自己バイアス回路の帰還率その影響
図1自己バイアス回路
図1の自己バイアス回路の小信号等価回路を図2に示す。この帰還回路はバイアス電流を安定させるためにあるのであるが、これは微妙に小信号、つまり、vinに対するゲインにも影響する。
ただ、この回路は、基本的に帰還アンプではない。
帰還率kとは、信号をVoutからVinに減算で戻す率をいう。たとえば1/5とか。これを後ろ向きゲインともいう。前向きゲインはアンプの生のゲインである。ループゲインとは前向きゲイン*kである。
図2 小信号等価回路(帰還率計算用)
図3 図3と同じ帰還の仕方であるOPAMP回路
その前にまず図3のOPAMP回路の帰還の仕方を見てみる。これは図2の仕方と同じである。このアンプの帰還点は入力部分にない。OPAMPのー端子部分である。(B)は帰還率計算用である。この回路の帰還率kは、C1のインピーダンスをzcとすれば、
k=zc/(zc+R1)
となる。そしてVinも、R1/(zc+R1)倍され帰還信号との差がとられ、OPAMPのー端子に入る。よって、ゲインvout/VinはR1/zcとなる。
図2もこれと同じで、簡単のためにベース(B)のINインピーダンスを無限ととしてしまえば(実際は考慮しなくてはならない)これと同じになる。
ただ、図1の回路の帰還は、バイアス電流安定用なのであり、信号には影響ないようにしてある。実際、信号周波数において、
zc<<R1
となっている。たとえば、100Hzでは、
zc=1/(2π*100*10^-6))=159Ω<<3.3MΩ
すると、この周波数では帰還率kは≒0としてもよい。するとゲインは1/kとなるのだが、この値が前向きゲイン(生のゲイン≒42)よりはるかに大きいので、ゲインはkに制約されない。つまり、
アンプの生のゲイン(≒42)<1/k
のとき、無帰還アンプとなる。
これは当然だ。帰還アンプというのは生のゲインを非常に大きくしておいて、それを
1/k
に制限することで、ゲインの精度を高めているからだ。もし、生のゲインが1/k以下であればそれ以上にはなれないのだから、1/kのゲインはえられず、ほとんど、生のゲインになる。