ライター:mpcsp079さん(最終更新日時:2016/4/18)投稿日:2014/6/22
コモンエミッタ回路のバイアス点を決める問題で、つまり、大信号解析のときの、Vbe=0.6Vとする。この根拠である。
この回路のIcが実用的な値であるとき、Vbeは一定としてしまうのである。つまりそれを0.6~0.7位にして考える。
Icが大きいとき、Vbe=0.7V、小さいときVbe=0.6Vにする。つまり、
Ic=I0*exp(Vbe/Vt) ---(1)
は、次のように変形できる。
Ic=exp((Vbe+Vt*In(I0))/Vt) ー--(2)
ここで、温度T=300°とすると
Vt=kT/q =1.3806488 × 10-23*300/1.602 176 565(35)×10-19
=0.026
さらに、Ic=1mAでVbe=0.6Vとすれば、(1)から、
I0=Ic/exp(Vbe/Vt) =1E-3/exp(0.6/0.026)=9.5E-14
■I0の変化によるVbeの変化量
つまり(2)は、I0がK倍変動した場合、
Ic=exp((Vbe+Vt*In(k*I0))/Vt)
=exp((Vbe+Vt*In(I0)+Vt*In(k))/Vt)
=exp((Vbeー0.78+Vt*In(k))/Vt)
となり、I0がk倍変動すると、同じ1mAを流すのに、VbeはVt*In(k)変化させなければならない。
k=10とすると、
Vt*In(10)=0.06
k=100とすると、
Vt*In(100)=0.12
であるから、I0の実際的なバラツキに対しても、Vbeは0.1Vくらいしか変化しないことになる。
■Icの変化
また、Icの変化にたいして、もしIcがk倍変化したとすると、
Vbe=Vt*In(k*Ic/I0)=Vt*In(Ic/I0)+Vt*In(k)
k=10で
Vbeは0.06V
k=100で
0.12V
変化するだけである。