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うひょひょ

バイポーラトランジスタ BJT 小信号等価回路の解析法

         

ライター:mpcsp079さん(最終更新日時:2016/4/18)投稿日:2013/1/30    
.     

  

              図1 小信号等価回路

■問題

 図1はエミッタに抵抗R2を入れたエミッタコモン回路の小信号等価回路である。

BJTの動作を考えると、エミッタからベースに注入されたキャリアが1:βの割合でベースとコレクタに流れ込む。これを逆に見れば、コレクタとベースから流れ込んできた電流はすべてエミッタから出てゆく。コレクタからベースに流れたり、ベースからコレクタにながれたりはしない。

 R2がどんなに大きくてもコレクタ電流はすべてR2を流れる。

 

さて、この等価回路を、上のことを考慮しないで、

 

    ie/ib=1+β

    ic=β*ib

    Rbe=β/gm

 

という条件のみで解いたらどうなるのかを試した。

 

■計算1(簡単な解法、ib,icはすべてR2に流れる)

ie=ib+ic

ve=(ib+ic)*R2=ic*R2*(β+1)/β

(vinーve)*gm=ic

より、

ve=(vinーve)*gm*R2*(β+1)/β

ve=vin*(gm*R2*(β+1)/β)/(1+gm*R2*(β+1)/β) 

ie=ve/R2

  =vin*(gm*(β+1)/β)/(1+gm*R2*(β+1)/β) 

ib=ie/(β+1)=vin*(gm/β)/(1+gm*R2*(β+1)/β) 

vbe=ib*Rbe=ib*β/gm

   =vin/(1+gm*R2*(β+1)/β) 

 

■計算2(一般回路計算、重ねの理と条件ib*β=icによる)

ib,icはJTに流れ込む方向を正とし、ieは流れ出る方向を正とする。

 

電圧源vinのみあるとき、                 <--(1)

ib1=vin/(Rbe+R2)

ie1=vin/(Rbe+R2)

 

電流源gm*Vbeのみあるとき、            <--(2)

ib2=ーgm*vbe*R2/(Rbe+R2)

ie2=gm*vbe*Rbe/(Rbe+R2)

 

以上から、実際のib,ieは、 

ib=ib1+ib2=vin/(Rbe+R2)ーgm*vbe*R2/(Rbe+R2)

         =(vinーgm*vbe*R2)/(Rbe+R2)     <--(3)

ie=ie1+ie2=vin/(Rbe+R2)+gm*vbe*Rbe/(Rbe+R2)

         =(vin+gm*vbe*Rbe)/(Rbe+R2)    <--(4)

 

vbe=ib*Rbeより、(3)式は、

ib=(vinーgm*ib*Rbe*R2)/(Rbe+R2)     

Rbe=β/gmだから、

ib=(vinーβ*ib*R2)/(β/gm+R2)     

ib*(1+β*R2/(β/gm+R2))=vin/(β/gm+R2)

ib*(β/gm+R2+β*R2)=vin

ib=vin/(β/gm+R2+β*R2) 

 =vin*(gm/β)/(1+((1+β)/β)*gm*R2)   <--(5)

 

これよりieは、

ie=(1+β)*ib

=vin*((1+β)/β)*gm/(1+((1+β)/β)*gm*R2) 

  

 

 

一方また、 

(4)式のvbeにib*Rbe=ib*β/gmを代入し、(5)式を入れ、

ie=(vin+ib*β*Rbe)/(Rbe+R2)    

ie=(vin+β*Rbe*vin/(β/gm+R2+β*R2))/(Rbe+R2)    

 ie=(vin+Rbe*vin/(1/gm+R2/β+R2))/(Rbe+R2)  

ie/vin=(1+β/(1+gm*R2/β+gm*R2))/(Rbe+R2)  

=(1+β+gm*R2/β+gm*R2))/((1+gm*R2/β+gm*R2))*(Rbe+R2)) 

= (1+β)(1+gm*R2/β)/((1+gm*R2*(1+β)/β)*(β/gm+R2))

=((1+β)/β)*gm*(β/gm+R2)/((1+gm*R2*(1+β)/β)*(β/gm+R2))

=((1+β)/β)*gm/((1+gm*R2*((1+β)/β))             <--(6)

 

また、

ib=ie/(β+1)と(3)(4)式より、

vin+gm*vbe*Rbe=(β+1)*(vinーgm*vbe*R2)

vin+gm*vbe*Rbe=(β+1)*vinー(β+1)*gm*vbe*R2

gm*vbe*Rbe+(β+1)*gm*vbe*R2ー=(β+1)*vin-vin

vbe*(gm*Rbe+(β+1)*gm*R2)=β*vin

vbe=β*vin/(gm*Rbe-(β+1)*gm*R2)

  =β*vin/(β+(β+1)*gm*R2) 

   =vin/(1+((β+1)/β)*gm*R2) <--(7)

 

 

■結論 

 

 Rbe=β/gmとすることで、ic/ib=βが自動的に成り立つ。

 (5)式のibにRbe=β/gmをかけたものは(7)式のVbeに一致するので計算は間違いないと思う。

 

 計算1と2の結果は一致した。計算1のような簡単な方法でよいことがわかった。

 

 何をやったのかがわからなくなったが、うまく説明できた。

 

 

 

 =======まってました(^^ =======================

 

 

 

> 「アナログ集積回路設計技術」も、

> > Rbeの電流はVbe/Rbeであり、これのβ倍がB1なのである。

> と書いてあるように読めるのですが、私はこれを、

> ⊿Vbe = (1+β)re * ⊿Ib

 

ΔIe=(1+β)*ΔIb

ΔVbe=re*ΔIe

ΔVbe=Rbe*ΔIb=Rbe*ΔIe/(1+β)=ΔIe*re

よって、

Rbe=re*(1+β)

 

> よって、

> Rbe = (1+β)re

 

> と思っていたわけでした。

 

いいのではないですか?私もそう思ってました。

 

> この、IbをVbeで微分したものが、自己コンダクタンスで、入力電圧によってIbが発生し、

> IbによってVbeが発生し、VbeによってIcが発生するのだと思っていたわけでした。

 

これもそのとおりだと思いますが、どこがおかしいのですか。すべて正解だと思いますよ。

 

 

>ところで、この話は元をただせば、cdaさんが紹介してくれたNT5マイクアンプの勉強でし>た。

>mpcspさんの話が理解できないと、先へ進むことは無理でしょうか?

>勧めてもらった掲示板のほうで、YandHさんがいろいろ目標を与えてくださっているのです>が。。

 

 上の考えでよいので、次に行ってください。