ライター:mpcsp079さん(最終更新日時:2016/4/14)投稿日:2013/3/20
RRオペアンプ回路解析1
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n43066
も参考に・・・
■AD8591全体回路
IN/OUT RR オペアンプAD8591のOUT回路を解析してみた。図1がデータシートに記載されていた概略回路である。この回路は確かダイヤモンド回路と呼ばれ、USPになっている。
図1 AD8591(AD社のデーターシートより)
CMOSで構成されているのだが、図2においてBJTで構成してみた。
図2 BJTで書き直してみた
図3ではIN+をIN-より大きくしたときの各部の電流の変化を示す。図2に示した電圧Va,VbがOUTBJTを駆動する。
図3 IN+をIN-に対して大きくしたときの電流変化分
■ OUT駆動部考察その1
図4にはこの回路の「みそ」であるOUTBJT駆動部を中心に示した。OUTBJTはおまけのように示してある。同図において、図3における電流を電流源としてQ6,Q12のエミッタに置いた。
図4 OUTトランジスタ駆動部分
図4において、Ia=Ibであれば、Va=Vbであり、その値は20μAを流すVbeとなる。
Ia>Ibであれば、Q12とQ6によって流れ込んだ電流はIbより大きくなる。これにより、Vbは上がり、Q12のベース電圧は下がる。つまり、Q12はカットオフになる。行き場を失った電流はVbを激しく上げる。つまりQ12のエミッタはIa-Ibの電流源となる。これを吸い取ってくれるのは、位相補償コンデンサだけである。この場合でもVaは20μAの流れるQ3のVbeとなっている。つまりOUTーBJTの死んでいる方は、必ずある電流が流されている。
この回路では、OUTBJTに安定したバイアス電流をながすことができ、片方のOUTBJTが大きく駆動されているときでも、もう片方には安定してバイアス電流を流し続けることができる。
つまり、Va,Vb点は2つのOUTBJTに対しての、IN電圧に対応した電流源であるのである。それぞれのOUTBJTに対してバイアス電圧の上に設置されている。であるので、OUTBJTのコレクタとベースにCを付ければ通常の位相補償ができる。
VbがQ11を駆動しているとき、Q12は死んでいるのかもしれない。補償コンデンサが電流を吸い取るのでQ11のVbeはこの電流をコレクタに流す分くらいしか上がらない。だからQ9,Q12は死なないでいられるのかもしれない。
OUTBJTのそれぞれのベース電圧に電流源を設け、どちらのBJTにもバイアス電流を切らないようにしてあるのである。
この回路はBJTでは使えないのかもしれない。MOSTでないとVa,Vb点の抵抗が低いとまずいのかもしれない。
■OUT駆動部の考察その2(別な考察)ーー上の考察はまちがいであろう。
以上のように考えてみたが、実は
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n165383
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n165292
の中の回路と同じ原理であることがわかった。図5で考える。
この構造は、Q5,Q11がMOSFETでないと使えない。ゲート抵抗が大きくないといけないからだ。BJTでは使えない。
図5 Q5,Q11がMOSFETの場合、Ia,Ibの先は高抵抗であるのでハイゲインとなる
図5においてIsはバイアス電流分でIa、Ibは信号(変化)分である。Ia、Ib=0なら、Va,VbはQ3、Q9に20μA流すためのB-E間電圧である。
Ia,Ibが0でない場合、それは図5に示すように同じ方向で入る。Q6,Q12で作られる回路は図5に示すように還流し、Ia,Ibが小さく同じ方向である時、流れ込むことができない。つまり、Va,Vb点は高抵抗となる。したがって、IaはQ5,Q3に、IbはQ11,Q9のベースに流れ込むしかない。この還流回路は、Ia,IbをOUTトランジスタの無信号時のベース電圧点の電流源に変換する機能があるのである。
Ia,ibが大きくなるときを考える。Ia,Ibは図5の方向であるとする。この原因としてVoutが大きいというだけでなく、OUT電流が大きいことが考えられる。この電流、振幅を得るためにこの場合Q11のVbe=Vbは上げられる。これはフィードバックの結果そうなるのである。このとき、Q9の電流も上がり、したがってQ12のベース電圧は下がる。このためQ12のコレクタ電流の絶対値は下がる。しかし、これは図5の上向きの電流(変化分)が大きくなったことになる。これとは逆にQ3のB-E間電圧は上げられ、コレクタ電流の絶対値は上げられる。これは図5の矢印の方向に電流の変化分が大きくなったことになる。このことは、還流電流成分がが大きくなったことになる。さらにIa,Ibが増えると、Q12のコレクタ電流の変化分がQ6のそれの変化分よりちいさくなり還流のバランスはくずれ、IaはQ6のエミッタに流れ込みIbに足し合わされるようになる。これによりQ5の電流減少はバイアス電流くらいでとどまり、Q11のコレクタ電流がその分増やされる。もしIbが死んでIaだけのとき、Iaが大きくなると、Q6のコレクタ電流はQ12のそれより大きくなり、IaはほとんどがQ11のベースを駆動するようになる。
つまり、平衡付近、つまりIa、Ibが小さいときには、iaはQ5、IbはQ11を対等に駆動するが、これらが大きくなっていくと、つまりVoutに大きな振幅が必要か、大電流を流さなくてはいけないとき(この場合吸い込まなくてはいけないとき)、Q6とQ12のバランスは崩れ、Q6のコレクタ電流が増し、Iaの一部はIb側に流れるようになっていく。
このようにこの回路は驚くほどうまく動くのである。
■ さらに別な解釈が出てきた
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n282459
■ 補償コンデンサについて
図5 通常オペアンプの構成
通常のオペアンプでは、図5のようにIaとIbの差の電流でC1フィードバックつきエミッタコモン回路が駆動される。RRアンプではこれを上下2つのトランジスタで行う必要があるのである。これを図6に示す。
図6 RRオペアンプのOUT部分の構成