ライター:mpcsp079さん(最終更新日時:2016/2/21)投稿日:2016/2/20
AD社のBBSでアホな回答があったので検討する
■BBS質問
https://bbs.ednjapan.com/ADI/index.php?bid=4&v=1435722694aFAzCe
質問者がつかおうとしているFET
http://akizukidenshi.com/download/mrf255.pdf#search='MRF255'
初心者でデータシートのことがよくわからないので教えていただけませんか?データシートでなにが知りたいのか?ということですが高速のTTLのICでパワーMOS(高周波用)をドライブする10MHzぐらいですが、ゲート駆動電圧はデータシートからわかりますのでMOSFETをドライブできるというのはわかると思うのですが、その駆動電流は記載が無いように思います、TTLのICで(電流1mAぐらい)で十分にドライブできるのか不安です、このような場合どのように考えたら良いのでしょうか、もしゲートがハイインピーダンスであればMOSFETのゲートに終端抵抗を入れる必要はないのでしょうか?5V/1mAのTTLに対してどれぐらいの終端抵抗を入れたら良いのでしょうか5KΩでいいのでしょうか?この回路の接続はTTL出力からFETのゲートに直接接続されます、終端抵抗でなくても送端抵抗でも良いらしいのですがこの場合送端であればどれぐらいにしたらよいのでしょうか?質問内容が多くなりましたが、よろしくお願いします。
■アホな回答
MRF255は50MHz帯で50Wくらい出る高周波パワーFETですね.
データシートを見ればわかりますけど、この種のRFパワーデバイスは低周波やスイッチング用のMOSFETとはデータシートの記載事項が違います.
ある特定の回路で測定した入出力特性やマッチング条件、いくつかのバイアスポイントでのSパラメータなどが記載されていますが、スイッチング用FETのデータシートには必ず記載されているゲート総電荷量などは載っていません.
本来、高周波のリニアアンプなどの用途で使うものなので、Sパラメータなどで記載した方が便利ということになります.
電極間静電容量などは載っていますけど、これは電圧によって非線形に大きく変化しますから、これで設計するのは難しいです.
つまり、スイッチング動作をさせたときのデータは無いということです.
さて、実際の駆動回路ですが
スイッチング動作ということは、出力の立上がり、立下りが早い信号が欲しいわけですね.
高周波用パワーFETを使ったのも、そのためだと思います.
高速スイッチングする信号は、非常に広い範囲の高調波を含んでいますから、スイッチング動作させる、ということは、広帯域の増幅器を作るのと同じことになります.
リニアアンプを強くオーバードライブすれば出力が飽和して方形波に近づきますが、スイッチング動作はこれに近い状態です.当然、利得はリニア領域に比べて小さくなります.
MRF255のリニア領域での利得は、入出力を整合した状態で54MHzで13dBminですから、電力利得20倍ということになります.20Wの出力を得るのに1Wの入力電力が必要ということです.このことからも、かなり強力なドライバが必要なのはわかります.
入出力を整合した狭帯域アンプでは、方形波は増幅できませんから、非整合の広帯域アンプが必要ですが、こちらは電力利得がかなり小さくなってしまい、50MHzでは3倍くらいがいいところではないでしょうか.
というわけで、高圧、大電流をFETで高速スイッチングするためには強力なゲートドライバが必要です.
ただ、スイッチング動作の場合は、ドライブ段もスイッチング動作で良いので、効率が良くなります.
現状の回路でも、周波数が1kHzくらいならきちんとスイッチング動作しているのではないですか?
MRF255のDC特性を見ると、5VTTLでも十分駆動できそうです.
ただし、周波数が10MHzとなると駆動は簡単ではありません.ゲートICなどでは全く無理です.
ゲートICで10MHz動作だと、ドレイン電流100mAくらいの小信号用FETでも、ちょっと苦しいかもしれません.
ゲートドライバICはピーク出力電流が数A以上のものがありますけど、多くはスイッチング周波数があまり高くありません.
ただ、中にはプラズマディスプレイ用などで結構高速で動作できるものもあって、私も数MHzの高電圧スイッチにつかったことがあります.
半導体製造用のプラズマ電源用に13.56MHz動作のゲートドライバを作っているメーカーもありますが、こちらはパワーが一桁くらい大きくて、値段も高いです.
高い周波数で動作するゲートドライバを探すか、クロックドライバなど他の用途のICを流用するか、ディスクリートで自作するか、方法はありそうですけど.
広帯域トランスを使ってドライブするのも、良く使われる方法です.
参考資料としては、稲葉保さんか書かれた
「パワーMOS FETの高速スイッチング応用: 実験で学ぶ高効率・低雑音スイッチング+E級アンプ」CQ出版
がありますから、興味があれば読んでみてください.
■解説①理論
まぁ、とにかく教養をひけらかすやつであり、なにも解決していない。自分がいかに知っているかを示しただけ。
10MHzの空間での波長は30m位で、線路上でも15mくらいであろう。特性インピーダンスZ0の線路をRLで終端した場合、端iから見たインピーダンスZiは、
Zi=(cos(kl)*Rl+Z0*j*sin(kl))/(j*sin(kl)*Rl/Z0+cos(kl))
となる。
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n79329
k=2π/λ
l:線路長
ここでZ0=Rlなら、
Zi=Z0
となる。
ここで、
kl<<1
でないと、Ziはときにはリアクタンスのみになったりする。すると、Piはちいさくなり、したがって線路が無損失なら、ゲートにはいるPgはPiであり、小さくなる。
Pi=Vg^2/Rg
Rg:ゲートインピーダンスの実部
であるから、
Vg=√(Pi*Rg)
となり、整合しない場合、Vgは著しく小さくなってしまう。
■解説②問題の答え
10Mhzであるから、線路上の波長はせいぜい15m位であろう。さらに線路長は10cmくらいであろう。とすれば、
kl=2πl/λ=0.04(rad)
cos(0.04)=0.999
sin(0.04)=0.04≒0
つまり、
Zi≒Rl
であり、整合など考えなくてもいいのだ。
■質問者の結果
やまさん、他の方々ゲートの駆動能力を上げるためにこの冬大改装いたしました、より線ではなく基板作成してドライバIC(74LV541)から直ゲートに接続しました、その結果ですが浮き上がりはなくなりました、音質的には100%満足なものです、アイソレータの電源は変更するのは大変なのでしていませんが100mAは持つものなので100オームをゲートとGND間に入れると50mA流れるので100オームをいれて放電するようにしました、結果はとても良いものです、改造前には浮き上がりが出ると500mAぐらいFETに流れていましたが、改造後は10mAぐらいになっています、電源30Vにして窓ガラスがビリビリなるぐらいでも10mAぐらいで変化しません、不思議です何度も電流計が壊れているのではないかと疑いました、デジタルの出力電力というのはどのように計算するのでしょうか?今の状態であれば電源が006Pの9V電池でも十分実用になるようなきがしますが、
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つまり、何も考えなくてもよかったし、ドライブ電流もちいさかったということだ。整合回路で電流を食われるのであるから、これがないので電流は小さくなる。
まったくお騒がせな老人である。