ライター:mpcsp079さん(最終更新日時:2016/4/16)投稿日:2013/5/14
LM324の位相補償とF得を調べた
図1 LM324OPAMP回路
図2 図1の簡略化回路
図2-補足 実際はQ9が入り、Q6のベース電圧を調整します。
Q6のVbeを0.65Vにするためです。
図3 さらなる簡略化回路
図3において、BJTの等価回路でのrb,rπ,rπ、Cμ(図ではrpi,Cpi、Cu とした)をBJTの外に示した。したがって図のBJTは入力インピーダンス無限である。Cu(Cμ)はコレクターベース間容量であり、Ccは位相補償容量である。
図4 エミッタフォロワ省略
図4において、RL1、RL2は図3のエミッタフォロワの入力インピーダンスとしていて、周波数特性や後段からの影響を無視している。同じように、図3のエミッタフォロワの出力インピーダンスを0として、その周波数特性と値を無視している。これにより、前後段が分離して計算が簡単になる。
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n178570
によれば、エミッタフォロワの周波数特性はωT(β=1となる周波数)まで一定であるという結果がでているし、この値は10MHz以上であると考えられるので、このOPAMPの帯域が1MHzであることから考え無視しても妥当であると言える。
図5 帰還容量をミラー容量に置き換える
図5ではすべての帰還容量(Cμ、Cc)をミラー容量に変換して近似回路としている。帰還部分がなくなったので計算が容易になる。それでもミラー容量はそのアンプのゲインが反映されるので、後段から決めていかなくてはならない。
図6 図5の小信号等価回路
図6は図5の小信号等価回路である。
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n178297
の式(3)により、
(2)式の中のC3は(1)式で定められたものであり、(3)式の中のC2は(2)式で定められたものであることが注意である。つまり、きわめて複雑な式となる。
viからvo間での伝達関数は、
(4)
となる.。すべての項は掛け算である。C1,C2,C3も詳細に書くと、
(4)’
となり、きわめて複雑です。このC1,C2,C3を(4)’式のように 代入すると大変なことになります。
(5)
結局(5)式のように近似できる。(3)式などによれば、T1はCπ*rb程度になるようなので極、ー1/T1はゲイン=1の周波数(1MHz)に比べはるかに高い周波数となるとよそうされる。そこで帯域内では、
(5)’
と近似できる。これは帯域内では位相は―90°となりどんな帰還率でフィードバックしても安定になる。(5)’式は正確に書けば、
(6)
である。極ー1/(CcR)は非常に低くなっている。
**** 勉強会 ****
使う知識は交流理論、トランジスタ等価回路のみであり、ラプラス変換はいりません。がんばれば理解できるはずです。
***** 計算の基礎 *******
① RとCが直列の場合、そのインピーダンスZは?
V/I=Z=R+1/(jωC)
である。これからはjωをsとおきます。つまり、
V/I=Z=R+1/(sC)
と書きます。これはIからVへの伝達関数でもありますが、ラプラス変換を知らなくてもだいじょうぶで、単にjωをsに置いただけと考えてもいいです。最後の結果においてs-->jωと置き換えればいい。
②抵抗RのインピーダンスはR
③容量Cのインピーダンスは1/(sC)
④インダクターLのインピーダンスはsL
⑤RとCの直列回路のインピーダンスはR+1/(sC)
⑥RとCの並列回路のインピーダンスは(R*(1/(sC))/(R+(1/(sC))=R/(1+sCR)
これOKかな?R1とR2の並列抵抗はR1*R2/(R1+R2)ですね。
⑦インピーダンスZに電流Iを流した時のZにかかる電圧Vは、
V=I*Z
⑧電圧の分圧。
図7
図のような場合、Vo=Vi*Z2/(Z1+Z2)
*****************
***** 軽く計算例 ******
⑨エミッタコモン回路
図8
V1=Vi*(rpi//Cpi)/(rb+(rpi//Cpi))
vo=-v1gmRL (-がつくのは電流源記号の矢印が下向きだから)
∴ vo=-vi*gm*RL*(rpi//Cpi)/(rb+(rpi//Cpi)) (a1)
ここで、
rpi//Cpi=rpi/(1+s*rpi*Cpi) ですね! (a2)
⑩コレクターベース間容量Cμの処理
図9
この回路はCμによりフィードバックされているので計算がやっかい。そこで下の⑪のようにミラー容量を考え、IN/OUTを分離する。等価なものではなく、近似であるところ注意!
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n180115
参照
⑪ミラー容量近似
図10
ゲイン=G=vo/vi
とすると、
C1=Cpi+(1+G)*Cu
である。図では、
C1=Cpi+(1+gmRL)*Cu
もしRLが容量Cであれば、
C1=Cpi+(1+gm1/(sC))*Cu
⑨の(a1)式のCpiをC1に置き換えればvo/viが計算できる。
これは
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n178297
の(3)式である。
********************
追加
⑫
それから、下の図の場合電流i1,i2は?
i1=Z2/(Z1+Z2)
i2=Z1/(Z1+Z2)
ですね。証明は、
図の並列インピーダンスZは
Z=Z1*Z2/(Z1+Z2)
ですね。この電圧はZ*iですね。するとZ1の電流 i1 は、
i1=(i*Z1*Z2/(Z1+Z2))/Z1=i*Z2/(Z1+Z2)
i2=(i*Z1*Z2/(Z1+Z2))/Z2=i*Z1/(Z1+Z2)
------ 2012 5 18 -------
このままでは分かりずらいので紙にでも図と式をかきながらやってくだされ。
***** 極について ******
ここで休憩して、極の話をします。図8の回路を2つつなげたとします。つまり、RLのかわりに同じ回路がつながるのです。このときのvo/viを計算しましょう。ここで2段目のrpi,Cpiをrpi2,Cpi2として1段目と区別します。このとき2段目のv1もv12として区別します。
v12=(1段目から流される電流のうちCpi2に流れる電流)*(Cpi2のインピーダンス)
=(1段目から流される電流)*(rpi2/(rpi2+1/(sCpi2))*1/(sCpi2) (a3)
2段目のvoは、
vo=-v12*gm*RL
となる。わかりますか?Z1とZ2の並列回路に電流Iが流されたときZ2に流れる電流I2は、
I2=I*Z1/(Z1+Z2)
となります。どうしてかわかりますか? (a3)ではZ1=rpi2、Z2=1/(sCpi2)ですね。
そこで(a1)から 1段目のRLに流される電流は
-vi*gm*(rpi//Cpi)/(rb+(rpi//Cpi)) (a4)
(a3)から、この電流に、
(rpi2/(rpi2+1/(sCpi2))*1/(sCpi2) (a5)
をかけたものがv12となり、これに
gm*RL (a6)
をかけたものがvoとなる。 つまり、
vo=(a4)*(a5)*(a6)
となる。 この結果を整理すると、
となる。位相は1つの極でー90°となりますから、2つあると最終的にー180°動きますね。 もう少しかんがえてみましょう。 わかりやすくするため、-p1<<-p2とします(絶対値でp2が大きいという意味)。 s=jωとして周波数応答を考えます。 (a8)を見ましょう。
jで割るということは位相がー90°であるということ。j^2つまりー1で割るということはー90-90=-180°であるということ。
と各領域で近似できます。これをグラフに書くと ωが-p1を過ぎると20dB/decで下降し、さらに-p2を過ぎると40dB/decで下降する形になります。つまり、周波数ωが極を通過するごとに位相は90°づつ遅れていきます。OPAMPでは多段になりますから、極は5個かそれ以上できます。つまりそのままではフィードバックして使えないことになります。
下に紹介したURLの資料p10の図がわかりやすい。
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***** 交流理論について *****
ある周波数f(角周波数ω=2πf)で電圧電流がある場合、すべては角周波数ωの正弦波である場合、未知なものはその振幅と位相である。この関係を複素数を使って簡単に計算できるようにしたものが交流理論である。V/Iはインピーダンスという。その他電圧同士の関係など。値は振幅と位相情報をもつ。同じ角周波数で動く量の関係のみ(振幅と位相差)を計算しようとするため、時間変化の項(sin(ωt)、正確に言えばe^(jωt))は省かれている。
R,C,Lは上のようにR,1/sC、sLとして普通の抵抗計算と同じように計算できる。結果は複素数の大きさと位相角がでてくるし、ωをかえれば周波数によりそれらがどう変化するかがわかる。
これがわかっているかなあー??? むずかしいですよ。
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***** ざっとした見方の重要性 **
**** 要素3の完全な解析です ***
(4)’式は複雑であるが、まずつぎのようなおおざっぱな理解が大事である。そうしてから(4)’式のような詳細な検討に進むことが好ましい。どうして(5)’(6)式のようになるのか説明します。
少し難しくなるがどうしてこうすると、極が帯域外にいってしまうのかを説明する。ラプラス変換は関係なく、交流理論だけで理解できますよ。
---------追加文章ーーーーーーーーーーーーー
ここでは上のようにな伝達特性の式の分母を因数分解して極を求めるのではなく、その周波数特性の変化点から極を推測していこうとするものです。因数分解は現実に不可能だし、この方が大きな見通しを得るのにいいのです。
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図11 OP AMPの位相補償ブロック図
図11において、要素1は初段差動部分のベース部分。要素2はそのコレクタ部分。要素3は位相補償部分である。要素1はポールp1をもつ。このp1はc点からみた要素3の入力インピーダンスに依存する(ミラー容量のため)。要素2はv1に従属した電流源である。要素3は入力にエミッタフォロワをいれてあるエミッタコモン回路であり、入力インピーダンスが高い。また負荷としては電流源と出力段(不図示)のエミッタフォロワなので電圧ゲインは大きい。しかし、負荷インピーダンスが大きいため、ミラー効果で低い周波数にポールができてしまっている。Bはこの特性を表している。つまりBには低いポールがある。当然問題にならない高い周波数のポールも持っている。
図12 要素3の詳細
まず要素3から考える。図12において考察する。Z1は要素2のOUT側から見たインピーダンスと要素3の入力インピーダンスの並列値、Z2は1/sCcである。i は要素2の電流OUTである。これからiからvoまでの伝達特性を考える。
ve=i*Z1*Z2/(Z1+Z2) + vo*Z1/(Z1+Z2)
vo=-ve*B
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上のはじめの式は重ねの理で計算した。つまり
①vo=0 でvo点をGNDにショートし、 i のみ存在するときのveの値と、
②i=0でvoのみ存在する場合のveの値を
合計したものである。
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これらよりveを消去すると、
-vo/B=i*Z1*Z2/(Z1+Z2) + vo*Z1/(Z1+Z2)
-vo*(1/B+Z!/(Z1+Z2))=i*Z1*Z2/(Z1+Z2)
vo=-i*Z1*Z2*B/(Z1+Z2+Z1*B)
=-i*(Z1*Z2/(Z1+Z2))*(B/(1+B*Z1/(Z1+Z2))) (a9)
ここで式(a9)の B/(1+B*Z1/(Z1+Z2)) 考える。Bはエミッタフォロワも含むから多くのポールをもつ。しかし、それが
OPAMPの帯域内をだいぶ超える周波数領域で十分なゲイン(>>1)をもつならば、
この部分の分母は≒B*Z1/(Z1+Z2)と近似できる。すると(a9)式は、
voi≒-i*(Z1*Z2/(Z1+Z2))*(Z1+Z2)/Z1= -i*Z2 (a10)
と簡単になってしまう。つまり、いくらAMPのBにOPAMP帯域内にポールがあっても、十分ゲインが大きければ、Cc によるフィードバックにより、帯域外に追い出すことができるのである。十分周波数がおおきくなれば、多くのポールがでてくるので(a10)は成り立たなくなる。ここで、
Z2=1/(sCc)
とすると、s=jωとして周波数をーー>0にしてゆくと、Z2は大きくなってゆく。すると上で考えた
B/(1+B*Z1/(Z1+Z2))の分母は今度は≒1 となってしまう。さらに
Z1*Z2/(Z1+Z2) はZ2-->大 で -->Z1になってゆく。つまり周波数は低くなると、
vo≒=-i*Z1*B (低周波)
になる。この切り替わり周波数が低域のポールとなる。
さらにこの部分の入力インピーダンスZinを考える。
上の式
ve=i*Z1*Z2/(Z1+Z2) + vo*Z1/(Z1+Z2)
vo=-ve*B
で、voを消去すると、
ve=i*Z1*Z2/(Z1+Z2) -ve*B*Z1/(Z1+Z2)
Zin=ve/i=(Z1*Z2/(Z1+Z2))/(1+ B*Z1/(Z1+Z2)) (a11)
ここで 1<< B*Z1/(Z1+Z2) であるような周波数では(a11)は次のようになる。
Zin≒Z2/B (a12)
つまり、
Zin≒1/(jωCc*B) (a13)
となり、BがおおきいとZinは小さくなる。すると図11の要素1のミラー容量は小さくなり、これによるポールは帯域外になると思われる。つまりOPAMP帯域内では、(6)式のような簡単なものになることがわかった。
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****** まとめ **********
(a13)式はミラー効果の証明になっている。ゲインーBのアンプにCcでフィードバックすると、IN側から見るとCc*Bの容量に見えるということの完全な証明だ。
図11の要素3に関する(a9)式、
vo=-i*(Z1*Z2/(Z1+Z2))*(B/(1+B*Z1/(Z1+Z2))
の分母
1+B*Z1/(Z1+Z2)
は、Bのポールの数がnなら、つまりBがsのn次多項式なら、n次以上の多項式になる。これを因数分解したものがポールである。 上での考察により、(a9)のポールは非常に低い周波数が1つと、残りは高い周波数になることがわかった。それは、周波数特性がその高い周波数まで平らだからである。つまり、Bのポールが低い側と高い側に移動したと考えられる。下の資料p26に示されている。
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参考に
http://www.si.eei.eng.osaka-u.ac.jp/reference/osk_0208_03.pdf#search='位相補償'
かなりおおざっはですがいろいろ説明されています。ちらりと眺めるだけにして。
**** 5/21 参考までに*****
簡単な例で極移動を計算してみました。
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n179936
こんな質問もありました。
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14107618614
回答です。
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n180115
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***** 5/23 ***********
またこんな質問もありましたよ
http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14107669674
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