ライター:mpcsp079さん(最終更新日時:2013/8/10)投稿日:2013/8/10
格言は、正反対のことを言っているのがある。たとえば「急いては事を仕損じる」と「先んずれば人を制す」、もう一つ挙げると「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と「君主危うきに近づかず」である。
これらはある場面での対処の仕方であるが、互いに反対のことを教えている。前者は「よく考えろ、待て」と「とにかく急げ」であり、後者は「危険や困難に飛び込んでいかなければ何も得られない」と「危険はできるだけ避けよ」であり正反対のことを勧めている。
どのような行為にでも容易にもっともらしい理屈はつけられるものだ。全ての格言はその正反対な格言をもつ、と言いたくなる。これだからこそ、こんな言葉に従うことは危険なことであると言えるのである。
その場に応じて臨機応変に対処しなければいけないのであって、その拠りどころは自分の判断しかない。今までの経験はあまり頼りにならないのである。大事なところで、格言や変な本に書いてあることに従うことはきわめて危険なものとなる。
また、他人がうまくやったといって、それをそのまままねるのも危険である。そのやり方はその人がやるから、その場面であったからこそうまくいったのであって、その人やその状況以外に適応できるとは限らないのである。ある場面ではある格言が役に立つが、別な場面ではその正反対の格言が役に立つのである。ということは、格言は最前線ではまったく役に立たないということではないか? つまり、格言は未知のことに使用してはいけないのであり、うまくいった過去のことを美しく法則化し、化粧を施し、味わい深くした芸術の種類に属するものなのであり、成功者の単なる武勇伝にすぎないのである。