SonofSamlawのブログ

うひょひょ

対称座標法を簡潔に解説

ライター:mpcsp079さん(最終更新日時:2016/10/7)投稿日:2016/1/4

  •  

 

対称座標法を簡潔に解説  

 対称座標法の基礎回路 | 音声付き電気技術解説講座 | 公益社団法人 日本電気技術者協会 (jeea.or.jp)

 

対称座標法を簡潔に解説してみた。この方法は、

対称性がなくなったため、簡易的な計算が不可能になった回路を、対称(平衡)成分に分解することによって、1相分の計算で済むようにするアイデアである。

さらに、送電線路によるインピーダンス行列を対角化し、零、正、逆のかく成分を完全に分離して考えられる。

という利点がある。






非平衡3相フェイザ(電圧、電流)の平衡フェイザへの分解

       

         図1 分解されるべき非平衡3相フェイザ

 

  図1のような非平衡なフェイザを、図2の2つの平衡3相フェイザA,B,C,a,b,cと1つの単相フェイザDの和で表そうということです。
   f=D+A+a
   g=D+B+c
   h=D+C+b
   

      D=(f+g+h)/3  

    


         図2 2つの平衡3相フェイザ

 

参考でちゅ
http://www.jeea.or.jp/course/contents/01123/

 

  どうしてこんなことができるか証明します。 下図が対称座標で表すべき3相(f,g,h)のフェイザです。これを2つの平衡3相フェイザA、B,Cとa,b,cと単相フェイザDで次のようになるとします。
   f=D+A+a
   g=D+B+c
   h=D+C+b    

  ここでαを単位長で偏角120°のフェイザとしますと
   B=α^2*A
   C=α*A
   b=α*a
   c=α^2*a
となり、

    f=A+a+D
   g=α^2*A+α*a+D
   h=α*A+α^2*a+D

となり、これはA,a,Dに関する連立方程式であり、これを解くことで求まります。係数の行列式は≠0なので解は存在します。

  つまり、

   単相フェイザD
    正相3相フェイザA,α^2*A、α*A
   逆相3相フェイザa,α*a,α^2*a
   
が求まります。


  つまり、不平衡フェイザf,g,hが2つの3相平衡フェイザと1つの単相フェイザで表されたことになります。
これで証明終わりです。

 

  正相分と逆相分はどちらも反時計まわりです。フェイザはすべて同じ方向に回転していなければなりません。ことなる回転方向のフェイザをたすことは意味ありません。

 

 

■使用法 

http://www.jeea.or.jp/course/contents/01125/

  

 

                図7

 

  Ea,Eb,Ec,Va,Vb,Vc,Ia,Ib,Icについて次の方程式が成り立つ。送電線間に相互インダクタンスや容量などがある場合、それらは対称であるとしれば、インピーダンス行列は対角要素はすべて等しく、かつ非対角要素も等しくなる。

 

 

 

 

  

  


ここで、

      Z0=z1+2z2+3Rn

      Z1=z1-z2

      Z2=z1-z2

とし、零相、正相、逆相インピーダンスという。これらより、

   0=V0’+Z0*I0

   Ea=V1’+Z1*I1

   0=V2’+Z2*I2

となる。

 

 

■使用法2  

       図8  不平衡負荷による不平衡電流、電圧

  

  図7において電源は平衡であるとする。Va,Vb、Vc、Ia,Ib,Icは平衡ではない。そこで、
    Va=V0+V1+V2

    Vb=V0+α^2*V1+α*V2

    Vc=V0+α*V1+α^2*V2
    Ia=I0+I1+I2

    Ib=I0+α^2*I1+α*I2

    Ic=I0+α*I1+α^2*I2

と対称座標で表せる。また、
    I0=(Ia+Ib+Ic)/3

    I1=(Ia+α*Ib+α^2*Ic)/3

    I2=(Ia+α^2*Ib+α*Ic)/3
ともかける。

    V0=-Z0*I0

    V1=E-Z1*I1

    V2=-Z2*I2
ここで、a相地絡、つまり、ZB,ZC=∞、ZA=Rgとする。

  すると、Ib=Ic=0、Ia=Ig、だから、上の式から、

    I0=I1=I2=Ig/3=Ia/3

が成り立つ。また、各平衡成分ごとに次が成り立つ。   

    V0=-Z0*(1/3)Ig

    V1=E-Z1*(1/3)Ig

    V2=-Z2*(1/3)Ig

  Vaは地絡であるから、
    Va=V0+V1+V2=0

だから、

 -Z0*(1/3)Ig+ E-Z1*(1/3)Ig-Z2*(1/3)Ig=0

  Ig=3E/(Z0+Z1+Z2)<---答え 
  では、Z0,Z1,Z2はどのように出てくるか?

http://energychord.com/children/energy/trans/tl/contents/tl_sym_coord_app.html

から引用する。

  相互に作用しあう送電線を考える。

 

 

送電線の端間電圧⊿Va,⊿Vb、⊿Vcと電流Ia,Ib、Icの関係は、

 

 

となる。

 

 

  これをこれを零相、正相、逆相に分解すると、

 

となり、さらに、

 

と対角化され、

 

となる。

 

  つまり

    Z0=Z11

    Z1=Z22

    Z2=Z33

となる。

 

■参考質問

至急です!電気回路の問題です!三相の非対称電流を対称電流に変換し、零相電... - Yahoo!知恵袋

至急です! 電気回路の問題です!
三相の非対称電流を対称電流に変換し、零相電流、正相電流、逆相電流をそれぞれ求めなさい。
Ia=j[A]
Ib=1[A]
Ic=-1[A]

 

解答

j=A+a+D
1=α^2*A+α*a+D
ー1=α*A+α^2*a+D
α=e^(j2π/3)
から、
D=(j+1-1)/3=j/3
すると、
jーj/3=2j/3=A+a
1ーj/3=α^2*A+α*a
となり、
2j/3=A+a
(1ーj/3)/α=α*A+a
から、
2j/3ー(1ーj/3)=Aーα*A
ゆえに、
A=(2j/3ー(1ーj/3))/(1-α)
a=2j/3ー(2j/3ー(1ーj/3))/(1-α)

正相電流 (2j/3ー(1ーj/3))/(1-α)
逆相電流 2j/3ー(2j/3ー(1ーj/3))/(1-α)
零相電流 j/3

 

 

■参考資料

http://www.cek.ne.jp/~kunio.h/taisyo.htm

http://www.jeea.or.jp/course/coおntents/12116/

http://www.net1.jway.ne.jp/atom2606/taisyou.html

相分離法と減衰ベクトル対称座標法による交流機の過渡現象の解析理論

http://www.geocities.jp/ps_dictionary/yamamura/85.htm

「対称座標法」と「重畳の理」および代表的な「故障計算法」について

http://www.amiyata.net/Symmetriccordn.pdf

対称座標法で非対称多相回路を対称多相回路に変換できる。

http://k-lab.e.ishikawa-nct.ac.jp/course/CT1/11CT1/handouts/11CT1_f_lect15/11CT1_f_lect15_slide.pdf

対称座標による故障計算

http://ps.eei.eng.osaka-u.ac.jp/funaki/notes/class/h20/H20-powersystemanalysis-9.pdf

対称座標法の応用問題例

http://www.geocities.jp/spwks280/test-4337.html