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固体物理と群論の参考書レビュー集3、参考文献

ライター:mpcsp079さん(最終更新日時:2016/4/12)投稿日:2015/11/13    

 

    この問題は難しい

 


群の発見 (数学、この大きな流れ)

群の発見 (数学、この大きな流れ)

http://www.amazon.co.jp/群の発見-数学、この大きな流れ-原田-耕一郎/dp/4000067915

         


本書は代数方程式に存在する対称性を扱ったガロア理論の入門書である。群論としては主に有限群を対象にしている。本書を読み進めていくと読者は驚きや感嘆をするところが、随所に見られると思う。5次方程式の解法を見いだすためのラグランジュの考え方に見られる逆転の発想、体のシンメトリーに見られる体のガロア拡大、そしてガロア理論そのものなどの素晴らしさを列挙することができる。群論そのものの勉強には少し不向きかもしれないが、ガロア理論の入門として本書を捉えるならば、とてもよく書かれた書物だと思います。鉛筆とノート片手にゆっくりと問いなどをこなしていけば、おもしろさも増大すると思います。 

入門書では無いようです。でも入門書のような語り口(図形の対称性といった)で開始されます。でも本書はガロア理論が目標です。現在では代数方程式の解法とは無関係にガロア理論は構築されているようですが、足場を見せる本書では代数方程式の解法から所謂「本編」が始まります。そして代数方程式の冪根や「体」、可換環の知識が必要になってきます(通り一遍な解説はあります)。でも既約多項式については説明がありません。読み進めば意味するところが判ってはきます。なので章を追うごとに「えっそんな予備知識も仮定されていたの?」とだまし討ちにあったような気になります。補題として証明すべきことが研究課題、問題として提示されているだけの場合がほとんどです(証明のヒントはありますが、どちらかというと具体例から法則性を帰納させる方法をとる)。論理の飛躍も章を追うごとに大きくなります。

だけど、とてもよい本です。ガロアガロア理論という「舞」を構築するに中ってその「舞台」である「体」の理論を充実させる必然があったのです。「体」の公理や有理数、実数、複素数が「体」であることは数学に興味があれば誰でも知っているでしょう。その程度の知識だけでも、そしてかつ、「不十分」というしかない説明でも、自然と読者に考えさせ、ガロアが「体」に対して見ていった深みを自ら見ることができるようになっています。著者が意図したのかどうかは判りませんが絶妙です。そうして初めて「体」という概念の重要性が理解できます(できました)。

「群の発見」というのに「体」での考察がほとんどなので評者も「体」についてばかり書きましたが、「体」という大地の上に広がる「群」というさらに広大な宇宙を発見した物語なものですから。。最後に「同型写像」「準同型写像」はとても強力な武器ですねー。

自分には「星5つ」ですが、この本のスタイルにはなじめない人もいるでしょうということで「星4つ」です。

すばらしい群論入門書である。学部時代にこのような本で群論を勉強したかった。
すっきりとした語り口、丁寧な説明と豊富な例、そして親切な問を読み進めるうちにガロア理論が身についてしまうような名入門書だ。まさに「ラグランジュ、アーベル、ガロアの足跡をたどりながら」群論の成り立ちがだんだん明らかになっていく「小説群論」。この本は数学科の学生はもとより、物理や化学や情報工学の学生にこそ是非読んでもらいたい。
著者の原田さんは、すばらしい業績を持つ有限群論を専門とする数学者である。同じ著者の「モンスター/群のひろがり」も大変面白い。 

最初は読み易いと思ったが挫折する本。まず群論の入門書、「すぐわかる代数」石村園子、「代数的構造」遠山啓、「入門入門群論石谷茂、などもっと読みやすく書かれた本で予備知識を得ることを薦めます。ガロア理論についてはネットで「Gの夢」「ガロア理論入門ノート」や「物理のかぎしっぽ」のHPを読むこと。「すべての人に数学を」小針アキヒロ、数セミ増刊号「代数学への招待」、もお薦めします「アーベルの証明」山下訳 「群と幾何学」難波誠の2冊をこの本の最後部分の理解に参考書として紹介させていただきます。この時代の数学史としては「なぜこの方程式は解けないか?」「シンメトリーとモンスター 」も超お薦めです。
ネットの東京大学 オープンキャンパス 2004 [模擬講義]映像公開講座を先に見よう。
楕円曲線については「数論とフェルマーの最終定理」久我 勝利、「ドクトル・クーガーの数学講座」久賀 道郎、「数学への旅〈2〉数論とトポロジー 」山下 純一がわかりやすいです。ネットの下記HPの名解説は必見です
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ネットで松田研究室の「ガロア理論入門ノート概略・詳説」
は必見です。関連本「現代数学の土壌〈2〉」にも原田先生のガロア理論解説があります。
数学では、対称性を研究する分野を、群論と呼んでいます。対称性は、何らかの数学的構造を、自分自身に重ね合わせるすべての変換を考えることで表されます。こうした変換の全体は、立て続けに2つのこうした変換をおこなったもの(2つの変換の合成と言います)や何もしない変換(恒等変換と言います)や元に戻す変換(逆変換と言います)で閉じています。これが群です。例えば、平面上に定点Oを考えますと、Oを基点とする平面上の位置ベクトルの全体は通常のベクトルの足し算とスカラー倍で線形構造という数学的構造を定めますが、これの対称性は、逆行列を持つ2×2の行列の全体で表されます。合成変換は行列の掛け算に、恒等変換は単位行列に、逆変換は逆行列をとる操作に対応します。この群は、無数の要素から成る連続群の一例です。他方、正三角形を自分自身に移すような合同変換(長さを保つ変換)は、重心の回りの120度、240度、360度の回転、それから3つの中線のそれぞれに関する180度の回転の合計6個のみで、有限群です。物理学でも、どんどん分解できないものを求めて、分子、原子、素粒子と進んでいき、その究極のものを数え上げようとしますが、群論でも、いかなる意味でも分解できないような群は単純群と呼ばれて、これを分類することは大変重要な問題です。
なお、群論の大家が書かれたこの本はガロア理論群論の歴史を知る素晴らしい名著です。

3次方程式と4次方程式の解法を解説した後、ルフィニとアーベルの仕事である「5次以上の方程式にはベキ根による解法が存在しない」ことを説明します。更にn次方程式のベキ根による解法の可否を判定するガロア理論が解説されています。この一連の流れによって、代数方程式に取り組んだ数学者達の巧妙な解法に感心すると共に、ガロアの仕事の独創性に驚かずにはいられません。本書を読むことによってガロアの卓越した才能を知ることが出来ます。

 また、本書には、1)シローの定理など群論の基礎、2)ガロアが友人に最後に宛てた手紙(数学の論文)、3)アーベルとガロアの伝記が含まれています。これらはそれぞれ面白いのですが、多くの内容を一冊に詰め込んでいるせいで肝心のガロア理論の解説が雑で少し不十分であるのと、群論の基礎の項目において証明に大きな飛躍があるのが残念です。また、本書の内容を理解するためには、群・環・体の基礎知識が必要だと思います。よって、純粋に群論ガロア理論について学びたい読者にはあまり向いておらず、「群の発見」というタイトルが表す通り、群論が誕生した背景を知りたい人向きです。

代数の本はそれが平易な本と評判であっても、数学書のスタイルで書かれていることで
最終的な到達点でどういったことをしたいのかというモチベーションがわからず面白みがないものがあったりするようだ。

この本は歴史書の側面もあり、どういった背景で群、環、体という概念が生まれ、
ガロアが向かった方向において必要なものとして使われてきたかという背景を共有した上で
書かれているため非常にわかりやすい。

章を追うごとに難しくはなるので、他の本で予備知識を補いながら通読することで
代数をイメージを持った形で体得できると思う。

ガロア理論群論の要点が扱われ、読者が研究課題を通じて自ら理解するように書かれている.必要なことだけが丁寧に書かれ、発見が多い本だった.集合と違い群には構造があること、代数方程式の可解性での1のべき乗根の役割、数学的帰納法の使い方、正規化群と中心化群、固定群、S5(5次対称群)の構造、シローの定理など、学んだことが多かった.図形のシンメトリーの議論から始まるので最初の方を読み飛ばし、後で読み返す羽目になった.「群の発見」とされているが、群論の予備知識が相当必要なのではないか?

この本にガロアの最後の手紙を詳細に解読しているところがあります。あの手紙でガロアが何を書いたのか、著者の詳細な解説で掘り起こされていくのです(自分は全く理解できませんが)。それだけでも非常に興味深いユニークな本です。ガロアに興味がある、というだけの方にも一読の価値はあると思います。

次、3次、4次方程式の根の置換を考察して、それを夢をもって5次方程式の解法へと不可能な挑戦をしたことが、結果として群の概念を誕生させたことが良く分かる。夢を抱いてチャレンジすれば、失敗しても、その失敗から得るものがあることを数学の世界で紹介している良書である。

かなり難しかった。例題が少なく、抽象的で、具体的なイメージが湧かない。しかし、群論を公式や定理の洪水から学ぶより、その理論がどこへ行くのか、なぜ生まれたのかを元に構成されているので、興味は湧く。ここから教科書へ返ってやり直すのが一番かな・・・。

 


■結晶群 (共立講座 数学探 )

http://www.amazon.co.jp/結晶群-共立講座-数学探検-河野-俊丈/dp/432011180X

 

         

■不変量と対称性

http://www.amazon.co.jp/不変量と対称性―現代数学のこころ-ちくま学芸文庫-今井-淳/dp/4480095217

          


副題にあるように,「現代数学のこころ」を描く数学エッセイ集である.問題を深く掘り下げてみると見えてくる数学の本質を,なるべく易しく紹介することを目的として書かれたものであるが,非常に初歩的な事柄を詳しく説明してあるかと思えば,かなり高級な数学が説明なしに使われたりしているので,どの程度のレベルの読者を想定して書かれたのか首をかしげるところがある.
内容は7つの話題から成り,第1章と第7章を中村博昭氏(整数論)第4章を寺尾宏明氏(特異点組み合わせ論),その他を今井淳氏(トポロジー)が執筆している.配列順序は特に意味がないようだが,「執筆者が前後対称」にはなっている.第1章は代数方程式のガロア理論の紹介,第2章,第6章は2次元トポロジー関連の話題,第3章は置換群の話,第4章は鏡映群のコセクター理論の紹介,第5章は結び目理論のジョーンズ多項式の紹介,第7章は著者自身の研究の紹介で,相似で分類した三角形の全体をモジュライ空間としてとらえる話である.
教科書風の数学の嫌いな,数学愛好者にお勧めの一冊である. 

面白そうな2,5,6,7章を見ました。比較的一般向きな本にもかかわらず、読みましたとはよう言いませんが、特に7章が非常に面白かったです。三角形の相似は同値と見てその同値類全体が複素単位円になり、原点が正三角形類、実軸が二等辺三角形の相似類全体、直角三角形の相似類全体は涙状の曲線となるということです。証明は書いてませんが、そんなことは私にとってはどうでもよろし。自分がこれから調べようとする幾何学的対象、正則写像の成す空間などそういう未知のものについてのモジュライ空間について私が証明をすればいいわけだから。
  
これで今吉さんなんかの「タイヒミュラー空間論」とか向井さんなんかの「モジュライ理論1,2,3」河野さんの「曲面の幾何構造とモジュライ」とかが少しでもかじれたらいいんです。基本的なことが大体分かって、中途はすっ飛ばして、専門的な結果を眺めながら論文を書くというのが私の流儀です。お品がありませんが、歳ですしね。
  
一般の読者のために言うと、5章の結び目理論の話しは面白いですよ。6章の種数17の配置空間が出てくる話しも驚きです。 

ちくま文芸文庫は、とてもレベルの高い書物が揃っていますが、この本も素晴らしい内容です。
対称性についての認識は、数学の重要な概念を理解するのにとても大切ですが、私にはとてもわりやすく説かれていて参考になりました。 

代数学入門セミナーに、「不変量」と「対称性」を理解する副読本としてボロボロになるまで使ったので、保存版としてまた一冊購入しました。鞄に入れて持ち歩いても、書棚に置いておいてもいいですね。 

 

         


■基準座標と既約表現についての文献

http://yama.sci.hokudai.ac.jp/~sekika/text/point-group.pdf#search='基準座標+規約表現'


分子振動の振動数ωλ に属する基準座標の一つをQλ とする。このときQλ はωλ の振動数で振動する調和振動子である。分子を不変に保つ対称操作(つまり回転や反転など)R をQλ に施しても、振動の幾何学的配置は変わらないからRQλ は同じ振動数ωλ で振動する。ゆえに、RQλ はQλ 自身の定数倍か、あるいはωλ に属する基準座標の一次結合でなくてはならない。従って、Qλが分子の対称操作群の既約表現の基底であることがわかる。(基準振動は固有モードであり、既に対角化されているので、可約ではありえない)。ただし、点群の規約表現の基底には互いに複素共役の対をなすものがあるが、Qλ は実であるから、このような規約表現の基底になることはできない。この場合は2 個の表現をあわせた2 次元の表現が基準モードに対応する。基準振動が点群の既約表現で分類できるといっても、点群の全ての既約表現に対応する基準振動が存在するわけではなく、3N 個の原子変位uk が張る3N 次元表現を簡約して得られる既約表現に属するものだけが許される*4。

 

 

たいへんわかりやすい資料です

http://phys.sci.hokudai.ac.jp/LABS/yts/mc/group.pdf#search='基準座標+規約表現'

P28を見よ

P32(基準振動は既約表現の基底となる)

 

 

http://133.5.167.83/cd/分子構造論(2009.7.21).pdf#search='基準座標+規約表現'

 

 

http://www.kuchem.kyoto-u.ac.jp/admissions/master_kakomon/h21_bukka2.pdf#search='基準座標+規約表現'

 

 

http://mukiken.eng.niigata-u.ac.jp/satokougi/daigakuin/gunron.pdf#search='基準座標+規約表現'

 


http://bussei.gs.niigata-u.ac.jp/~yanase/kishine_text.pdf#search='基準座標+規約表現'

 


 点群のまとめ

https://www.iwanami.co.jp/moreinfo/0051900/img/PG.pdf#search='分子+対称性'

 

 

一般の基準座標の求め方

https://www.a.math.ryukoku.ac.jp/~hig/course/mathphb_2011/w05.pdf#search='基準座標'