ライター:mpcsp079さん(最終更新日時:2014/2/20)投稿日:2012/3/13
バイポーラトランジスタ(BJT)についての解説では、
「BJTは電流増幅素子である」
「BJTは電流制御素子である」
といわれることが多い。
さらには、
「トランジスタの増幅作用ですが、送り込んだものを×200倍とかに自動的にしてくれる魔法の半導体ではなく、蛇口をひねって大きな電力をコントロールする。。。。
こんなところからもなんとなくトランジスタの増幅作用の働きがみえてきます」
なんて書いてあることもあり驚きであります。とにかく、ほとんどの人たちがこう言っているようにみえます。
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しかし、IcとIbはB-E間の電圧によって受動的に流れるものである。つまり、IcよりIbのほうが小さいだけであり、Ibが増幅されてIcになるわけではない。Ibが遠因でIcが生じたわけではない。あくまでも原因はVbeなのだ。
2つの抵抗に電圧をかけたとき、片方の電流がより大きいとき、これを
「もう片方の電流が増幅された」
などと言うだろうか。
BJTは単体においては、何も増幅していないのである。単にベースーエミッタ間電圧でコレクタ電流を制御しているだけなのである。
ベース電流がコレクタ電流を制御するのではなく、エミッタからベースに流れ込んだキャリアの大半がコレクタに流れ込み、少しがベースに流れ込むのだ。この原因となっているのはB-E間電圧Vbeなのだ。
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もしβ=1であったとする。つまり、Ib=Icである。このときgm値でいうと、βが∞の時の半分である。
つまり、β無限の時のgmに対して、β=1のときのgm/2になるにすぎない。
しかし、これでも電圧の増幅はできる。コレクタの抵抗をRLとすれば、Voutは、
gmRL/2
となり、増幅できる。