SonofSamlawのブログ

うひょひょ

トランジスタ 電流帰還バイアスのREは分離可能か?

ライター:miranda17jpさん(最終更新日時:2013/11/10)投稿日:2013/10/30

以下の知恵ノートで、利得等の計算をやりやすくするために、図3を図4に変形しました。

http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n222041

 

本来、図3が的確な等価回路なのですが、私は初心者にも関わらず、きちんと検討せずに図4に変形してしまいました。(だから素人なんだという見方もあるかもしれないですが)

 

あとから気づいたのですが、私の手持ちの参考書に、REつきの小信号等価回路と利得の計算が載っていました。この参考書では、REは分離されていました。

この著者はもちろん、厳密な検討をしたうえでREを分離したと思いますが、参考書ではその過程には触れられていないため、この知恵ノートに、検討の過程と結果を書くことにしました。

 

 

■まず、私の手持ちの参考書より、該当箇所をそのまま抜き取ってご紹介いたします。

 

書名:合点!トランジスタ回路超入門
著者:庄野和宏(筑波大学准教授)
出版社:CQ出版 

 

          

  

              【図】

 

●利得を求める

図に、小信号等価回路を示します。エミッタにREが残っていることが特徴です。Rieを導出したときと同様に、1-1'(入力側)から右側を見たときの抵抗Rinを求めると、次のようになります。

Rin = Rie + (1+β)RE     ・・・・・・(6-34)

上式から、図(b)の回路が得られます。この回路も、入力と出力が分離され、扱いやすい形となっています。

Rinを用いると、ベース電流ibは、

ib = v1/Rin ・・・・・(6-35)

となります。出力電圧v2は、次のようになります。

v2 = -(RC//RL)βib ・・・・・・(6-36)

上式に、式(6-34)、(6-35)を代入すると、電圧利得Avは、次のようになります。

 

Av = -β(RC//RL)/(Rie + (1+β)RE)

 

---------------------------------------------

ここからは、私の補足ですが、

Rieは、 rb + Rπです。

参考書では、

rb + (1+β)re

re= 26mV/IE

となっています。

 

 

 

----------------------------------------------------- 

■図3から図4への変形の妥当性について (mpcspさんの回答)

 まずは、mpcspさんが検討してくださった結果を示します。

  

            【図3】

 

            【図4】

 

電流源の電流のみがvoutに効きますから、icを求めればいい(voutはRL//RCをかければいいから)。
vinとicの関係をみます。
図3によれば、
vbe=(vinー(ic+ib)RE)Rπ/(Rπ+rb)=(vinー(ic+ic/β)RE)Rπ/(Rπ+rb)
=(vinー(ic+ic/β)RE)Rπ/(Rπ+rb)

ic=vbe*gm(符号は図の矢印で)

これらより、
ic=gm(vinー(ic+ic/β)RE)Rπ/(Rπ+rb)
となる。整理すると、
ic(1+gm(1+1/β)RE*Rπ/(Rπ+rb))=gm*vin*Rπ/(Rπ+rb)
ic=(gm*vin*Rπ/(Rπ+rb))/(1+gm(1+1/β)RE*Rπ/(Rπ+rb))<(1)--ic

 

 、(1)式より、
ic=(gm*vin*Rπ/(Rπ+rb))/(1+gm(1+1/β)RE*Rπ/(Rπ+rb))
=(gm*vin*Rπ/(Rπ+rb))/((Rπ+rb+gm(1+1/β)RE*Rπ)/(Rπ+rb))
=(gm*vin*Rπ)/((Rπ+rb+gm(1+1/β)RE*Rπ))

β/gm=Rπ
を使うと、

=vin*β/(Rπ+rb+β(1+1/β)RE)
=vin*β/(Rπ+rb+(β+1)RE))

(2)式より
ib=vin/(Rπ+rb+(β+1)RE))

当然
ic=β*ib

 

以上から、Vinとicのみに注目すれば、図3は図4と等価(完全に同じ)であることがわかる。この場合エミッタ電圧については、無視されている
 

-----------------------------------------------------------------

 

■重ねの理による解法
まず、vinを短絡した場合を考える。すると、図5のように、gm*vbeが分岐するが、Rπ側に流れる電流を、 I1、RE側に流れる電流を、I2とする。
すると、分流則より
I1 = ic*RE/(rb + Rπ + RE)・・・・・①
I2 = ic*(rb + Rπ)/(rb + Rπ + RE)・・・・・②

  


              【図5】


次に、gm*vbeを開放すると、図6のようになるが、rb、Rπ、REを流れる電流をI3とすると、
vin = (rb + Rπ + RE)*I3
I3 = vin/(rb + Rπ + RE)・・・・・③
 

            【図6】

また、ibはRπを流れる電流なので、
ib = I3 - I1 ・・・・・③

よって、ic = βibを考慮すると、
ib = I3 - I1 =  vin/(rb + Rπ + RE) - ic*RE/(rb + Rπ + RE)
                = (vin - ic*RE)/(rb + Rπ + RE)
                = (vin - β*ib*RE)/(rb + Rπ + RE)
vin =  (rb + Rπ + RE)*ib + β*ib*RE

 

     = (rb + Rπ + (1+β)RE) * ib
を得る。
つまり、ibはvinとGND間につながる(rb + Rπ + (1+β)RE)を流れる電流で、icはそのβ倍である。
これを図にすると、図4になる。

               【図7】