■円周率πを計算するマーチンの式
π/4=4tan-1(1/5)-tan-1(1/239)
は、すごいですね。よくこんな発想がでてきたものです。
少し、解説してみます。
■
tan-1(x)のテイラー展開は、
tan-1(x)=x-1/3x^3+1/5x^5-1/7x^7+1/9x^9-・・・
です。円周率πは、π/4=tan-1(1) ですから、
π/4=1-1/3+1/5-1/7+1/9-・・・
となりますが、収束がおそく、実用にならない。
■そこでマーチンの式が出てきたわけです。
{証明}
tan(α)=1/5, tan(β)=1/239
なるα、βを仮定する。加法定理を使うと、
tan(2α)=2tan(α)/(1-tan^2(α))=5/12 より、
tan(4α)=2tan(2α)/(1-tan^2(2α))=120/119
この結果を用いれば、
tan(4αーβ)=(tan(4α)-tan(β))/(1+tan(4α)tan(β))
=(120/119-1/239)/(1+(120/119)(1/239))=1
π/4=4tan-1(1/5)-tan-1(1/239)
となる。マーチンは1680年生まれ。
■計算例
級数の数項で計算してみる。
tan-1(1/5)≒1/5-(1/3)(1/5)^3+(1/5)(1/5)^5-(1/7)(1/5)^7
=323852/1640625
tan-1(1/239)≒1/239-(1/3)(1/239)^3=171362/40955757
これより、
π=4(4*323852/1640625-171362/40955757)
=3.1415917
四捨五入した 3.141592は正しい。
■参考
吉田武「オイラーの贈物」ちくま書房
副題「人類の至宝e^iπ=-1を学ぶ」
この本お勧めですよ。我々の至宝です。是非買ってください。
目的はオイラーの公式を証明することです。
アメリカの理論物理のファインマンは「オイラーの公式」
を「人類の至宝」と言ったそうです。
高校の数学などとは、一線を隔てる、誰もを震撼させる、驚くべき成果なのでしょう。
もしこの式がなければ、どうなるのでしょうか?交流理論も
ありません。正弦波に限定したとしても、方程式の解は見通しのよい形には整理できません。伝送線路の理論も今のような簡単な式に集約されることはないでしょう・・・
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