ライター:mpcsp079さん(最終更新日時:2017/3/29)投稿日:2013/1/5
電波の放射について
電波放射の原理を簡単に整理してみました
アンテナの理解が深まります
■電波放射の原因
マックスウェルの式、
divB=0 (1)
rotE+∂B/∂t=0 (2)
divE=ρ/ε (3)
rotB-(1/c^2)∂E/∂t=j*μ (4)
を眺めると、
電波の原因は電荷密度(ρ)と電流密度(j)の変化である
ことがわかる。しかし、この式からE,Bを「求めるのは困難である。ベクトル・スカラーポテンシャルA、Ψの式に変換すると、電流や電荷変化を源とする電波の計算は容易になる。容易といっても困難なことはかわらないが・・・
注意
- しかしこれは磁性物質がない場合。
もしあれば
∇×H=j
でなければならない。
ここで、
H=(B-M)/μ
Mは磁化
∇×(BーM)=μj
∇×B=μj+∇×M
i=0
なら
∇×M
が等価電流ですね。
http://www.f-denshi.com/000TokiwaJPN/32denjk/150elc.html
によれば、上の式はスカラーポテンシャルΨとベクトルポテンシャルAにより、次のように書き換えられる。こうなるとポアッソン方程式に近くなるので解は見つけやすい。
http://www.moge.org/okabe/temp/elemag/node36.html#4.29
http://www.treeman9621.com/ChimeraMeam2/CMT04/LorentzGauge.html
にはこの式の導出過程が示されている。
(5)(6)(7)式
通常、これらにより求める。
その結果から、
B=rotA
E=-gradΨー∂A/∂t
により、B,Eを求める。
(5)(6)(7)式の解は次の形となるが、導出は難しい。
―ーーーーーーーーーー 注意 ーーーーーーーーーーーーー
ここから言えることは電荷ρの変化だけでは電波は発生しないということである。というのは、Ψしか信号源ρが反映されないからである。つまりBには反映されない。つまり電磁波にはならない。と、考えるがρの変化は必ず電流が付随する。連続の関係、
∇・j+ ∂ρ/∂t=0
があるからだ。電荷密度ρの変化は必ずjを生じるのだ。実際のアンテナでは電流・電荷どちらも変化する。
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次に簡単のため電流だけ変化する場合を計算する。
■⊿lの電流素からの電波の理論計算
⊿lの、つまり無限少長・断面積0の電流です。ここから放射される
電波を計算してみます。このことで、上のことを考えてみたいと
思います。この線素はz軸の方向にあり、原点にあります。座標は極座標
とします。電流は正弦波とし、角周波数はωです。電流は
√2*I0*e^jωt
です。この計算は大変難しく、結果だけ書きます。
(川村「電気磁気学」昭晃堂より)
Er=√2I0⊿l/(4π)*cosθ(2Z0/r^2-2j/(ωε0r^3))*e^-jβr
Eθ=√2I0⊿l/(4π)*sinθ(iμ0ω/r+Z0/r^2-j/(ωε0r^3))*e^-jβr
Eφ=0
Hr=Hθ=0
Hφ=√2I0⊿l/(4π)*sinθ(jβ/r+1/r^2)e^-jβr
ここで
Z0=√(μ0/ε0)
β=ω√(ε0μ0)
ーーーーーーーーーーーーーー
細野「電磁波工学の基礎」昭晃堂
によれば、上野結果は次になっている。
Hr=0
Hθ=0
Hφ=*1e^(-jkr)(j/(kr)+1/(kr)^2)sin(θ)
Er=*2e^(-jkr)(2j/(kr)^2+2/(kr)^3)cos(θ)
Eθ=*3e^(-jkr)(-1/(kr)+j/(kr)^2+1/(kr)^3)sin(θ)
EΦ=0
ここで、
k=ω√(ε0μ0)
p0=I0⊿l/(jω)
ーーーーーーーーーーーーーー
1/r^2に比例する項は、近傍界・誘導電磁界などと呼ばれ、
1/r に比例する項は、遠方界・放射電磁界などと呼ばれます。
遠方では、次の項が支配的になります。
Eθ=√2I0⊿l/(4π)*sinθ*(iμ0ω/r)e^-jβr
Hφ=√2I0⊿l/(4π)*sinθ*(jβ/r)e^-jβr
訂正③ーー>この極座標は一般の常識とことなり、動径rとz軸の角度をθ、動径rのxy面に降ろした垂線とx軸の角度をφとしているみたいです。本においてθとφが計算時に入れ替わっています。
平均放射エネルギーW(瞬時値ではなく)
遠方での放射平均エネルギー密度wは
w=Re(1/2)Eθ*Hφ
=(I0⊿l/(4π))^2*μ0*ω*β/r^2*(sinθ)^2
全放射エネルギーW(平均)は
これから全放射エネルギーを求める。十分遠方の電磁界はベクトル
aθEθとaφHφ(aθ、aφは単位ベクトル)だけの平面波と考えられるから、
w=|Re(1/2)(aθEθ×aφHφ*)|
*:共役の意味
=|Re(1/2)arEθHφ*|
=(I0⊿l/(4π))^2*μ0*ω*β/r^2*(sinθ)^2
となる。aθ×aφ=arで|ar|=1したがって全放射エネルギーWは、
δと⊿が混同していますが・・・
W=∫(S)wdS
=(I0⊿l/(4π))^2*(μ0*ω*β/r^2)*2πr^2∫(0、π)(sinθ)^2dθ
=(I0⊿l/(4π))^2*μ0*ω*β2π(4/3)
= ((I0⊿l)^2/(4π))*μ0*ω*β(2/3)
=(I0^2/4π)⊿l^2cμ0(ω^2/c^2)(2/3)
=I0^2*π√(μ0/ε0)(⊿l/λ)^2(2/3)
=I0^2*120π^2(2/3)(⊿l/λ)^2
=I0^2*80π^2(⊿l/λ)^2
ただし、
dS=2πrsinθrdθ
√(μ0/ε0)=120π
とする。
周波数が高いほど、Wは大きくなる。
W=I0^2*80π^2(⊿l/λ)^2 (W)
となる。放射抵抗Rは
R=80π^2(⊿l/λ)^2
では電荷密度変化による電波は?
■電荷による電波(双極子近似)
http://www.f-denshi.com/000TokiwaJPN/32denjk/150elc.html
による。 ∇・j+ ∂ρ/∂t=0により j も考慮されている。
原点付近のある体積(下図の球内)の中に電荷ρ(t)があり、それが変化することによる電波を計算する。電荷の総量は変わらず 密度が変化する。つまり、その中に電流も存在する。
Qは電荷総量、pは下のように双極子モーメントである。
計算の結果、電界 は、
磁束密度は、
となるが、遠方においては次の項が支配的になる。
■アンテナについて
http://www.cv.nrao.edu/course/astr534/PDFnewfiles/AntennaTheory.pdf
ホイップアンテナ
http://www.kddi.com/ez/html/yogo/whip_antenna.htmlより、
ホイップアンテナとは、指向性が無く、どの角度でも電波を受信・送信することができるアンテナのこと。ホイップとは英語でムチを意味する単語であり、携帯電話や小型ラジオなどの移動性の高いものについていることが多い。送信局の位置にあわせてアンテナを設置する必要がなく、また設置箇所の自由度が高いという特徴がある。水面方向360度どこでも受信や送信が可能となる反面、テレビアンテナなどに代表される指向性アンテナに比べるとノイズを拾いやすいなど、品質の面での不安は大きい。電波状況がよければ、屋内での利用も可能という点は指向性アンテナとの大きな違いである。ワンセグやラジオなどによく見られる、伸縮性のあるホイップアンテナはロッドアンテナとも呼ばれることがある。
ワイヤー アンテナ
へリカル アンテナ
http://ja.wikipedia.org/wiki/ヘリカルアンテナ
より、
単にモノポール・アンテナのエレメントを、らせん状に巻いて小型化したものである。モノポール・アンテナと同様の偏波、指向性となる。ハンディー型(手で持って使う)トランシーバーや携帯電話のアンテナに使われている。短い全長の割に利得低下は少なく、表面をラバーなどで覆って柔軟性を持たせることができる(弾性限界を超えない限り、引っ掛けたりぶつけたりしても折れない)ため、使用に便利である。
パラボラアンテナ
http://www.packratvhf.com/Article_9/Dish_Not.pdf#search='parapbolic+antenna'
ヘリカルとの組み合わせ
■参考
http://iu.kuma.u-tokai.ac.jp/ideguchi/emissionexp.pdf#search='電磁波放射'
http://www7b.biglobe.ne.jp/~kcy05t/niradiate.html
http://www-antenna.ee.titech.ac.jp/~hira/hobby/edu/em/em-j.html
http://www1.odn.ne.jp/yaswara/yagi.html
アンテナ解説
http://www.interq.or.jp/blue/rhf333/ANT-K.htm
ヘリカルホイップアンテナ(携帯電話アンテナ)
http://www.tdk.co.jp/techmag/knowledge/200911u/index2.htm
http://mk1502.web.fc2.com/ahf1/248ishp.htm