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電流帰還型オペアンプの解析 miranda

 

ライター:miranda17jpさん(最終更新日時:2014/2/20)投稿日:2014/2/19    
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図1は、電流帰還型オペアンプの増幅段の等価回路である。  
 

 
                                                 【図1】
 
 ■電流帰還型オペアンプの入出力インピーダンス
 
 この型のオペアンプには、(+)端子の入力インピーダンスが高く、(-)端子側の入力インピーダンスが低いという特徴がある。
 
 
 
 D1、D2はQ3、Q4にバイアス電流を流し、両BJTのベース電圧を信号電圧Vinに対して±Vbeにするためにある。
 
 ダイオードの電圧降下は、約0.7Vで一定になっているので、無信号時(+端子の
 
電位0のとき)、ベースの電位が約0.7Vでおなじになるように、電流がQ3とQ4のベースに流れるのである。
 
 
 
 Q3、Q4のコレクタにはバイアス電流ICが流れている。ここから、小信号解析をする。つまり、このバイアス点からの変化を考察する。このとき、どちらのBJTも、
 
Rπ = β/gm = β*Vt/IC
 
である。
 
 まず、(-)端子はGNDで、(+)端子に正の信号電圧Vinが入力された場合について、見てみる。(+)端子の電位がVin上がるため、Q3、Q4のベースには、それぞれVin/Rπの電流が流れる。つまり、2*Vin/Rπの電流が流れる。よって、入力インピーダンスはRπ/2である。一般に、オペアンプの入力インピーダンスは∞とされていることからすると、さして大きくはないのだが、後述のように、(-)端子の入力インピーダンスよりは高くなる。
 
 
 
 次に、(-)端子に信号電圧が入力された場合について見てみる。
 
(+)端子はGNDとする。この場合Q3、Q4はコモンベースとなるので、入力インピーダンスは1/gm、つまりVt/ICと小さくなる。
 
 
 
 この電流帰還型オペアンプも、同相抵抗は、非常に高くなる。
 
今、Q3とQ4のベースに、(+) = (-)の電圧が入力されたと仮定する。
 
この場合、vbeは変化しないのだが、コレクタ電流がアーリー効果による影響で動くため、エミッタ-コレクタ間抵抗roは、
 
ro = VA/IC
 
となる。このアーリー電圧VAは、50~100Vほどの大きな値となるため、roは非常に大きい。
 コレクタ-ベース抵抗が、
Rμ = β*ro
であるから、入力インピーダンスが非常に大きくなることが分かる。
  
■増幅の動作原理
 
Q3、Q4のコレクタは、カレントミラー回路で、Q3、Q4の電流はQ1、Q5によりQ2、Q6のコレクタ電流としてコピーされる。これにより、Q2、Q6のコレクタ抵抗が非常に高くなるので、電圧帰還型オペアンプ同様、Aを非常に大きくできる。入力インピーダンスは差動分では(+)側は電圧型と同じくらいで、(-)側はその1/βと小さい。
 
 よって、この型のオペアンプは、もっぱら負帰還をかけて使い、入力信号は(+)端子から入れて使う。つまり、非反転増幅器として使う。
 
 
 
■負帰還のブロック図
 
 この回路を簡略化して上半分だけを書くと、以下のようになる。
 
 

                【図2-1】
  

                【図2-2】

 
 
 
この図をみると、結局、以下の知恵ノートで解析した回路とおなじ姿になることが分かる。
 
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n253996
 
よって、
 
帰還率Hは、
 
H = R1/(R1 + R2)・・・①
R1//R2 = RTと置き、
 
icをVoutに変換する回路のトランスレジスタンスをRmとすると、
 
Vout = Rm*gm*Rπ/(Rπ + (1 + β)RT)*(Vin - H*Vout)・・・②
 
より、この回路の上半分の負帰還ブロック図は、
 
 

                                                    【図3】

 
とおなじになる。ただし、この図は「上半分」のブロック図である。
 
これが、2つ並列なので、ブロック図は以下のようになる。
  図2ではQ3のVbeが温度で変動するので、v(+)-v(-)が一定でもQ3のコレクタ電流は変化してしまう。しかし、図1のようにすれば、D1とQ3、D2とQ4でこの変動を相殺するので、この問題を解消できる。
   図2の回路では、Q3のコレクタにバイアス電流を流すために、Q3のエミッタに電流源を入れておかなければならない。この状態で、図1の回路と同じ動作をすることはできる。つまり、電圧NF型と同じに上下非対称でも実現できると思う。
  しかし、これを上下対称にしたのが図1であり。コムリニア社の創始者のアイデアだった。こうすることで、電圧NF型OPAMPと同じように、2つの互いに逆向きに電圧変化するVbeーIcの非線形抵抗を並列にしたことで、歪を小さくできるという効果もある。
 

              【図4】

■反転アンプで使わない理由
図3より、
閉ループ応答(NF後の応答)vo/viは、

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この結果は、

http://www.adm.co.jp/download/mtb_23.pdf#search='電流...


の図1(b)に合う。(Rm → Tzとする)

 ループゲインは、Rm/R2で、これが周波数特性を決める。R2は小さいほうがいい。通常ゲインは1以上なので、R1<R2である。
 実際、R2はかなり小さくなることが多く、反転型アンプ構成では、INインピーダンスはR1なので、かなり小さくなってしまう。
 よって、反転アンプとしては使われない。
 NF構成後のIN抵抗が小さくなってしまう。周波数特性から、ループゲインを下げられないので、R2を大きくできない、よって、R1もさらに大きくできない。IN抵抗が小さいので、使えないというわけである。

■電流帰還型オペアンプはループゲインと閉ループゲインを別々に設定できる
 電圧帰還型オペアンプでは、A/(1 + AH)であるために、ループゲインAHを大きくすると、負帰還後のゲインvo/viが下がってしまう。
 しかし、電流帰還型では、
vo = Rm/RT
vi = 1 + Rm/R2
であるから、
 
vo/vi = {Rm(R1 + R2)/(R1*R2)}/(1 + Rm/R2)
すなわち、A = (Rm/R2)*(R1 + R2)/R1、H = R1/(R1 + R2)
より、AH = Rm/R2
だから、ループゲイン Rm/R2と、ゲイン vo/vi = 1 + R2/R1
を別々に設定出来る利点がある。
ループゲインをできるだけ大きくしようとする使い方が、この型のOPAMPでは通常であるので、R2はは小さなものとなり、したがってR1も小さな値となる。