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オペアンプを使った正帰還型LPF

ライター:miranda17jpさん(最終更新日時:2014/3/1)投稿日:2014/2/22

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以下の図1の回路の解析をする。
 

           正帰還型LPF・三角は、ゲイン+Kの非反転アンプである。             
     


                                         【図1】

図中、三角は、ゲイン+Kの非反転型アンプである。
実際にオペアンプを用いて図1を書き換えると、例として図2になる。
図2では、簡単のため、ボルテージフォロワとした。
明らかに、K = 1である。
   


               正帰還型LPFの例 
                     【図2】

■定性的に見てみる
図1を見ると、ローパスフィルタが2つ見える。
(1)R2、C2によるローパスフィルタ
(2)R1、C1によるローパスフィルタ
である。
また、図2により、正帰還側がフィルタで、負帰還側でゲインKを調整していると思われる。
(1)R2、C2によるローパスフィルタ
この部分は、R2とC2で、ローパスフィルタとなり、C2の電圧がVoになるから、周波数の増加に伴いVoが減ることがわかる。
(2)R2、C2によるローパスフィルタ
OPAMPの(-)端子の抵抗がNFによって十分高くなっているので、R2とC2の電流が等しい((-)端子への電流が無視できる)。
よって、周波数の増加に伴い、V1の電位が下がってくることが分かる。
C2の電圧がVoに決まり、Vo - V1は、R2の電圧であるとともに、C1の電圧でもあるので、C1の電圧も周波数の増加とともに減ることが分かる。
よって、R2、C2によっても、Voutが落ちると予測できる。

伝達関数を導く
R1を流れる電流をI1
R2、C2を流れる電流をI2
C1を流れる電流をIc
と置いて、
Vi - R1(I2 + Ic) = V1・・・・①
V1 - R2*I2 = Vo・・・・②
(1/sC2)*I2 = Vo・・・・③
V1 - (1/sC1)*Ic = Vo・・・・④
③ I2 = Vo*sC2
② V1 = Vo + R2*I2 = Vo + Vo*sC2R2
④ Ic = (V1 - Vo)*sC1 = Vo*s^2*C2R2C1

① Vi -R1(Vo*sC2 +  Vo*s^2*C2R2C1) = Vo + Vo*sC2R2
Vi = Vo + Vo*sC2R2 + Vo*sC2R1 + Vo*s^2*C1C2R1R2
    = Vo(1 + sC2R2 + sC2R1 + s^2*C1C2R1R2)
Vo/Vi = 1/(s^2*C1C2R1R2 + sC2(R1 + R2) + 1)
         = (1/C1C2R1R2)/(s^2 + s(1/C1R2 + 1/C1R1) + 1/C1C2R1R2)
Vo/Vi = (1/C1C2R1R2)/(s^2 + s(1/C1R2 + 1/C1R1) + 1/C1C2R1R2) ・・・⑤

⑤より、DCゲインが1の2次のローパスフィルタであることが読み取れる。
この場合も、カットオフ周波数は共振周波数に一致すると考えられるので、
f = 1/(2π√C1C2R1R2)
分母を微分すると、
2s + (1/C1R2 + 1/C1R1)
より、
減衰比 = (1/C1R2 + 1/C1R1)/2ω0
である。

■回路シミュレータによる実験
上記のフィルタの動作を、実際に回路シミュレータ(TINA TI)を使って調べて見た。
オペアンプには、以下のノートで解析をしたLM324を用いた。
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n233407
このノートにある ように、LM324のFuは、0.9MHz付近と考えられる。
まず、以下の図3の回路で、実際にLM324のFuを計測した。
    


               LM324のFuを調べるための回路
                      【図3-1】
すると、確かに、LM324のFuは、以下の図3-2に示したとおり、1MHzになっていることが確かめられた。
   


                LM324のFu測定実験結果
                     【図3-2】

では、実際に、正帰還型LPFの実験をしてみる。
実験回路は、以下の図4である。
       


                               正帰還型LPFの実験回路
                      【図4-1】
カットオフ周波数は、
f = 1000となるように設定した。
C1 = 10μF
C2 = 0.1μF

 

R1 = R2 = 160Ω
とした。
結果は以下の図4-1になった。
1MHzを超えると、ゲインが変化しなくなる。
 

  


              LM324を用いた正帰還型LPFのF特
                       【図4-1】

図4-1では、10KHzを超えてくると、ゲインが上がり出す。
これがなぜだか不明である。
以下の図5は、オペアンプの入力端子の電圧を計測したものである。
これをみると、ちょうど10KHz越えたあたりでバーチャルショートがうまく効かなくなっている。
この現象は、オペアンプをLM324以外のものに変えても、おなじだった。
    


                     【図5】
R1=R2=1.6k
C1=1μ
C2=0.01μ
にしても、図6だった。
   


                                        【図6】
クロスオーバー歪を疑い、図7のように、負荷RLを-Vccに接続してみたが、結果は変わらなかった。
   


                  負荷RLを-Vccに接続
                       【図7】

C1とC2の影響を調べるために、図8と図9のように、Cの容量を決めて実験した。
どうも、バーチャルショートを崩しているのは、C2のようである。
図8では、R1 = R2 = 160Ω、C1 = 10μF 、C2 = 100pF

 

図9では、R1 = R2 = 160Ω、C1 = 100pF 、C2 = 10μF
 

  


                    【図8】
   


                     【図9】

この問題は、別途、別の知恵ノートで調べることとしました。

■申し訳ありません、下記はよくないことが判明しました。
上記からすると、このフィルタは、以下図10のような塩梅でパラメータを決めるのが良いようである。
2次フィルタは、40dB/dec(周波数10倍で40dB落ちる、10倍で1/100になる)なので、これならば使える。
   


                    【図10】

■訂正
以下の知恵ノートで解析した結果、図10では良くないことが判明した。
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n177470
図10では、抵抗値が大きすぎ、オフセット電圧が大きくなってしまうからである。
R2C2を小さく、R1C1を大きくするのが良い。
バイポーラ型オペアンプでは、抵抗値は30k程度までに抑えるべきである。
例えば、
Http://kie.nu/1HFY
のようにする。