ショットノイズの1957年の論文
mean(intot^2) = 4kTRe(Y)⊿f - 2eI⊿f
ショットノイズに関する有名な論文を翻訳した。
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n40776
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n168802
も参考に
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Theory and Experiment on Shot Noise
in Semiconductor Junction Diodes and Transistors
W.GUGGENBUEHL and M.J.O.STRUTT
PROCEEDINGS OF THE IRE 1957
1.はじめに
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この調査はフリッカーノイズとは切り離されたショットノイズに関係がある。このショットノイズ項は、導体の構成粒子の振動を指す。フリッカーノイズはトラップ、という他の要因も含む。
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低周波数において、これらの間の違いを規定するのは容易だ。フリッカーノイズ密度は1/fのスペクトラムをもつ。ショットではホワイトスペクトラムである。高い周波数ではショットノイズ密度も周波数による。しかし、純粋な材料からなる半導体において、数キロHz以上では、フリッカーノイズはショットノイズに比べて重要性は低い。
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トランジスタとダイオードにおけるショットノイズに関するレポートは
Weisskopf,Petritz,Montgomery,Clark,van der Ziel,Giacolettoらにより報告されている。この文献はZielのノイズに関する本をさらに進めている。これらの文献のすべては、もしショットノイズ領域では周波数依存性がないことがふくまれている。HF領域ではこのデータでは不十分である。粒子推論によってZielは、接合ダイオードとトランジスタのショットノイズの理論を設立した。これはHF領域も含む。しかし、彼の結果は体積再結合でのリニア拡散方程式の妥当性を制限する。参考文献もこの著者により公刊されている以前の論文によっている(?)。ここで示される理論はこれらの素子において電流と再結合の過程を注目する。それは低電流密度に限定される。以前の他人やここに上げた方の結果はこの理論の特別な場合として示される。実験は低電流密度でこの理論に一致している。高電流密度における差異は議論される。
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2.低電流密度での接合ダイオードのショットノイズ理論
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ノイズ問題を扱うのに2つの方法が知られている。熱力学(ナイキスト)と粒子理論(ショットキー)である。熱力学議論は電子素子においてランダム過程の特別なもでるは使われない。しかし、ナイキストの定理は熱平衡のときにだけ妥当性がある。想定される素子が同じ温度の閉じた環境においてエネルギー交換する、といったような。熱平衡では吸収されたエネルギーは放射されるそれと等しい。
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しかし、ナイキストの定理は回路にも応用されていることはよく知られている。そこでは異なる素子は同じ温度にはない。そのとき、ノイズパワーは高い温度のものから低い温度のものに流れる。ほとんどの場合、このように移されるエネルギーは、システム全体のエネルギーに比べて小さい。この準熱平衡におけるナイキストの定理は、妥当である。この定理において、温度Tの素子つなげられている回路にランダムパワー、その最適平均値Pa=kT⊿f、を送る、と書かれる。この熱力学の結果は、インピーダンスZに直列な等価ノイズ電圧源un、あるいはZに並列な等価ノイズ電流源inで
書かれる(Fig.1)。
もし素子がランダムでない電流を流すと熱平衡ではなくなる。そして、そう呼ばれるノイズの粒子理論が応用される。この理論において、個々のランダム現象の効果は、端子間の領域で足しあわされる。これはHF領域にダイオードとトランジスタを移行させる。しかし、この領域においてZielにみられるように困難となる。
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ここで現れる理論は熱力学と粒子議論の組み合わせが基礎となっている。ダイオードとトランジスタのノイズ理論全体が、もし電流流れるが素子のノイズの振る舞いに関する妥当な推測が提示されるならば簡単で完結に定式化できる。
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初めに電流Iが流れるp-n接合ダイオードについて考える。Iは順方向で正と決める。この素子は熱平衡にない。なぜなら、電子の粒子構造による脈流による電流Iがダイオードを通過するからだ。第1の仮定をする。準熱平衡状態はダイオード端子にノイズ電流inIを送り込むことによって回復されることができる。それは正確に端子での電流Iに付随する脈流と帳尻が合う(Fig.2(a))。この付加されたノイズ電流はDC電流Iに比べて小さい。そこでノイズ電流の重ねの理がこの場合で応用される。今Iが端子の任意の付随するランダムな部分なしの正確なDC電流とみなすこと
ができる。ノイズパワー交換が電流Iで長くつなげられない。そのとき、残りの脈流パワー交換は準熱平衡の場合と同じになるだろう。追加のノイズ電流inIをふくむそのようなダイオードの脈流電流を計算するために準熱平衡のための上に上げた定理を使うことは妥当であるようにみえる。
ノイズパワーは付加されたノイズ電流源inIでつながれている。それは復帰するために準熱平衡が必要である。このパワーPnIはダイオード端子の全アドミッタンスによる。もしダイオードにT=0でアドミッタンスY(*)がつながれたとする。Y(*)は温度TにおけるダイオードのアドミッタンスYの共役複素数である(Fig.2b))。このパワーPnIは次である。
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PnI = |(mean(inI^2)| / (2Re(Y)) (1)
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であるから、この回路で消費される熱ノイズパワーはつぎのようになる。
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Pnth = 4kTRe(Y)⊿f / (Y+Y(*)) (2)
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2番目の過程は付加されたノイズパワーPnIの流れの方向に関係する。もしDC電流Iがダイオード順方向に流れているなら、熱平衡を維持するためにPnIはダイオード回路にパワーを供給するパワー源とする。他方、ダイオード電流が逆方向なら、PnIはダイオード回路に供給されるパワーを消費するパワーシンクとする。この仮定は、支配電流 I を構成するキャリアの大多数がダイオードの内部ポテンシャルに逆らって上らなくてはならない、それゆえもしIが順方向電流ならエネルギー消費があるので妥当性がない。逆に、Iが逆電流なら、ポテンシャルを落ちる。それゆえエネルギーを得る。しかし
実際上の仮定に正確な物理的証明はない。
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これら2つの仮定で、全ショート回路のノイズ電流itotはつぎとなる。
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mean(intot^2) ± mean(inI^2) =4kTRe(Y)⊿f (3)
付加された電流ノイズ 熱平衡ノイズ
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ここで+はDC電流が順方向であるとき成り立ち、-は逆方向であるとき成り立つ。パワーの流れの方向の注意された似たような議論は、2極管でも成り立つ。もし2極管が電流飽和領域で動作するなら、電子は内部ポテンシャルを落ちる。それゆえノイズパワーをつながる回路に供給する。全ショート回路ノイズ電流は付加されたノイズパワーの流れの方向の我々の取り決めに従い書かれる。
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mean(intot^2) = 4kTRe(Y)⊿f + 2eI⊿f (4)
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2eI⊿fは(3)のmean(inI^2)に対応する。eは電子の電荷である。この場合ダイオードアドミッタンスは0なので、式はショットキーの式になってしまう。..
他方、支配電流Iを構成する電子は、ダイオードがexp領域で動作するなら内部ポテンシャルを上る。準熱平衡を維持するために負荷されたパワー源は、ダイオードにパワーを供給しなくてはならない。パワーの流れの方向を考慮した我々の仮定により、全ノイズ電流への電流寄与の符号はーとなる。
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mean(intot^2) = 4kTcRe(Y)⊿f - 2eI⊿f (5)
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ここでTchはカソード温度である。
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exp領域では、kTcRe(Y)=eIであるので、上の式はつぎのようになる。
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mean(intot^2) = 2eI⊿f (6)
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この式は、2極管のexp領域で知られている。
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接合ダイオードのノイズ式を完結させるために、付加ノイズ電流源mean(inI^2)は計算されなければならない。このノイズ電流が、ダイオード端子で粒子構造による電流Iの脈流のイメージから、これら2つのノイズ電流の2乗平均は等しい。ダイオードの拡散領域における電荷中性則により、電流Iを構成する個々のキャリアは、キャリアが接合の空乏層を通過しているのと同時にダイオード端子に供給される。もし、注入された少数キャリア密度が多数キャリア密度より小さければ、そしてもしショート回路がダイオード端子につながれるなら、空乏層を通ったキャリアは互いに独立である(相関なし)。それゆえ、この場合、2極管のショットノイズ電流ためのショットキーの式は応用され,inIはつぎのようになる。
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mean(inI^2) = 2e| I |⊿f (7)
この方程式は、⊿f内の平均周波数fが空乏層を横切る時間の逆数より小さいところまで成り立つ。この通過時間は少数キャリアの寿命に比べて大変短い。これはダイオードのAC特性を決める。それで(7)式は実際に関心のある周波数範囲で使われる(???)。
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高注入レベルでダイオード端子間電圧は空乏層にかかる電圧に一致しない。もしショート回路がダイオード端子につながれれば、空乏層電圧はダイオードの拡散領域に残るキャリア数に依存する。このため、個々の通過は互いに独立ではない。電流ノイズのに関するショットキーの式(7)はこの状態では使えない。
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もし、低注入に限定するなら、p-n接合ダイオードの2乗平均ノイズ電流は(3)と(7)により、次のように書かれる。
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mean(intot^2) = 4kTRe(Y)⊿f - 2eI⊿f (8)
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Iが正では順方向、負では逆方向である。すれゆえ、(8)は、付加されたノイズパワーの流れの方向に関する上の仮定での議論におけるものである(???)。
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いくつかの難しさは、DC電流Iのノイズ寄与2eI⊿fの考察で起こるかもしれない(???)。もし、DC電流Iによるダイオードのノイズ電流がフルーショットノイズ(???)を超える、ということは、ショットノイズのIf理論からよく知られている(???)。しかしこれらの理論で、キャリアの発生と再結合で引き起こされる空乏層のすべての個々の通過は電流ノイズへの寄与としてカウントされる。我々がダイオード端子においてDC電流だけ注目することから、DC電流に影響しない、しかし内部で均衡したすべてのことは、我々の扱いでカウントされてはならない。ノイズに対してこ
れらの寄与はすでに(8)式のサーマルパートに含まれている。 が とてもおもしろい推測は高注入レベルでのショットノイズが注目されるかもしれないことだ。(8)式をみると、2eI⊿fの部分は高注入レベルにおいて減少することが期待されるかもしれない。このため、順方向では全ノイズ電流は増える。この推測の実験での確認は現在有効には見えない。
ーーーーーーーーー 基本理論部分は以上ーーーーーーーー
ここまでが基本的なことの提示部分で、これ以降10ページ近くはトランジスタへの応用と実験結果です。