ライター:miranda17jpさん(最終更新日時:2014/1/30)投稿日:2013/11/22
オペアンプLM324解析関連の知恵ノート一覧については、以下の知恵ノートにまとめてあります。
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n234431
【図1-1】
【図1-2】
図1-2で、P点の電圧VPは、Q24のベース電圧になる。
抵抗2.4kに流れる電流は、
Q25のVb'e(約0.6V)/2.4k=0.25mA
となる。よって、Q24のコレクタ電流も、0.25mAである。
ここで、Q1のVb'eは、
Q1_Vb'e = Q25_Vb'e + Q24_Vb'e - Q23_Vb'e
Q25とQ23がおなじBJT(エミッタ面積がおなじ)だった場合、
Q1_Vb'e = Q24_Vb'e
となる。つまり、コレクタ電流が0.25mAの場合のVb'eが、Q1のVb'eとなる。
Q23はダイオードなので、Q1のベースにかかる電圧は、
P点の電圧VPから、Q23のVb'e分(約0.6V)を引いた電圧になる。
両者のベース電圧はVPで同じになる。だから、Q23とQ25が同じなのであれば、
VPからQ23のVb'eを引いたQ1のベース電圧・・・①
と
Q24のベース電圧であるVPからQ25のVb'eを引いた電圧・・・②
は同じになる。
①と②が同じということは、Q1のベース電圧とQ24単体にかかるベース電圧は同じになるので、
Q1_Vb'e = Q24_Vb'e
が成立する。
VPからからほぼ定電流(0.25mA)のQ24のVb'eを引いた電圧は、Q25のVb'eになるので、Q25のコレクタ電圧IPは、
Ic = Is*exp((VP-0.6V)/Vt)
に近いカーブになる
それが、図2の赤いグラフである。
このあたり難しい!アナログの極致!Vbeはコレクタ電流によって、そんなに変わらない。だから、VP変化によるQ25の電流変化に対して、Q25のVbeは一定とみてしまってもいい。すると2.4kの抵抗の電流はVPによって変わらないと第一近似してしまう。すると、VPによって、Q24のコレクタ電流も変化しない、と第一近似できる。ということは、Q24のVbeはVPによって変わらない、とできる。
つまり、Q25のVbeは、
VP-Q24のVbe(=0.6)
と考えてもいい。そこで、
IP=Q25のIc = Is*exp((VP-0.6)/Vt)
が出てくる。
Q24のエミッタ抵抗の端子電圧を、Q25コレクタ電流が変化してもあまり変化しないQ25のVbeとすると、この抵抗の電流はほぼ一定(0.25mA=0.6/2.4k)にすることができる。この電流がQ24のコレクタ電流であるので、Q24のコレクタ電流もほぼ一定(0.25mA)にできる。このQ24のVbeは、Q1のベース電圧に等しいので、Q1とQ24が同じであれば(エミッタ面積)、Q1のコレクタ電流はQ24のコレクタ電流0.25mAに等しくなり、しかも大きく変動しない。すばらしいアイデアである。
温度変化については、仮にQ24のVb'eが温度で変動したとしても、VPが同じように変動し、Q23とQ25のVb'eも同じく変動するなら、結局、①=②が成立するので、Vb'eの変動は、①と②でやっている引き算により相殺され、Q1のベース電圧を同じにすることができる。
よって、Q23、Q24、Q25の部分の特性は、Vccにも温度に対しても安定していることが分かる。そして、Q1にVccや温度によらない安定した同じベース電圧を与えることができることが分かる。
【図2】
Q22のjFETのID-VDS特性より、Q22のドレイン電流はVccに依存せず図2のVP-IP特性を維持するため、Q23、Q24、Q25の部分は、Vccに依存しないことが分かる。
ただしjFETにも、アーリー効果に似た現象が見られるので、少しVccに依存する。
Q22のjFETは、Vgs= 0Vの時、ドレイン電流が最大になるので、図2の青いグラフになる。ID = IDSS(1-Vgs/VP)^2のとおりである。
Q22にjFETを使う理由は、ここにjFET1個置いてゲートをGNDにつないでおくだけでVccに依存しない電圧と電流供給源が作れるからである。つまり、作りやすい。
BJTでは正のバイアスを与える必要があり、ベースをGNDにつなぐわけにもいかない。
Q1のエミッタ抵抗2kΩは、電流帰還である。
Vb'e = Vin - IE*RE
のように動作するから、Vb'eの温度による変動を抑えることができる。
ただし、この場合は、Vinが0.6V近辺なので、あまり帰還を深くはできず、あまり大きな効果は期待できない。
電流帰還の詳細な解析については、以下の知恵ノートを参照してください。
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n223267
Q24のエミッタ抵抗は、バイアスの大きさを決め、Q25にベースバイアスを与えてQ25を駆動するのが主たる目的だが、Vb'eの変動を小さくするための、電流帰還としても使われている。
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Q22はNチャネルJFETです。この場合、GはVEEになっている。そのソース電圧(P点電圧)を上げていくとドレイン電流は減っていく。ドレイン電流はソース電流でもある。この特性はVCCには大きく依存しない。ーー>特性A
一方、Q23,24,25で構成される回路では、P電圧が上がるとPの電流は上がる。VbeとIcの関係のように上昇する。ーー>特性B
http://en.wikipedia.org/wiki/JFET
の2番目図の左図の特性。これがドレイン電圧(VCC)にあまり依存しない、というところが重要。これはバイブル本や、あなたの持っている本にも出ている。右側の図はドレイン電流の電源依存性を示す。
jFETもVgsでドレイン電流を制御するが、BJTと違って、Vbeの相当するVgsは負でなければいけない。そして負の値が大きくなるとドレイン電流は減る。
特性AとBの連立解が実際のP電圧、電流である。2つの特性をグラフに書いたときの交点が解である。この交点電流、電圧はVCCには大きく依存しない。Vbeの変化には依存する。
ここで、
Q1のVbe=Q25のVbe+Q24のVbe-Q23のVbe
であり、Q25とQ23が同じトランジスタ(エミッタ面積)であるとすれば、電流が同じなので、Vbeも同じであるから、
Q1のVbe=Q24のVbe
となる。つまり、コレクタ電流が0.25mAである場合のVbeが、Q1のVbeとなる。温度変化に対してのVbeの変化は同じなので、温度による影響は相殺される。
こうして、Q1のコレクタ電流はVCC、温度変化に対してほぼ安定な電流源となる。2.0kの抵抗はより安定にするために入れていると思われる。詳細は不明である。
VPがエミッタ抵抗2.4kのQ24のベースにかかり、そのエミッタ電圧がQ25のベース電圧になるので、概略BJTのVbe-Icグラフのようになります。この特性に、Q23は関係していないのです。こいつは、Q1のベース電圧をVPより、Vbeだけ下げるためだけにある。