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うひょひょ

コンデンサの静電エネルギーは何故CV^2/2

      

ライター:mpcsp079さん(最終更新日時:2016/4/13)投稿日:2014/8/20    

 

 

コンデンサでQを蓄えたときのエネルギーが、

QV/2であることを証明する

  

■■電位と点電荷  

■1. 電荷があると電界が生じる。

  図1で中心に+Qの電荷がある。この場合、この+Qによる電界の方向は半径方向であり、その大きさは、

http://ja.wikipedia.org/wiki/クーロンの法則

により、

E=Q/(4πεr^2)   --(1)

である。

 

■2.電位差Vとは2点A,Bをむすぶ径路C上での次の値である。

   V=∫(A,B)E・dl  --(2)

 

E、dlは方向をもつベクトルで、E・dlは内積である。

電位差VをQの電荷を移動させれば、その仕事Wは次となる。

   W=V*Q         --(3)

電界Eにより、電荷Qの受ける力Fは次の通り。

   F=E*Q         --(4)

これより、A,B間移動のための仕事Wは、次。

   W=∫(A,B)F・dl=∫(A,B)Q*E・dl  --(5)

で(3)になる。

 

 

■3.点電荷による電界の電位差

      

      図1 点電荷による電界による電位差  

 

  図1で考える。この場合電界Eは半径方向成分しかない。A,B間の電位差を径路C,Dで考える。


      V=∫(A,B)E・dl  

で。

      E・dl=|E||dl|cosθ      --(6)

ここで、|dl|cosθはdlのE方向成分である。つまり、

      V=∫(A,B)|E|*(dlのE方向成分) --(7)

そして、E方向は半径方向であるから、

      V=∫(r2、r1)|E|*dr    --(8)

になってしまう。つまり、径路CでもDでも同じ値になる

 


  つまり、電荷の場合、2点A,B間の電位差Vは積分経路に関係ない積分経路とは、実際に電荷を移動したときのことである。

 


■4.実際の電荷の場合


  どんな電荷分布でも、点電荷の集合であるから、「重ねの理」によりいかなる電荷分布の場合でも、2点間の電位差はその積分経路にはよらない。  

 

■■コンデンサのエネルギー


■1.一般の場合

  2つの極板A,Bに+-の電荷をためるのに要する仕事を考える。Bから+Qをとり、Aにもっていく。このときBはーQになる。そしてこの2つは引き合う。これに逆らい、+QをAにもっていく。仕事Wは次となる。

   W=∫(B,A)F*dl      --(9)

 


もし、コンデンサが平行板で板間はdなら、

   W=∫(0、d)F*dx      --(10)

となる。xは板間に垂直な座標である。しかし、Fのx依存性が分からないので計算できない。

 


■2.無限平行板に近いコンデンサの場合(εは真空の場合ε0)

  片方の極板に+Qがあったっ場合、電界Eは電磁気学ガウスの法則)では、

     E=Q/(2ε)         --(11)

となる。両極板に+Q,-Qがあった場合、電界はこの2倍のQ/εになる。

極板間距離がd場合、電位差V=E*d=Q*d/εだから、C=Q/V=ε/dとなる。この場合+Qによる電界E+とーQによる電界E-の和がEであるので、

    E+=E-=Q/(2ε)

となる。つまり、初めに言ったように、片側の極板にQがある場合の電界はQ/(2ε)であり、この電界の中を電荷Q(-Q)がx=0からdまで動くとき力

    F=Q^2/(2ε)

を受ける。d動かす仕事Wは、

    W=∫(0、d)Fdx=Q^2*d/(2ε)

となる、C=ε/dだから、

    W=Q^2/(2C)=(CV)^2/(2C)=CV^2/2

となる。電界E が一定なので、このような計算で出てくるが、単にCしかわからないか、電界分布が複雑な場合はこの方法では計算できない。極板間で一気にQを移動させて、その力を積分することができない。

 


■3、一般のコンデンサのエネルギー

  わかっているのは、Q=CVだけ。つまり、Qを充電したときの電位差はわかる。しかし、Qを上のように移動するとき、単純な形でなければ、電界Eはわからない。

  そこで、Qを微小量つづ運ぶ。Qが変化するとV、つまりEも変わる。しかし、運ぶ時は運ぶ前のV、Eを使ってしまう。⊿Qが小さいので、これによる電界変化は無視できる。

  毎回⊿Q運びQn、Vnになったとする。次に⊿Qを運ぶ時、実際は、Qn,-Qnによる電界と、運ぶ⊿Qと残ったー⊿Qの間の吸引力を考えなければならないが、これを無視する。単に電位差Vnを電荷⊿Qを運ぶとし、⊿W=⊿Q*Vnとする。この⊿Qにより、Vn+1となる。つぎの⊿QではVとしてVn+1をつかう。

  これを⊿Q-->0の場合を書けば、


   ∫(0、Q)VdQ=∫(0、Q)(Q/C)dQ=Q^2/(2C)

 上の⊿Qとー⊿Qの吸引力を考えない、この方法は誤差が出る。しかし、その誤差は⊿Qを小さくすることで、小さくすることができる。 


             図2

 

 

              図3

 

 

      

                  図4

 


  図4は⊿Qの大きさによる、⊿Qとー⊿Qの吸引力を考えないことによる誤差を示している。Aが実際の値で、Bは⊿Qが大きい場合、Cは⊿Qが小さい場合である。⊿Qが小さいと同じQで比較すれば、実際の値と誤差の比は小さくなる。つまり、⊿Q-->0で正確なWが求まる。全Wは図2の面積になる。

 


■4まとめ

  電荷を運ぶ時、運ぶ電荷⊿Qとそれによって生じたー⊿Qの間の吸引力があり、距離によって違う。それが上の2のような場合でないとわからない。だから、この⊿Q、-⊿Qによる吸引力は、⊿Qが小さいということで無視する。すでにわかっている電位差Vnのみにより、この⊿Qの移動のための仕事をVn*⊿Qと近似してしまうのである。この誤差は⊿Q-->0の極限でーー>0にできる。

 


  運ぶ電荷⊿Qを小さくして、⊿Qとー⊿Qとのクーロン力による仕事を無視できるようにしている。仕事は既にあるVn*⊿Qで近似している。