ライター:mpcsp079さん(最終更新日時:2013/8/22)投稿日:2013/7/22
ロケットの打ち上げは難しい。アポロ計画では月着陸船が逆噴射で月面に着陸した。しかしこれが可能であろうか? これについて考えてみた。
図1 倒立振り子
図1は倒立振り子である。物体Aは台座Bの上にのっていて、θの回転が可能である。Bは横に動き(d)、Aが倒れないようにしようとする。ロケットの場合、Bは上にむかってAを押す。重力とこの推力により、Aは傾こうとする力が生じる。これをノズルの角度を制御すること、図1ではdにより立て直す、もしくはθ=0に制御するのである。
たとえば長さLの棒を手の上に立てて、このような制御をやった場合、Lが小さいと倒れないようにすることが難しくなる。どうしてだろうか?
ここで数学的に考えてみる。ものが回転しようとするとき、その回転中心からみた慣性モーメントIが大きいほど回転しずらくなる。この慣性モーメントIは回転中心からAの各点までの距離をrとしたとき、
となる。ここでVは体積、ρは密度である。つまり、回転中心から遠い位置に質量があるほどその距離の2乗で大きくなる。重かったり、長かったするほうがIは大きくなる。とくに長さは効く。
つまり、重さが同じでも、長いものほどIは大きくなる。ロケットで考えれば、重力や推力によるθの反応は小さくなる。長いものほどθの反応はちいさくなり、したがって、制御は楽になる。
たとえばサターンの打ち上げ時の姿勢制御は月着陸船の姿勢制御より楽になる。
棒を手の上にのせ倒れないようにすることを考えると、長いもののほうが楽である。数cmのものを倒れないようにすることは不可能であるだろう。回転の反応が速いからだ。
このことから考えても、長さが短い月着陸船を逆噴射で姿勢を保つのは、しかもそれを手動で制御することは不可能であることがわかる。
月着陸船を逆噴射で姿勢制御すること、特に手動でやることは不可能である、という結論である。さらに離陸の場合も難しいことがわかる。
参考
https://www.youtube.com/watch?v=gSrgzZgeCjU