AUTO ZERO OPAMP オペアンプ原理解説
http://www.ti.com/lit/an/slyt204/slyt204.pdf
Auto-zero amplifiers ease the design of
high-precision circuits
By Thomas Kugelstadt (Email: tk@ti.com)
Senior Systems Engineer, Industrial Systems
の中のAUTO ZERO AMPの部分を私自身が、私のやり方でわかりやすく解説した。
AUTO ZERO AMPというのは、オフセット電圧が通常のOPAMPの1/1000くらいに小さいOPAMPである。
■解説
●1.概説
OPAMPにおいて、ゲインをA、IN換算オフセット電圧Vosとすると、
Vout=Vin*A+Vos*A=A(Vin*Vos)
となる。VosはVinに含まれるので、NFBによってゲインがGになったとき、
Vout=G(Vin+Vos)
となる。そこでもし、
Vout=A*B*Vin+A*Vos
であるようなOPAMPがあったとする。これは、
Vout=B*C(Vin+Vos/C)
と書ける。これは、
A-->B*C
Vos-->Vos/C
という対応させると、Vos/Vinが、1/C倍になったことになる。上の資料で解説されるAUTO ZERO AMP(一般にはゼロドリフトアンプ)とは、2つのアンプをつかってこれを実現したものである。
図1 全体構成
図1がそれを実現したものであり、SW切り替えで実現している。つまり、ある調整期間を増幅の間に入れている。調整期間に調整されると、増幅期間では、Vinに対しては図2のように、VosM,VosNに対しては図3のように動作する。このあたりを簡略化してある。VosNに対しては調整期間で、ゲインを下げるようにしている。
図2 信号ゲイン
図3 オフセット電圧ゲイン
その結果、
Vout=Vin*A+Vin*A*B
+VosM*A+VosN*(A/B)*B
=Vin*A((1+B)+A(VosM+VosN)
ここで、B>1であるから、
Vout=Vin*A*B+A(VosM+VosN)
=A*B(Vin+(VosM+VosN)/B)
となり、オフセット電圧は1/B倍にされている。もそ、B=10000であれば、mオーダーがμオーダーになる。
●1.調整期間の仕事
間欠的に調整モードが入る。この中心はヌルアンプ(図1の下)である。ヌルアンプはこのモードで図4のように接続される。このアンプは第三端子によりFBされているので、
VoutN=VosN*ANーVoutN*BN
VoutN(1+BN)=VosN*AN
VoutN=VosN*AN/(1+BN)
というゲインを持つ。BN>>1なので、
VoutN≒VosN*AN/BN
としてよい。この電圧はC1に保存される。
図4 調整期間におけるヌルアンプの仕事
この状態でSWを切りかえ信号増幅モードにする。これを図5に示す。ヌルアンプのB端子には、上の調整モードの時にC1に保存されたVoutNがそのまま入れてある。VosNを入れれば調整モードのときのVoutNになるはずだ。そこで、ヌルアンプにVin+VosNが入れば、
VoutN=Vin*An+VosN*AN/BN
さらに、この結果から、
VoutM=(Vin+VosM)*AM+BM(Vin*AN+VosN*AN/BN)
=Vin(AM+BM*AN)+VosM*AM+VosN*AN
ここで、AM<<BM*AN、AM=AN、BM=BNとすると、
VoutM=Vin*BM*AM+(VosM+VosN)*AM
=BM*AM(Vin+(VosM+VosN)/BM)
となり、概要に説明した形になる。
図5 信号増幅モード
さらにこのあと再び図4の調整モードになり、これを図6に示す。この時、メインアンプのB端子にはC2に保持されている電圧が供給されているのでまえの増幅期間の値に保持される。そして、図4と同じように、VosNの(A/B)倍がC1に保存される。このようにVosN値がC1に更新される。
図6 調整モード