電子回路基本_負帰還・OK

ライター:miranda17jpさん(最終更新日時:2014/2/12)投稿日:2013/12/22
詳しい方に見て頂いてOK頂いていますが、間違いありましたら、ご指摘願います。
負帰還には、以下の3つの利点がある。
①歪を抑え、増幅器の利得を安定させる。
②増幅器の入出力インピーダンスを調整出来る。
③回路の帯域を広げることが出来る。
一方において、
(1)利得が減ってしまう。
(2)回路が発振しやすくなる。
という欠点がある。
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①歪を抑え、増幅器の利得を安定させる。
一般に、信号増幅に使う能動素子は、温度や経年劣化により、パラメータの値が変わってしまう。また、非線形素子であることから、出力信号に歪が生じる。
BJTを例にとると、まず、温度によってIcやVbeやβが変わってしまうことは、以下の知恵ノートで述べたとおり。
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n226715
また、BJTは、Vbe(入力)に対するIc(出力)の特性グラフが非線形で、指数関数的なグラフになるため、コモンエミッタのような反転アンプで使ったとき、その出力信号波形は、上の山がなだらかで、下の谷が鋭く尖った形になる。つまり、波形が歪む。
図1は、負帰還のモデル図である。

【図1】
Aは増幅器で、Hは減衰器である。
負帰還では、出力VoutのH倍の信号を入力に戻し、Vinとの差を取る。
これを式にすると、以下のようになる。
Vout = A*vi ・・・・・①-1
vi = Vin - H*Vout・・・・・①-2
①から、viを消去して、利得Gを求めると、
G = Vout/Vin
Vout = A(Vin - H*Vout)
(1 + AH)Vout = A*Vin
より、
G = Vout/Vin = A/(1 + AH)・・・②
となる。
ここで、Aが十分に大きくAH>>1である場合、②を変形して
G = 1/{(1/A) + H} ≒ 1/H・・・・③
と表せるので、回路全体の利得は、Aとは無関係に、1/Hで表せることが分かる。
減衰器Hには、一般に抵抗やコンデンサといった特性の安定した受動素子が使われるので、負帰還回路は、温度変化や能動素子の持つ波形の歪を抑え、利得を安定させることが出来ることが分かる。
ただし、③を見て分かるとおり、負帰還は、増幅器のゲインAが充分大きくないと意味がない。
また、③のとおり、負帰還をかけると、利得が減ってしまうことが分かる。
式①で、viは誤差に該当する。
誤差率(vi/Vin)について考える。
vi = Vin - H*Vout
であるが、②より、
vi/Vin=(Vout/A)/Vin=1/(1 + AH)・・・・・①-2
AH>>1の時は、
vi ≒Vin/( AH)
というわけで、AHが大きいほど誤差率(vi/Vin)は小さくなることが分かる。
AHはループゲインと言われる。
帰還信号は、
(帰還信号) = H*Vout
vi = Vin - H*Vout
より、
(帰還信号) = (AH*Vin)/(1 + AH)
となり、AHが充分大きければ、
(帰還信号) ≒ Vin
である。
入力信号と帰還信号をおなじにしようとすることにより、viをほぼ0に抑え、利得を1/Hに安定化させることが出来ることが分かる。
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帰還のかけ方には、以下の4種類がある。
(a)直列-直列帰還
(b)直列-並列帰還
(c)並列-並列帰還
(d)並列-直列帰還
の4種類である。
これら4つの帰還の構成では、どれも帰還の効果は変わらず、これら4つの帰還のかけ方によって、入出力インピーダンスが調整できる。
よって、要件によって上記4つを使い分けることが出来る。
たとえば、顕著な例として、入力インピーダンスが非常に大きく、出力インピーダンスが非常に小さいことが望まれるオペアンプ(電圧アンプ)では、
入力インピーダンスが(1 + AH)倍になり、出力インピーダンスが1/(1 + AH)になるという直列-並列帰還にする、といった具合である。
ここで留意すべきなのは、オペアンプ単体では、良好な電圧アンプにはならないことである。
オペアンプの特徴として有名なものに以下の3つがあるが、
①利得の安定した、良好な電圧アンプになる。
②入力インピーダンスが∞になる。
③バーチャルショート。
①~③はいずれも、負帰還をかけて初めて得られる効果である。
①オペアンプ単体は、利得が定まらない(安定しない)。
②オペアンプの(差動)入力インピーダンスは、実はそれほど高くない。
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n250254
③オペアンプ自体がバーチャルショートしているわけではない。
のである。
(a)直列-直列帰還
これは、出力電流をモニタし、その電流に比例した電圧を取り出し、(入力が電圧だから)入力回路に直列に加えるものである。
入・出力インピーダンス共に、(1 + AH)倍になる。・・・・(特性A)
入・出力インピーダンスが共に高く、(出力電流)/(入力電圧)が安定する、良好なトランスコンダクタンスアンプとなる。
つまり、良好な電流源が欲しい時に使うもので、よって、例としては、以下のように、オペアンプを使った電流源や、
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n162083
エミッタ抵抗RE付きのコモンエミッタ増幅回路などがある。
(特性A)の証明は、まとめて後述する。
(b)直列-並列帰還
これは、出力電圧をモニタし、それに比例した電圧を取り出し、(入力が電圧だから)入力回路に直列に加えるものである。
入力インピーダンスが(1 + AH)倍になり、出力インピーダンスが1/(1 + AH)になる。・・・・(特性B)
つまり、これは入力インピーダンス∞、出力インピーダンス0が理想のオペアンプのような、良好な電圧アンプになる。
(特性B)の証明は、まとめて後述する。
(c)並列-並列帰還
これは、出力電圧をモニタし、それに比例した電圧を取り出し、(入力が電流だから)入力回路に並列に加えるものである。
入・出力インピーダンス共に、1/(1 + AH)になる。・・・・(特性C)
この回路は、(出力電圧)/(入力電流)を安定させる、良好なトランスインピーダンスアンプとなる。例としては、以下の知恵ノートで解析を行ったオペアンプLM324の中段(位相補償段)がある。
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n234431
(特性C)の証明は、まとめて後述する。
(d)並列-直列帰還
これは、出力電流をモニタし、それに比例した電圧を取り出し、、(入力が電流だから)入力回路に並列に加えるものである。
入力インピーダンスが1/(1 + AH)になり、出力インピーダンスが(1 + AH)倍になる。・・・・(特性D)
この回路は、良好な電流増幅器になる。具体例は・・・わからない。
(特性D)の証明は、まとめて後述する。
●特性A~特性Dの証明
(a)直列-直列帰還直列

直列帰還
は、一般にはgmアンプなので、増幅器のAはトランスコンダクタンスgm、Hはトランスインピーダンスである。
よって、帰還信号電圧をVfと置くと、
Iout = gm*vi = A*vi
Vf = H*Iout
vi = Vin - H*Iout
が成立する。
よって、
Iout = A*(Vin - H*Iout) = A*Vin - AH*Iout
(1 + AH)Iout = A*Vin
Iout/Vin = A/(1 + AH)
AH >> 1ならば、
Iout/Vin ≒ 1/H
なので、負帰還が機能していて、(出力電流)/(入力電圧)が安定することが分かる。
増幅器自体の入力インピーダンスをzi、出力インピーダンスをzoと置くと、
Iin = vi/zi = (Vin - AH*vi)/zi = (Vin - AH*Iin*zi)/zi
Iin*zi(1 + AH) = Vin
より、帰還がかかった時の入力インピーダンスは、
Vin/Iin = zi*(1 + AH)
より、入力インピーダンスが(1 + AH)倍になることが分かる。
出力側については、入力電圧Vinを短絡し、出力側にVoutを印加すると、
vi + H*Iout = 0
Iout = A*vi + Vout/zo
が成立するから、
Iout*zo = A*zo*(-H*Iout) + Vout
Iout*zo*(1 + AH) = Vout
Vout/Iout = zo*(1 + AH)
より、出力インピーダンスが(1 + AH)倍になることが分かる。
よって、特性Aが証明できた。
(b)直列-並列帰還

直列ー並列帰還
は、一般には電圧アンプなので、
Vout = A*vi
Vf = H*Vout
Vin = vi + Vf
が成立する。よって、
Vout = A*(Vin - H*Vout) = A*Vin - AH*Vout
(1 + AH)Vout = A*Vin
Vout/Vin = A/(1 + AH)
AH >> 1ならば、
Vout/Vin ≒ 1/H
なので、負帰還が機能していて、(出力電圧)/(入力電圧)が安定することが分かる。
Iin = vi/zi
Vin = vi + AH*vi = (1 + AH)*vi
より、
Iin = Vin/{zi*(1 + AH)}
なので、帰還がかかった時の入力インピーダンスは、
Vin/Iin = zi*(1 + AH)
で、(1 + AH)倍になることが分かる。
出力側については、
Vout = Iout*zo + A*vi
入力電圧Vinを短絡して考えると、
vi + H*Vout = 0
なので、
Vout = Iout*zo - AH*Vout
(1 + AH)*Vout = Iout*zo
Vout/Iout = zo/(1 + AH)
なので、帰還がかかった時の出力インピーダンスは、
1/(1 + AH)になることが分かる。
よって、特性Bが証明できた。
(c)並列-並列帰還

並列ー-並列帰還
は、一般にはrmアンプなので、AはトランスインピーダンスVout/i(in)で、Hはトランスコンダクタンスi(f)/Voutである。ここで、i(in)はziに流れる入力電流で、i(f)は、帰還信号電流とした。
Vout = A*i(in)
i(in) = Iin - i(f)
i(f) = H*Vout
が成立するので、
Vout = A*(Iin - H*Vout) = A*Iin - AH*Vout
(1 + AH)*Vout = A*Iin
Vout/Iin = A/(1 + AH)
AH >> 1ならば、
Vout/Iin ≒ 1/H
なので、負帰還が機能していて、(出力電圧)/(入力電流)が安定することが分かる。
Vout = A*i(in)とVout/Iin = A/(1 + AH)より、
i(in) = Iin/(1 + AH)
Vin = zi*i(in)
だから、
Vin = zi*Iin/(1 + AH)
Vin/Iin = zi/(1 + AH)
よって、帰還がかかった時の入力インピーダンスは1/(1 + AH)になることが分かる。
出力側については、
Vout = Iout*zo + A*i(in)
入力電流を除去して考えると
i(in) + i(f) = 0 = i(in) + H*Vout
よって、Vout = Iout*zo -AH*Vout
(1 + AH)*Vout = Iout*zo
Vout/Iout = zo/(1 + AH)
より、帰還がかかった時の出力インピーダンスは、1/(1 + AH)になることが分かる。
よって、特性Cが証明できた。
(d)並列-直列帰還
については、使いでがないようであり、上記と同じ考え方で証明できるため、割愛した。
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③回路の帯域を広げることが出来る。
前述のように、AHが十分大きい時に、負帰還により回路全体の利得を1/Hにして安定させることができる。
下図は、オペアンプに深い負帰還をかけた時(R1を10kΩに設定)と、浅い負帰還をかけた時(R1を10MΩに設定)のボーデ線図である。
オペアンプのオープンループゲインAは、周波数が大きくなるほど、下図の緑の線のように小さくなる性質がある。
よって、Hが同じであれば、周波数が高いところではAH < 1になってしまい、A/(1 + AH)→Aになってしまい、つまりオペアンプ自体のf特になってしまう。つまり、フラットな特性にならない。
けれども、Hを大きくすれば(深い負帰還をかけるほど)、1 < AHとなる周波数が上がるから、高い周波数のところまでAHを大きく維持できるため、利得が減ってしまうが、フラットな通過帯域を広げることができる。

