SonofSamlawのブログ

うひょひょ

弛張発振回路 1

 



 有名であるが、その発振原理が説明されていない

 

 


知恵袋の質問

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14138934179/a346084159

解説、間違っている!

http://www.murata.co.jp/elekids/ele/try/koka13f/pdf/1310.pdf

http://www.rlc.gr.jp/prototype/led/tenmetu/shichou/pika.htm

あるLED点滅回路と音声反応回路の原理

弛張発振回路 - SonofSamlawのブログ (hatenablog.com)
  

 


■回答(概要)

  図1のようにQ1内の等価抵抗Rπ、Cπを考えます。
 V1からV3までの伝達特性を計算し、その位相が=0、ゲインが>1のときが発振条件です。
 Q1のgmはR1によって調整します。R1を小さくすればgmは上がる。しかしループゲインが下がる。
このように調整は複雑ですから、簡単に言えません。

 

 

     



              図1 発振回路

 


  図2の回路は帰還回路で、V1からV3までの伝達特性で、
 位相差=0
となる周波数が発振周波数だと思います。この周波数でのこの回路のゲインにgm*βをかけたものが>=1であるとき、発振します。

 

 

       



              図2 帰還回路

 


■設計(動作点)

  R1を決めると、Q1のベース電流Ib1が決まり、

      コレクタ電流Ic1=β1*Ib1

が決まる。

      Q2のコレクタ電流Ic2=β2*Ic1

となる。

      V2=Ic2*R2

となり、以上が動作点となる。この動作点において、Q1のgm1は、

      gm1=38*Ic1

である。小信号でのv1からic2までの相互コンダクタンスGmは、

      Gm=gm1*β2

となる。

 


■設計(小信号)

      


              図3 帰還回路

 


  図3に帰還回路部分を示す。R1とRπを合わせてR3とする。

 

       


             図4 帰還回路の簡略化

 


  図4を変形すれば図5になる。

          


             図5 図4のテブナン等価回路

 


  図5から、

  発振条件はこの位相=0である。つまり、

  (jω)^2*R2R3CCπ+1=0

である。これが発振周波数を決める。このときのこの帰還回路のゲインは、

  R3C/(R2C+R3Cπ+R3C)

だから、全ゲインは、

  gm1*β2*R2R3C/(R2C+R3Cπ+R3C)

となり、これが>1のとき、発振が開始する。

 

 

 

■間違った発振メカニズムの説明

http://www.murata.co.jp/elekids/ele/try/koka13f/pdf/1310.pdf

より引用、

  ----------

回かい路ろ に電でん気き が流ながれると、積せき層そうセラミックコンデンサーに電でん気き がたまり始はじめる(❶)。コンデンサーの充じゅう電でんがいっぱいになると、トランジスター2SC2120のベースに電気 が流ながれ、コレクター〜エミッター間がスイッチONの状態に(❷)。トランジスター2SA950のベースから電気 が流れてエミッター〜コレクター間がスイッチONの状態になると、スピーカーに電気 が流れるとともに、コンデンサーは放電してしまう(❸)。これらの繰り返しでスピーカーが振動し、音となって聞 こえるのだ。
 このとき半固こ定抵抗器 のツマミを回して抵抗値を下 げると、流れる電気(水)の量が多くなるため、コンデンサー(竹筒)に電気 がたまるまでの時 間が短かくなる。すると単位時間あたりの電気の振動回数すうが多くなる=周波 数が高くなるので、スピーカーのブザー音は高くなるゾ! よって「考えてみよう」の正解はⒶだ。

  -----------

 

 



  この説明はおかしい。振動はこのメカニズムでは起こらない。ある平衡点でとまるだろう。この動作点において、上に説明した条件で発振するのである。

 

 

■別の間違った説明

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10152721725

のなかのもの。

この回路を正しく弛張発振させるには、
LEDの電位差は必要です。
それは、配線のインダクタンスの両端の
電圧であっても良いですが、
 過剰な放電を起こす時間を稼ぐものが必要です。

この回路は、まずRとLEDを通してCに充電します。
Cの両端電圧がQ2のVbeしきい値電圧
 (ダーリトンでないSiトランジスタならば0.6~0.7V)
に達すると、Q2のベースにキャリアが注入され、
Q2のコレクタ電流が流れてQ1のベースにキャリアが
注入されます。
このとき、何らかの方法でQ1のVceを低下させます。
この回路図の場合は、
LEDの電流が増加することでVFが増加し、
 結果としてQ1のVceが低下します。
するとQ1のコレクタ領域の空乏層が短くなって、
キャリアの注入領域が拡大し、過注入状態となって
 すぐにはQ1がオフできなくなります。
LEDの両端電圧はCの下側の電位を持ち上げますから、
CはQ2を通って過剰に放電されます。
やがてQ1の過注入キャリアは再結合して消滅し、
LEDのVFが下がってCの下の電位が下がり、
Q2のVbeがしきい値以下になり、
 最初に戻ります。

この回路はトランジスタ半導体としての動作を
 うまく利用したものです。
 動作の理解には半導体物理の知識が必要です。
 回路理論(普通のトランジスタの増幅動作)だけでは
動作が理解できないでしょう。