と書いているが、本当にわかりにくいのは「ここから」ではなく、「6章1節の例1および6章2節の例3」の方である。突然まったく意味不明な「デザイン」という言葉とその表記法が定義され例が掲げられているがなぜこれが例示となるのかの説明が一切ないのはあまりに不親切。加えて、この「デザイン」という言葉はその後の本文では出てこないので、何のためここに書かれているかが理解できない。本書のページ数の制約から説明を端折ってしまったのだろうか。また、「ラテン方陣の完全直交系」という理論は確かに群論の手法、知識がないと理解できないものであることは自明だが、群論という学問における「ラテン方陣」という問題の位置づけが不鮮明。第6章は果たしてこの本に必要であったのだろうか、という疑問が残った。

「自明」で思い出した。p154に「・・・は互いに直交するラテン方陣であることはやさしくわかる」とあるが、この内容(「・・・の部分」が「直交するラテン方陣であること」を理解するのに、私はのべ2日4時間かかった。残念ながら著者も例にもれず、初学者がどこで躓くかということに対して理解が及ばないようだ。数学で躓く箇所は、常に、「だから」「したがって」「当然ながら」「自明である」と書かれた部分であることをもっとわかってほしいと思うが、これはかなわぬ夢のようだ。

その他些細な点ではあるが、
・置換の合成記号として〇を使い、例えば、「g 〇 fで表す。・・・g〇fを単にg fで表すこともある。」(p18) となっているため、次の部分の理解に手間取った。
「Gの元の内 (α β) (γ δ) ({α,β,γ,δ}={1,2,3,4})という形をした元は・・・」(p121)
(注、上記Gの元は3種類ではなく、ある特定の元、すなわち 「(α β)о(γ δ)」であって、「ただしここで{α,β,γ,δ}={1,2,3,4}」を意味していると気づくのに時間がかかった。)
・同様な点が、巡回置換の表示として、要素間にコンマを入れる書き方と入れない書き方を混在させているため(P25 2行目)、p119の定理1の式の意味の理解に無用の時間を取られた。初学者の常として、定義済みの表記法を忘れて表記された数式の意味の理解ができなくなるということを考えて、今一歩親切な表示ができなかったものか。
・p144下から4行目のR2(Rの2乗)の一次元部分空間の表現式の中の α∈Rとあるのは、γ∈Rの間違いと思われる。ただ、たった1か所しか誤植を見つけられなかったというのは、著者によるきちんとした校正ができている証拠だと思う。数学書の中には校正を出版社の数学を知らない担当者任せにしたと思われる本(上記「初めての群論」)があり、極端に誤植の多い本には時折ひどい目にあうので、誤植のない本は本当にありがたい。

微分積分の学びは、多くの計算問題をこなしていく学びは良いと経験的に悟っています。
しかし群論などの学びは、異なる例を交えて論理を積み重ねていく学びが良いと本書で感じました。
著者はダイオキシン異性体をどこかの雑誌に書いていましたが、化学でも群論が関係することを暗示したいのかと思いました。

内容を云々する前に、電子書籍としては最低!
書籍版をスキャナーで画像にし、それをKindle版にしたという、手抜き電子書籍
テキストベースではないので、文字の拡大ができず、非常に見にくい。
画像として拡大はできるが、扱いにくいことこの上ない。
数式が電子書籍の障害となるなら、まずは、それをどのように表現するかを考えるべきだろう(Wikipediaに置ける数式の扱い方などを参照に)。
BlueBacksの多くがこのような形で供給されるのなら、失敗するだろう。

数・ベクトル・行列・多項式などの演算では足し算や引き算ができる。これらをまとめて統一して抽象的にまとめて一括に議論した方がほう便利だというわけです。
整数全体の集合 Zの中での演算では足し算や引き算ができ、その結果も整数になる。よって加法と減法について閉じているので加法群をなすという。これは可換群でもある。
「群とは対称性を測るものである」。
たとえば平行移動や回転の繰返しから生じます。これらの幾何的変換とその繰返しを群とみることができます。あみだくじもルービックキューブも「置換群」といって何らか操作を繰り返すことで「もとに戻す」ことができます。
長方形は対称軸がたて、よこの2本しかないが正方形は対角線の2本も加えて4本ある。この対称軸で折り返す操作を鏡映変換という、次に回転させて見ると長方形は180度回転で不変である、正方形ではそれに加えて90,270度回転でも不変である。
正三角形をそれ自身に移す平面上の回転変換は0度、120度、240度の三種類で、これらは群を構成します。正三角形には回転すると元の位置に重なるという対称性がある。何もしない操作や裏返しも含め,位数6の群が得られる。この群は位数2の群を回転のなす位数3の群で拡大したものと解釈できる。一般に,有限群は有限単純群の拡大の繰り返しでできている。最も簡単な有限単純群素数位数巡回群である。
群の定義は簡単で、結合法則をみたす二項演算が定義され、単位元という特別な元が存在し、各元に逆元が存在すること。こんな簡単な抽象概念が「対称性」を記述する強力な道具であるということが驚きである。
同形とは2つの群の間の元の対応が、1対1で、各々の元の集合が同じ群の表をみたしていること。
本書93ページの自己同型群を駐車場の移動問題で説明しているのが面白い。
準同形とは群の間の元の対応が、2対1(または多対1)で、しかし積の関係は保存されていること。写像とはレントゲン写真と同じで写真に写ったモノはもとの基本的な性質を保存している。つまり、二項演算という「代数構造」を保っている。要するに、準同形写像とは、演算を写像する前に行っても、写像する後で行っても、結果が同じになるという写像のこと。
剰余類を考える利点は、無限個存在する数を有限個に類別して考察しやすくすることにある。
剰余類群(商群)は、群の元を剰余類にグループ分けしたものを元とする群です。
可換群(アベール群、ガロア群)の場合には右剰余群と左剰余群は常に一致する。また有限群の場合左右の剰余群の個数は同じである。 Gを自然数の集合とすると、その元aのすべての冪a^nからなる集合をHとすれば、HはGの部分群である。具体的な例でa=3とすれば、その冪はH={3,9,27,81,・・}で部分群。これは巡回群で可換群でもある。数値の3は生成元という。連続的な変換=無限個の元から成る群。
たとえば円をそれ自身に移す平面上の回転変換は0度から360度まで無限に存在します。
併読おすすめ参考書「幾何の魔術―魔方陣から現代数学へ」
動画you tubeでもっとわかりやすいが「五次方程式が代数的に解けないわけ」の動画です。

   著者の御本には、校正作業が雑なもの(角川oneテーマ、丸善)、中身は良いが題名に違和感を覚えるもの(光文社新書、じっぴ新書)もあり、玉石混合の印象をもっておりました。
版元さんの姿勢までは存じませんが、講談社からの御本、とくにブルーバックスの御本はよく仕上がっている印象があります。「新体系・高校(中学)数学の教科書」は多くの点で評価したいものです。安田亨氏の名著「入試数学伝説の良問100」に隠れて最近は見掛けなくなった「出題者心理から見た入試数学」も、マークシートの問題点やインドの大学入試問題のほかに、統計のベンフォードの法則を膨大な大学入試問題でチェックされたデータなどもあって、興味深い御本だと思いました。
レビューに書かせていただく「群論入門」を拝読して率直に思ったことは、論理的にしっかり組み立てられる点は昔の著者そのままですが、ご自身で作られたゲームなどをも使って「群」を視覚的に理解させようとされる点は、群論や組合せ論から数学教育に身を投じられて得た教訓が生きているように感じるところです。
昨今は「高校生でも読める本」という言葉をよく耳にしますが、本書は途中の証明も含めて真に高校生にも読めるようになっております。もっとも、群論の入門を学ぶには微分積分は不必要だという利点もあるでしょう。
本書は非常に丁寧にお書きになっていることを示す一例を挙げますと、大学の代数学の教科書にもなっている永尾汎先生の名著「代数学」(朝倉書店)に、5次以上の交代群の単純性の証明があります。5次方程式は一般に解けないことと深く関係する定理ですが、本書は「代数学」における証明の倍以上の分量を使って、その定理を懇切丁寧に書かれております。
その他にも、元・群論らしく非可換な群の例が豊富であることは当然としても、剰余類や剰余群を視覚的に理解できるように丁寧な図をお描きになっており、著書が数学教育に身を投じられた成果を感じます。        

 


■対称性からの群論入門 (Undergraduate Texts in Mathema)                                                  

http://www.amazon.co.jp/対称性からの群論入門-Undergraduate-Texts-Mathema-M-A-アームストロング/dp/4621061623

        



 
内容は良い本だと思います。
群論という抽象的になりがちな数学を一つずつイメージがわくように丁寧に構成してあります。

ただ翻訳がひどい。
日本語として異常な、エキサイト翻訳にかけたんじゃないか、という直訳が多い。
なぜ数学の勉強をしたいのに文章を解読する作業が必要なんだと。

15章の問題演習7の数学的な内容を完全に無視したひどすぎる誤訳を前に私は読むのをあきらめました。
原著で英語の方がまだ読みやすいと思うので、こっちに切り替えます。高いけど。 

「群とは対称性を測るものである」本書は、とくに変換(演算子、作用、操作とも言う)の集合と、変換を合成する演算で定義する群を扱います。
たとえば平行移動や回転の繰返しから生じます。これらの幾何的変換とその繰返しを群とみることができます。あみだくじもルービックキューブも「置換群」といって何らか操作を繰り返すことで「もとに戻す」ことができます。
長方形は対称軸がたて、よこの2本しかないが正方形は対角線の2本も加えて4本ある。この対称軸で折り返す操作を鏡映変換という、次に回転させて見ると長方形は180度回転で不変である、正方形ではそれに加えて90,270度回転でも不変である。
正三角形をそれ自身に移す平面上の回転変換は0度、120度、240度の三種類で、これらは群を構成します。正三角形には回転すると元の位置に重なるという対称性がある。何もしない操作や裏返しも含め,位数6の群が得られる。この群は位数2の群を回転のなす位数3の群で拡大したものと解釈できる。一般に,有限群は有限単純群の拡大の繰り返しでできている。最も簡単な有限単純群素数位数巡回群である。
群の定義は簡単で、結合法則をみたす二項演算が定義され、単位元という特別な元が存在し、各元に逆元が存在すること。
こんな簡単な概念が「対称性」を記述する強力な道具であるということが驚きである。<br />同形とは2つの群の間の元の対応が、1対1で、各々の元の集合が同じ群の表をみたしていること。
準同形とは群の間の元の対応が、2対1(または多対1)で、しかし積の関係は保存されていること。写像とはレントゲン写真と同じで写真に写ったモノはもとの基本的な性質を保存している。つまり、二項演算という「代数構造」を保っている。要するに、準同形写像とは、演算を写像する前に行っても、写像する後で行っても、結果が同じになるという写像のこと。
剰余類を考える利点は、無限個存在する数を有限個に類別して考察しやすくすることにある。
剰余類群(商群)は、群の元を剰余類にグループ分けしたものを元とする群です。
可換群(アベール群、ガロア群)の場合には右剰余群と左剰余群は常に一致する。また有限群の場合左右の剰余群の個数は同じである。 Gを自然数の集合とすると、その元aのすべての冪a^nからなる集合をHとすれば、HはGの部分群である。具体的な例でa=3とすれば、その冪はH={3,9,27,81,・・}で部分群。これは巡回群で可換群でもある。数値の3は生成元という。連続的な変換から成る、したがって無限個の元から成る群を扱います。
たとえば円をそれ自身に移す平面上の回転変換は0度から360度まで無限に存在します。
群の連続性は元と元をつなげる無限小の変化から生まれます。
この無限小変化の生成元を取り出したものをリー代数と呼びます。
リー代数に対して、固有値に類似したウエイトとルートという指標を考えます。
そして、連続群の構造をリー代数のウエイトとルートを通して探ります。

現代制御理論で、群論を使っていたはずなのですが、結果は納得できても、経過を納得していませんでした。

群論が対称性という視点で理解しようとすると、分かりやすいことがなんとなくつかめるかもしれません。

そのきっかけになるかもしれない本です。 

まだ群論は始めてから半年くらいで色々な本を漁りながら貪り読んでいる最中なのですが、
「雑学家」さんのレビューの通りにとても分かりやすい本ですね。
素人としては、群論って定義ばかり書いてあっても退屈してしまい、面白いページまで行き着かずに
熟睡して撃沈というパターンが多いと思うのです。
その点、概念を図で表現してくれる本書は分かりやすくていいです。
(稲葉 栄次氏の「群論入門 (新数学シリーズ 7)」、W.マグナス氏の「群とグラフ (1970年) (SMSG新数学双書〈4〉)」も好きです)
「2面体群」という概念は、私が不勉強のせいかもしれませんが初めて見ました。なるほど...

「群とは対称性を測るものである」という、まえがきの言葉には頭が痺れます!凄い!
これで、人に「群論って何?」と聞かれても説明出来ます(滅多に聞かれる事なんて無いですが...)。

 


応用群論

http://www.amazon.co.jp/応用群論―群表現と物理学-犬井-鉄郎/dp/4785328010

 

         

群の表現論の物理への応用を解説した本である。なぜ物理で群論を使うのかと言えば、物理では対称性の役割が重要であり、群の表現論は対称性を記述する数学だからである。
この本は、群論を学ぶ動機付けから話を始め、群論の基礎と線形代数を解説し、群の表現の定義を与え、量子力学固体物理量子化学・統計物理などへの応用を展開している。とくに回転群と空間群、分子や結晶の電子状態の対称性の解説が詳しい。時間反転対称性と磁性体の対称性の議論があるところも面白い。また、相転移ランダウ理論の解説も、ランダウ、リフシッツの統計物理学の教科書よりも丁寧になされている部分がある。
何よりも物理的な例が豊富であり、これは数学の本としてよりも物理の本として読む方が適切だろうと思われる。言葉遣いは古臭くなく、図もたくさんあって理解を助けてくれる。表紙や各章の見出しに対称性を持った日本の文様(紋様)が描かれており、目を楽しませてくれる。
1950年に発行された犬井鉄郎、柳川禎章の共著「群表現と原子および分子」を犬井、田辺、小野寺の3氏が全面的に書き改めて、1976年に標題名で出版した。それを増補して1980年に出された版が現在のものである。日本語で書かれた群論の物理への応用の解説書としては決定版と言ってもよいと思えるほど完成度の高い本である。1990年には英訳もされている。遡れば、1940年に書かれた「群論の応用」が原型かもしれない。これよりも遡るならば、ワイルやウィグナーやファン・デァ・ヴェルデンの古典的名著に当たらなければならないのではないだろうか。
本の読み方・評価の仕方は人それぞれある。他人の評価に追従すべきだとは思わないが、私にはこの本はきわめて良い本に思える。数学・物理に対するある程度の知識と興味を持っていて、少し根気があれば十分に読みこなせるし、どの項目を読んでも得るところのある本だと思われる。

この本乱暴。レイアウトも悪い。
応用例についてもよくない。
物質の対称性と群論 今野 豊彦 (著)のほうがずっと分かり易いし、
しかも安い。
既約表現の部分についてもとにかくわかりにくい。

今野氏の本の補足として本書を購入したが、結局時間とお金の無駄だった。
たとえ他人が、名著だと賞賛しても、80年代以前の本を購入する際は
注意が必要だと思う。