テイラー展開の成り立ちを完全に説明した。実はこうして生まれたのであった。なかなか書かれていない解説である。差分に関して調べていた彼の思索過程がこれであろうと思われる。
テイラーの定理はここから生まれたのである。
剰余項についても精密に導出してあります。
■参考文献
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テイラー展開とテイラーの定理~導出と証明~【数学 解析学 Mathematics】
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テイラーの定理~具体例からわかりやすく解説! 剰余項の由来はコーシーの平均値の定理!?~ | Fukusukeの数学めも
テイラーの定理は、イギリスの数学者ブルック・テイラー(Brook Taylor , 1685-1731)によって発見されました。
彼が1715年に書いた『増分法』の中に、テイラーの定理が載っています。
しかし、現在の解析学において重要なマクローリン展開の基礎となるテイラーの定理も、当時は重要視されていませんでした。
また、テイラーは剰余項について考えていなかったため、公式としてはアバウトなものでした。
この公式が日の目を浴びるのは、18世紀後半。
1772年にテイラーの定理が「微分法の基礎となる原理」として認められ、ジョゼフ・ルイ・ラグランジュ(Joseph-Louis Lagrange , 1736-1813)が剰余項について言及しました。
これにより、テイラーの定理が現在の形になり、ラグランジュの功績も讃えて、をラグランジュの剰余ともいいます。
■
ロッシュの剰余項
■
ラグランジュの剰余項
■
テイラー展開の性質と例
テイラー展開とは? ~テイラーの定理から具体例まで~ - 理数アラカルト -
■質問サイトから
テイラー展開はどうやって発見されたのでしょうか。| OKWAVE
(14) テイラー展開なんてものを当時の数学者はどのようにして思いついたのですか? - Quora
(14) 関数のテイラー展開とは何かを、数式を使わずに説明してくれませんか? - Quora
テイラーの定理の導出 -微積の参考書ではテイラーの定理がいきなり示され、ロ- | OKWAVE
虚数の直観的な理解 -オイラーの公式でΘがπのときには等式としてネイピア数- | OKWAVE
コーシーの剰余項について詳しい方教えて下さい。※f(X)のn回微分をf^<n... - Yahoo!知恵袋
Taylor展開の剰余項::LagrangeとCauchyの形で -タイトル通りなんです- 数学 | 教えて!goo
■本題
■それでは、本記事で引用した本はこれです!
シリーズ:日評数学選書
新版 微分と積分
その思想と方法
https://www.nippyo.co.jp/shop/book/1731.html
遠山さんの本です。
私が高校の時に買いました。
1975年頃です。
この本以外にこのような解説は見たことがありません。
■では本題
たぶん、テイラーの発想に従って説明します。
彼はこのように考えたんだ・・・では始めます!!!
図1にある関数を示す。
図1 ある関数
図1において、
f4=f0+⊿f0+⊿f1+⊿f2+⊿f3
である。
ここで、
⊿f0=f1-f0
⊿f1=f2-f1
⊿f2=f3-f2
⊿f3=f4-f3
さらに、
⊿^2f0=⊿f1-⊿f0
⊿^2f1=⊿f2-⊿f1
⊿^2f2=⊿f3-⊿f2
さらに、
⊿^3f0=⊿^2f1-⊿^2f0
⊿^3f1=⊿^2f2-⊿^2f1
のように定義すると、
⊿f1=⊿f0+⊿^2f0
⊿f2=⊿f1+⊿^2f1
⊿f3=⊿f2+⊿^2f2
⊿^2f1=⊿^2f0+⊿^3f0
⊿^2f2=⊿^2f1+⊿^3f1
⊿^3f1=⊿^3f0+⊿^4f0
より、
f4=f0+⊿f0
+⊿f0+⊿^2f0
+⊿f0+⊿^2f0+⊿^2f0+⊿^3f0
+⊿f0+⊿^2f0+⊿^2f0+⊿^3f0+⊿^2f0+⊿^3f0+⊿^3f0+⊿^4f0
=f0+4⊿f0+6⊿^2f0+4⊿^3f0+⊿^4f0
図2ー1
図2ー2
図2ー3 パスカルの3角形
これは図2のようなパスカルの3角形で整理できる。f4を左端の情報、f0、⊿f0、⊿^2f0、⊿^3f0、⊿^4f0のみで表すと、次のようになるということだ。
=f0+4C1*⊿f0+4C2*⊿^2f0+4C3*⊿^3f0+4C4⊿^4f0 --(1)
ここで、nCmはn個の中からm個をとる組み合わせ数であり、
nCm=n*(n-1)*・・・*(n-m+1)/m!
となる。
ここで、(x-x0)をn等分することを考えると、
n=(xーx0)/⊿xである。
さらに、n-→∞の極限を考えると、
⊿f0-->⊿x*df/dx
⊿^2f0-->⊿x^2*d^2f/dx^2
⊿^3f0-->⊿x^3*d^3f/dx^3
⊿^4f0-->⊿x^4*d^4f/dx^4
となる。
xーx0=n*⊿x
であるから、
⊿f0-->((xーx0)/n)*df/dx
⊿^2f0-->((x-x0)/n)^2*d^2f/dx^2
⊿^3f0-->((x-x0)/n)^3*d^3f/dx^3
⊿^4f0-->((x-x0)/n)^4*d^4f/dx^4
そこでn-->∞のときの(1)式の第m項
(x-x0)^m*d^mf/dx^m
の係数は、極限として、
n*(n-1)*・・・*(n-m+1)/(n^m*m!)
ーー>1/m!
つまり、n-->∞で
f(x)=f(x0)+(xーx0)*f’(x0)
+(xーx0)^2*f’’(x0)/2!
+(xーx0)^3*f’’’(x0)/3!+・・・
というテーラー展開が出てくる。
より厳密には、次の考察が必要である。収束の問題である。
■コーシーの剰余公式
■ロッシ、ラグランジェの剰余公式
■実例
あとはおまけです・・・
■関連質問1
こんな質問がありました。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14160394159
テーラー展開に出てくる階乗についてよく分からないので解説していただけないでしょうか。参考書などに書いてある考えがよく分からないので、自分なりにテーラー展開を考えると以下のようになりました。
関数f(x)についてx-h=aとすると微分の定義よりlim(h→0) {f(a+h)-f(a)}/h=f'(a)。ここでhを0に近づける(ただしlimより小さくはしない)と、f(a+h)-f(a)}/h≒f'(a)≠f'(a)
平均値の定理より傾きf'(x)が{f(a+h)-f(a)}/hとちょうど同じxがa〜a+hのどこかにあるのでこれをθ(0<θ<1)を用いてx=a+θhとしておく。するとf'(a+h)={f(a+h)-f(a)}/h=f'(a)となり、式変形してf(a+h)=f(a)+hf'(a+θh)。
同様にf''(x)={f'(a+θh)-f'(a)}/θhとなるようなxがa〜a+θhのどこかにあるからそれをρとおいてx=ρθhとする。。。。。(以下同様なことを無限に繰り返す)
よって
f(a+h)=f(a)+hf'(a)+θh^2f''(a)+ρθ^2h^3f'''(a)+••••••
⇔f(x)=f(a)+f'(a)(x-a)+θf''(a)(x-a)+ρθ^2f'''(a)(x-a)^3+••••••
となる。
といったように、テーラー展開の公式:
f(x)=f(a)+f'(a)(x-a)+{f''(a)/2!}/(x-a)^2+••••••
に近くはなるのですが、特に階乗が何で出てくるのか分かりません。どなたかご教示いただけないでしょうか。可能であれば高校数学より優しいレベルで解説をお願いいたします。
■回答
細かい話は抜きにして、なぜ階乗が出てくるのか考えてみましょう。
テイラー展開でやりたいのは、関数の多項式近似です。
そのままでは関数の値がわからないので、
その関数に近い多項式を考えるのです。
多項式ならば、値をべき乗したのを足し合わせるだけで、
計算が楽になるのです。
さて、
f(x)=a_0+(a_1)(x-a)+(a_2)(x-a)^2+...
というような展開式が仮に正当化されるとします。
a_0の値は?
x=aを代入すれば、2項め以降が消えて、f(a)=a_0となります。
右辺は無限和なので、無限和と微分の順序交換について、
議論が必要ですが、気にせず1度微分してみます。
左辺はf'(x), 右辺はa_1+2a_2*(x-a)+...
再びx=aを代入することで、a_1=f'(a)となります。
2回微分すると、
f''(x)=2a_2+6a_3(x-3)+...
x=aを代入すると、
a_2=f''(a)/2
同様に...a_3=f'''(a)/6=f'''(a)/3!
...a_n=f^(n)(a)/n!
となることがわかります。
無限回微分可能な関数が、上のような展開ができるとすると、
テイラー展開の係数が出ることが必要になるのですね。
■関連質問2
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q11171132016
数学の級数展開に関する質問です。
級数展開やマクローリン展開は何を求めるためのものなのでしょうか?
マクローリンに関しては、式を微分して、二階微分、三階微分としていき、式の変化量の和の式がマクローリン展開に思えました。
何に実用されているかなども教えて頂けるとありがたいです。
どうかよろしくお願い致します。
■回答
たとえば、
tan-1(x)=x-1/3x^3+1/5x^5-1/7x^7+1/9x^9-・・・
で,
π/4=tan-1(1)
から、円周率が求まります。
実際は、
マチンの式が実用的です。
π/4=4tan-1(1/5)-tan-1(1/239)
■計算例
級数の数項で計算してみる。
tan-1(1/5)≒1/5-(1/3)(1/5)^3+(1/5)(1/5)^5-(1/7)(1/5)^7
=323852/1640625
tan-1(1/239)≒1/239-(1/3)(1/239)^3=171362/40955757
これより、
π=4(4*323852/1640625-171362/40955757)
=3.1415917
四捨五入した 3.141592は正しい。
{証明}
tan(α)=1/5, tan(β)=1/239
なるα、βを仮定する。加法定理を使うと、
tan(2α)=2tan(α)/(1-tan^2(α))=5/12 より、
tan(4α)=2tan(2α)/(1-tan^2(2α))=120/119
この結果を用いれば、
tan(4αーβ)=(tan(4α)-tan(β))/(1+tan(4α)tan(β))
=(120/119-1/239)/(1+(120/119)(1/239))=1
1=tan(π/4) なので、π/4=4αーβ、つまり、
π/4=4tan-1(1/5)-tan-1(1/239)
となる。マーチンは1680年生まれ。
参考に
テーラー展開の原理
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n281039
■回答の一部
パスカルの3角形は下図のように組み合わせで表せます。
ここから、階乗が式に現れます。
どうですか?
下図です。
f4=f3+⊿f3<--------(1)
ここで、
f3=f2+⊿f2
⊿f3=⊿f2+⊿^2f2
であるから、
f4=f2+⊿f2+⊿f2+⊿^2f2
=f2+2⊿f2+⊿^2f2<--------(2)
ここで、
f2=f1+⊿f1
⊿f2=⊿f1+⊿^2f1
⊿^2f2=⊿^2f1+⊿^3f1
であるから、
f4=f1+⊿f1+2(⊿f1+⊿^2f1)+⊿^2f1+⊿^3f1
=f1+3⊿f1+3⊿^2f1+⊿^3f1<---(3)
ここで。
f1=f0+⊿f0
⊿f1=⊿f0+⊿^2f0
⊿^2f1=⊿^2f0+⊿^3f0
⊿^3f1=⊿3f0+⊿^4f0
であるから、
f4=f0+⊿f0+3(⊿f0+⊿^2f0)
+3(⊿^2f0+⊿^3f0)+⊿3f0+⊿^4f0
=f0+4⊿f0+6⊿^2f0+4⊿^3f0)+⊿^4f0
<---------(4)
(1)~(4)は係数がパスカル3角である
上の目的は、f4をx0での情報、
f0
⊿f0
⊿^2f0
⊿^3f0
⊿^4f0
のみで表すことにある。
どうしてパスカル3角になるかは、下図で見るとわかりやすいかも
では次です。
どうしてパスカル3角は組み合わせnCmで表せるのか?
(a+b)^n
を考える。
下図のように各段に(a+b)をかけると次の下の段になる。
すると、下図のように下段の各項の係数と、上の段の係数の関係は、図の青線のような関係であることがわかる。
つまりパスカル3角である。
また、
(a+b)^n
の各項の係数、たとえば、
a^p*b^q
の係数は、nからpをとる組み合わせ数であることがわかる。
つまり、
nCp
である。
これらから、パスカル3角はたての列をn、横の列をmとすれば、
nCm
になることがわかる。
くりかえすと、x4での値f4を、x0での情報のみであらわすと、nーー>∞
にしたとき、x=x0での情報だけで、離れた点のfの値を求められることになるのです。
つまり、x0=0とすれば、そこでの微分がわかれば、無限級数で関数の値が計算できるのです。
たとえば、sinの計算は通常できませんが、x=0のときの微分値はわかりますね、
0回:sin(0)=0
1回:cos(0)=1
2回:-sin(0)=0
という風に、無限にわかります。
このけっか
sin(0.5)が四則演算のみで計算できます。
それからこれですね。
ーーーーー
また、n→∞とした時、nCmの展開が1/m!になる理由が知りたかったのです。
ーーーーー
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n281039
の(1)式の第m項
(x-x0)^m*d^mf/dx^m
の係数は、
n*(n-1)*・・・*(n-m+1)/(n^m*m!)
です。
ここで、
n*(n-1)*・・・*(n-m+1)/(n^m)
を考えます。
m=3であれば、
n*(n-1)*(n-2)/n^3
になります。これは、
(n^3+an^2+bn)/n^3
の形になりますから、
=1+a/n+b/n^2
ここでn-->∞にすると、
ーー>1
になります。
つまり、n-->∞で
n*(n-1)*・・・*(n-m+1)/(n^m)-->1
です。
再度、どうしてパスカル3角になるかの説明。
下図で、
f4=f3+⊿f3
である。
f3=f2+⊿f2
⊿f3=⊿f2+⊿^2f2
となり、
f2はf3のみ
⊿f2はf3と⊿f3
⊿^2f2はf3
に関わります。
下のもので表すとき、下の各項は上の左右に使われます。
そこで上の左右の回数の和が下の項の係数になるわけです。
参考
最悪な例
「テイラーの定理を証明しよう!」【解析学の基礎シリーズ】1変数実数値関数の微分編 その10 - 小野研究室
ここがだめ!!!
ーーー
テイラー展開
>高校で習う「平均値の定理」と変わらない内容である.テイラーの定理はその拡張版というわけだ.
ーー>
これは間違っている!
「平均値の定理」が使われているところは、剰余公式のみなんである。