■伝達関数の定義
インパルス応答h(i)のシステムに数列u(i)が入った場合、応答v(i)のz変換V(z)は、U(z)をu(i)のz変換として、
V(z)
=u(0)(h(0)+h(1)z+h(2)z^2+・・・)
+u(1)z((h(0)+h(1)z+h(2)z^2+・・・)
+u(2)z^2((h(0)+h(1)z+h(2)z^2+・・・)
+・・・
これは、次の簡潔な積になってしまう!
=(u(0)+u(1)z+u(2)z^2+・・・)
*(h(0)+h(1)z+h(2)z^2+・・・)
=U(z)H(z) ーーー(1)
H(z)はh(i)のz変換であり、伝達関数である。
一方、別な考察から、V/Uは定義される。これをH1とすれば、Hと等しい。なぜかと言えば、定義から、
H=H1
だからだ。だからH1のシステムのインパルス応答はH1なのである。なぜかといえば、インパルスのz変換は1であり、それによるH1の応答は、上にあるように、
1*H1=H1
であるからだ。
■上から得られる不思議な関係
伝達関数 H=1/(1+z)
をかんがえる。これは、次のように展開される。
=1/(1+z)=1ーz+z^2ーz^3+・・・ ーー(2)
【証明】
両辺に(1+z)をかけると、
1=1ーz+z^2ーz^3+z^4・・・
+zーz^2+z^3ーz^4+・・・
=1ーz^nーー>1
で|z|<1でn->無限で成り立つ。(2)式はテーラー展開である。
ここからが面白い!
そこで、別の見方で、
伝達関数、
H=1/(1+z)
を考え、
V/U=1/(1+z)
でインパルス応答を考える。Uをインパルスのz変換とする。
コれは、
V(1+z)=U
zV+V=U
となり、これは、
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左辺 右辺
z^0項: v(0)+ = u(0)
z^1項: zv(0)+ zv(1)+ zu(1)
z^2項: z^2v(1)+ z^2v(2)+ z^2u(2)
・
・
・
z^i項: z^iv(iー1)+z^iv(i)+ z^iu(i)
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となり、両辺でzの同じ次数の係数が等しくならなければならないことから、漸化式がでてきて、これからv(i)は、
1,ー1,1,ー1,・・・
であることになり、v(i)をz変換すれば、
1ーz+z^2ーz^3+・・・
となり、Hの展開式(2)式と一致する。
つまり、分数式のテーラー展開は、インパルス応答の計算でわかることになる。