■ ずいぶん昔ですが、「マーフィーの法則」というのがはやりました。
これはアメリカで生まれたものです。日本には定着しなかったようです。
これらの法則は、主にエンジニアや学者たちによって唱えられました。
■ アーサー・ブロック「マーフィーの法則」(倉骨彰訳、アスキー出版)
から、いくつか引用してみます。
どうでしょうか?
これらは、偶然起こるのではなく、宇宙の法則なのであります。
『捜していないものはかならずみつかる』、
『何かがきれいになるには、何かが汚くならなければならない(汚れ保存の法則)』、
『何かを汚くしても、何もきれいにはならない』、
『徹夜で仕上げた急ぎの仕事は、少なくとも二日は必要とされない』、
『機械は、動かないことを誰かに見せようとすると、動く』、
『作業台で道具を落とすと、もっともやっかいな場所に転がり込む』、
『組み立てには、たいてい手が三本必要だ』、
『重要書類は、あなたが置いた場所から、あなたが見つけられない場所に移動することによって、そのバイタリティ(重要性)を証明する』、
『カバンを下に置くと、エレベータが来る』、
『風力は髪のセット代に比例する』、
『タバコ、バーベキュー、あるいはキャンプファイヤーの煙は、煙に敏感な人の顔に向かって漂う傾向がある』、
『結婚生活の長さは、結婚式の費用に反比例する』、
『一緒にいるのを見られたくない人と一緒にいるときほど、知っている人に出くわす』、
『この世の良いものは、法律で禁じられているか、不道徳であるか、食べて太る』、
『一番近くに住んでいる人が、一番遅くやってくる』、
『車がほとんど通らない道をそれぞれやってきた車とトラックは、恐ろしく狭い橋で出会う』、
『信号で止まったらお化粧を直そうと思っていると、どの信号も青である』、
『修理工を待っていると、一日中待たされる。五分間だけ留守にすると、そのあいだにやってきて帰ってしまう』、
『欠けた食器は壊れない』、
『もっとも神経質な人に、ふちの欠けたコーヒーカップ、口紅の付いたグラス、髪に毛の入った料理が回ってくる』、
『壊れやすいものを落としたとき、それを空中でキャッチしようとすると、何もしない場合により、損害が大きい』。
さらに
『悪くなる可能性のあるものは、必ず悪くなる』
はもっとも起源となったものですね。
■
【解説:前出の本より】
一九四九年、カリフォルニアのエドワード空軍基地で働いていた
ひとりの信頼の厚いエンジニアが、オリジナルの「マーフィーの法則」
のマーフィーこと、エドワード・アロイシャス・マーフィーJrだっ
た。ジョン・ポール・スタップという少佐が、テスト飛行中、重力測
定装置の異常を認めて戻ってきた。原因を調べると、誰かが間違った
セッティングしていたことがわかかった。そして、これを発見した
マーフィーが言った台詞が「いくつかの方法があって、一つが悲惨な
結果に終わる方法であるとき、人はそれを選ぶ」というものだったと
いう。数週間後にあった空軍の記者懇談会にで、スタップ少佐がマー
フィーのことを紹介し、それが業界関係雑誌に掲載されて、少しずつ
一般化していったのだという。
■このノートに関する質問がありまして、それにある方が回答をよせ、それに質問者がお礼を言っておられました。
>「体系化された理論が外れることを見通した崇高さ」という言葉は、「なるほど
>ぉ…」と言葉を失いかけました。理由がない(理由を問えない、理由を問う価値
>がない)というのも納得しました。哲学にせよ科学にせよ、体系化された理論で
>はすくいきれないもの(存在、事象)があることを気づかせてくれる意味で「マー>フィーの法則」はすばらしい、と考えました。
という文面です。しかしマーフィー則は『体系化された理論が外れることを見通した』ものではありません。
また、マーフィー則は『失敗の法則』などと言う方もいますが、これも間違いです。
マーフィー則とは『いままで関係のないと思われていたものやことが、実は関係していた』という話なのです。つまり、すべてのものは、独立・自立していない、ということなのです。これは、従来の科学では考えられないことです。『従来科学がはずれる』ではなく、『相互作用が、もっと複雑に存在する』ということでしょうか。
たとえば『急いでいるとき、信号は皆赤になる』では、急いでいる、ということと、信号が関係していることを言っています。
■ 実例を示します。
「マーフィー則」は毎日体験しています。
急いでいるとき、信号は必ず「赤」になってしまいます。
「確認すると間違っていないのに、たまたま確認をしなかったとき
まちがっている」
ことがよくあります。「確認する」ということより前の事に影響がある、
というのがおもしろいところです。
これらに関連した米国における恐ろしい事件を前出のレスラー
「FBI心理分析官」より引用しよう。ローリー・ロセティーという
女子医学生が殺されたという事件である。
『十月の土曜日に、ロセティーは数人の学生と一緒に午前一時半ころまで
部屋で勉強していた。その後、本やバックを抱えて男子学生と二人で、
自分の車を取りに下の駐車場へ行った。男子学生を乗せて駐車場の前の
フロアに行き、そこで彼をおろした。男子学生はドアをばたんと閉めたの
で、彼女はドアがロックされていると思いこんだのだろう。その男子学生
や他の人が警察に語ったところでは、ロセッティーはいつもそのことに
細心の注意を払っていたという。メディカルセンターは
イリノイ・サークル大学のキャンパスの端の、治安の悪い環境にあったの
で、センターへの行き帰りには用心していたのだ。しかしそのドアはその
時ロックされてはいなかった。ちょうどその頃、四人の少年が金を奪うこ
とのできそうな車を探していた。十五分ほど待ったところでロセティーの
乗った車が信号で止まった。グループのうち二人が車の前に立ちはだかり
、もう一人がロックしていないドアがないか調べた。彼はロックしていな
いドアを見つけて乗り込み、仲間のために他のドアを開けた。四人は
ロセティーに運転させて陸橋のところへ行き、護身のために車の中に
入れてあった先のとがった棒で彼女を刺した。そして車のボンネットの
上に彼女を乗せてレイプしてから、殴って気絶させた。ロセティーが身動
きするとビニール袋に入れたコンクリートの塊で頭を殴った上、車でひい
た』
彼女はこのように殺されてしまった。たまたまドアロックがされていなか
ったとき、犯人は《それに合わせて》やってきたのであった。それまで、
必ずドアロックしていたときには、たぶんこのようなことは一度も起こら
なかった。ドアロックをするかしないかが、犯罪者が襲ってくるかこない
かと関係していたのである。つまりドアロックの確認は、襲われたときの
ためにというより、襲われないための対策になる、ということをよく覚え
ておいてほしいのである。
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それから・・・これもおもしろい