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フーリエ変換は常識であるが、証明はされなければならないものだ。しかし、これについての厳密な証明を見たことのある人がいるだろうか? 昔の大学の講義プリントから抜粋してみる。大変な証明である。多くの定理が出てくる。とりあえず各定理の証明は省いた。
リーマン
1.リーマンの定理
lim(k->0)∫(a,b) f(x)sin(kx)dx=0
lim(k->0)∫(a,b) f(x)cos(kx)dx=0
(a,b)でf(X)は単調有界、ψ(x)は積分可能とすれば、
∫(a,b) f(x)ψ(x)dx = f(a+0)∫(a,c) ψ(x)dx + f(b-0)∫(c,b) ψ(x)dx
なるCが存在する。
3.パラメータを含む積分
(1)
f(x,α)がa<= x <=bで連続のときは、S(X)=∫(a,b) f(x,α)は、αにつき連続である。
また、
∫(α1、α2) S(α)dα=∫(a,b){∫(α1、α2) f(x,α)dα}dx
(2)
fα(x,α)=∂f(x、α)/∂αが(1)の変域で連続なら、
(i)
dS/dα=∫(a,b) fα(x,α)dx
(ii)
(d/dα)∫(ψ(α)、Ψ(α)) f(x、α)dx
=f(Ψ(α)、α)dΨ/dxーf(ψ(α)、α)dψ/dx
+∫(ψ(α)、Ψ(α)) fα(x、α)dx
(3)
I(x) = ∫(a,∞) f(x,α)dx が収束で、|∫(x,∞) f(x,α)dx|<εならしめるxがαに無関係に定まるときは、I(α)はαにつき一様収束であるという。
以下(4)(5)(6)では、I(α)を一様収束であると仮定する。
(4)
f(x、α)が α1<= α <= α2 で連続ならばI(α)も連続である。
(5)
∫(α1、α2) I(α)dα=∫(a,∞) ∫(α1、α2) f(x,α)dαdx
(6)
∫(a、∞) fα(x、α)dx も一様収束ならば ∫(a、∞) fα(x、α)dx=I’(α)
(7)
∫(0、∞) f(x)dx が収束ならば、
lim(αー>0) ∫(0、∞) e^(-αx)f(x)dx=∫(0、∞) f(x)dx
(8)
∫(0、∞) (sin(kx)/x)dx の値
k>0としておく。
∫(0、∞) (sin(kx)/x)dx =∫(0、∞) (sin(t)/t)dt
=∫(0、π) +∫(π、2π) +∫(2π、3π) +・・・(交代級数)
(sin(t)/t)ー>1 (t->0)だから、∫(0、π) は積分可能。
|∫(nπ、(n+1)π)|>|∫((n+1)π、(n+2)π)|ー>0 (n=>∞)
であるから、この交代級数は∫(0、π) り小さい値に収束する。
I(k)=∫(0、∞) e^(-αx)(sin(kx)/x)dx (α>0) とする。
|∫(x、∞) e^(-αx)(sin(kx)/x)dx|
<∫(0、∞) e^(-αx)dx=(e^(-αx))/αー>0(xー>∞)
(kに無関係に<ε)
故にI(k)はkにつき一様収束であるから(6)により、
I’(k)=∫(0、∞) e^(-αx)(cos(kx))dx
=[e^(-αx)(sin(kx)k)](x=0、∞)
+(α/k)∫(0、∞) e^(-αx)(sin(kx))dx
=[ーα*e^(-αx)(cos(kx))/k^2](x=0、無限)
ー(α^2/k^2)∫(0、∞) e^(-αx)(cos(kx))dx
=α/k^2-(α^2/k^2)*I’(k)
∴I’(k)=α/(α^2+k^2)
∴I(k)=arctan(k/α)+C
I(0)=0 であるから C=0
(7)により、
lim(αー>0)I(k)=∫(0、∞) (sin(kx)/x)dx
であるが、k>0のとき、lim(αー>0)I(k)=π/2
明らかにk=0で I(k)=0
k<0でlim(αー>0)I(k)=ーπ/2
結局、
∫(0、∞) (sin(kx)/x)dx=π/2(k>0)
=0(k=0)
=-π/2(k<0)
ディレクレ
4. Dirichletの積分
f(x)を0<x<bで積分可能とし、f(+0)が存在するものとする。
lim(k->∞)∫(0、b) f(x)(sin(kx)/x)dxを計算するのが第一目的である。
|f(x)-f(+0)|<ε、0<x<δとなるδがεにより決まる。(δ<bにとる)。
∫(0、b) {f(x)-f(+0)}(sin(kx)/x)dx=∫(0、δ)+∫(δ、b)と分ける。
(δ、b)では、(f(x)-f(+0))/x が積分可能だから、上のリーマンの定理により、lim(k->∞)∫(δ、b)=0
残りの
∫(0、δ) {f(x)-f(+0)}(sin(kx)/x)dx
を考える。
Ⅰ. もし、x=0でf(x)の右方微分係数
f’(+0)=lim(x->0)(f(x)-f(+0))/x)が有限に存在するならば、
(f(x)-f(+0))/x)は(0、δ)で積分可能となるから、リーマンの定理で
lim(k->∞)∫(0、δ)=0
Ⅱ. f(x)が有界単調であるとき、
sin(kx)/x->k (x->0)であるからsin(kx)/xは積分可能である。
f(x)ーf(+0)は単調であるから第2平均値の定理により、
∫(0、δ) {f(x)-f(+0)}(sin(kx)/x)dx
=(f(+0)-f(+0))∫(0、ξ) (sin(kx)/x)dx
+(f(δ)-f(+0))∫(ξ、δ) (sin(kx)/x)dx
=(f(δ)-f(+0))∫(ξ、δ) (sin(kx)/x)dx、0<ξ<δ
|∫(ξ、δ) (sin(kx)/x)dx|
=|∫(kξ、kδ) (sin(t)/t)dt|
<∫(0、π) (sin(t)/t)dt=定値(交代級数の第一項)
|f(δ)-f(+0)|<εであるから、
|∫(0、δ) {f(x)-f(+0)}(sin(kx)/x)dx|
=|f(δ)-f(+0)|*|∫(ξ、δ) (sin(kx)/x)dx|<ε*(定値)
∴∫(0、δ) {f(x)-f(+0)}(sin(kx)/x)dx=0(kに無関係に0)
故にⅠ、Ⅱの何れかの場合に、
lim(k->∞)∫(0、b) {f(x)-f(+0)}(sin(kx)/x)dx=0、即ち、
lim(k->∞)∫(0、b) f(x)(sin(kx)/x)dx
=lim(k->∞) f(+0)∫(0、b) (sin(kx)/x)dx
=f(+0)lim(k->∞) ∫(0、kb) (sin(t)/t)dt=f(+0)π/2
同様に、
Ⅰ’. x=0でf(x)の左方微分係数が有限に存在するか、
Ⅱ’. f(x)が有界単調であるか
何れの場合には、a<0とし、
lim(k->∞)∫(a、0) f(x)(sin(kx)/x)dx=f(-0)π/2
まとめて、積分可能なf(x)に対して、
Ⅰ. x=0でf(x)の左右微分係数が有限に存在する。
Ⅱ. x=0の近傍でf(x)が有界単調である
のいずれかのか仮定のもとに(どちらでもいい、これをD条件とする)
lim(k->∞)∫(a、b) f(x)(sin(kx)/x)dx
=0 (a,bが同符号であるとき)
=(f(+0)-f(-0))*π/2 (a<0<b)
=f(+0)*π/2 (a=0<b)
= f(-0)*π/2 (a<0=b)
f(x)が x=tにおいてD条件を満足するときは、x=t+ξとして変数をxからξに移し、f(x)=f(t+ξ)=ψ(ξ)とすれば、ψ(ξ)はξ=0で同性質であるから、
α<0<βに対して、
lim(k->∞)∫(α、β) ψ(ξ)(sin(kξ)/ξ)dξ
=(ψ(+0)+ψ(-0))π/2
∴lim(k->∞)∫(α、β) ψ(t+ξ)(sin(kξ)/ξ)dξ
=(ψ(t+0)+ψ(t-0))π/2
上の最後の式のα、βは、リーマンの定理の証明をみると、α(<0)はいくら小さくしても、β(>0)はいくら大きくしても、有限ならばよいわけである。これを―∞、+∞にすることを考える。
ーn<α<-1<1<β<m として、
∫(n、m) f(t+ξ)(sin(kξ)/ξ)dξ
=∫(ーn、m)+∫(αβ)+∫(β、m)
の3部分のうち第1第3の部分は、
|∫(ーn、α)|
<=∫ー(n、α)|f(t+ξ)(sin(kξ)/ξ)|dξ
<=∫(ーn、α)|f(t+ξ)|dξ
= ∫(t-n、t+α)|f(x)|dx
<=∫(ー∞、t+α)|f(x)|dx
同様に、
|∫(β、m)|
<=∫(t+β、t+m)|f(x)|dx
<=∫(t+β、∞)|f(x)|dx
故にもし、∫(ー∞、∞)|f(x)|dx が収束(存在)するときは、αを小さくし、βを大きくして、
∫(ー∞、t+α)|f(x)|dx<ε/3
∫(t+β、+∞)|f(x)|dx<ε/3
α<-N、β>N とできる。
第二の部分∫(α、β)は k->∞ のとき
ー>(f(t+0)+f(t-0))π/2
となるから、k>Kのとき、
|∫(α、β)(略) -(f(t+0)+f(t-0))π/2|<ε/3、とできる。
故に、
|∫(-n,m) f(t+ξ)(sin(kξ)/ξ)dξー(f(t+0)+f(t-0))π/2|
<ε
k>K
n,m>N
即ち
lim(k->∞)∫(ー∞,∞) f(t+ξ)(sin(kξ)/ξ)dξ
=(f(t+0)+f(t-0))π/2
然るに他方、|f(t+ξ)cos(uξ)|<|f(t+ξ)|でかつ
∫(-∞、∞)|f(x)|dxが収束であるなら、
∫(ー∞、∞) f(t+ξ)cos(uξ)dξ はuについて一様収束である。つまり、uに関係なく、任意のεに対してξが決まる。
∫(0、λ)du∫(-∞、∞) f(t+ξ)cos(uξ)dξ
=∫(-∞、∞) f(t+ξ)dξ∫(0、λ)cos(uξ)du
=∫(-∞、∞) f(t+ξ)(sin(λξ)/ξ)dξ
両辺でλー>∞とすれば、
∫(0、∞)du∫(-∞、∞) f(t+ξ)cos(uξ)dξ
=(f(t+0)+f(t-0))π/2
ここで、t+ξ=v、t=x とかきかえて、
∫(0、∞)du∫(-∞、∞) f(v)cos(u(v-x))dv
=(f(x+0)+f(x-0))π/2 (1)
これをフーリエ積分、または積分表示という。これが成り立つための充分条件は、D条件と
∫(-∞、∞)|f(x)|dxが存在することである。f(x)が連続の時は右辺はπf(x)となる。以下このかきかたをもちいる。
(a)を書き変えると、
f(x)=(1/π)∫(0、∞) cos(ux)du∫(-∞、∞) f(v)cos(uv)dv
+(1/π)∫(0、∞) sin(ux)du∫(-∞、∞) f(v)sin(uv)dv
f(x)が偶関数のときには、
∫(-∞、∞) f(v)cos(uv)dv=2∫(0、∞) f(v)cos(uv)dv
∫(-∞、∞) f(v)sin(uv)dv=0
となるので、
f(x)=(2/π))∫(0、∞) cos(ux)du∫(-∞、∞) f(v)cos(uv)dv (2)
(偶関数、x>0で任意)
f(x)が奇関数では、
f(x)=(2/π))∫(0、∞) sin(ux)du∫(-∞、∞) f(v)sin(uv)dv (3)
(奇関数、x>0で任意)
(1)の左辺の∫(-∞、∞) f(v)cos(u(v-x))dvはuについて偶関数だから、
∫(0、∞)du∫(-∞、∞) f(v)cos(u(v-x))dv
=(1/2)∫(ー∞、∞)du∫(-∞、∞) f(v)cos(u(v-x))dv
=πf(x) (*)
∫(-∞、∞) f(v)sin(u(v-x))dvはuについて奇関数だから、
(1/2)∫(ー∞、∞)du∫(-∞、∞) f(v)cos(u(v-x))dv=0
後の式にiをかけ前の式(*)に加えると、
(1/2)∫(ー∞、∞)du∫(-∞、∞) f(v)e^(-i(u(v-x)))dv=πf(x)
あるいは、
(1./2)∫(-∞、∞) e^(iux)du∫(-∞、∞) f(v)e^(-iuv)dv=πf(x)
ーーー(4)
-------投稿者注------------
これがフーリエ変換の式でみごとに証明されました。(4)式の最後のものが、よくよくみるとわかりやすいです。つまり、積分の後の部分がフーリエ変換で初めの部分が逆変換です。つまり、フーリエ変換ーー>逆変換で、もとに戻る、ということです。
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2変数の関数f(x、y)にたいしては(1)より、
f(x、y)=(1/2π)∫(-∞、∞)∫(-∞、∞)f(u、y)cos(α(u-x))dudα
f(u、y)=(1/2π)∫(-∞、∞)∫(-∞、∞)f(u、v)cos(β(v-y))dvdβ
となるから、
f(x、y)
=1/(2π)^2∫∫∫∫(-∞、∞)f(u,v)cos(α(u-x))cos((β(v-y))dudvdαdβ
(5)
6.フーリエ級数の和
f(x)のフーリエ級数は(f(x)は -π<x<πでていぎされている関数)
f(x)~a0/2+a1cos(x)+b1sin(x)+a2cos(2x)+b2sin(2x)+・・・
ao=(1/π)∫(-π、π)f(x)dx
an=(1/π)∫(-π、π)f(x)cos(nx)dx
bn=(1/π)∫(-π、π)f(x)sin(nx)dx
この級数の第(2n+1)項までの和をSn(x)とする。
ancos(nx)+bnsin(nx)
=cos(nx)*(1/π)∫(-π、π)f(t)cos(nt)dt
+sn(nx)*(1/π)∫(-π、π)f(t)sin(nt)dt
=(1/π)∫(-π、π) f(t){cos(nx)cos(nt)+sin(nx)sin(nt)}dt
=(1/π)∫(-π、π) f(t)cos(n(t-x))dt
また、
1/2+cos(θ)+cos(2θ)+・・・+cos(nθ)
=(1/sin(θ/2)){(1/2)sin(θ/2)+sin(θ/2)cos(θ)
+sin(θ/2)cos(2θ)+・・・+sin(θ/2)cos(nθ)}
=1/(sin(θ/2){(1/2)sin(θ/2)
+(1/2)(sin(θ/2+θ)+sin(θ/2ーθ))
+(1/2)(sin(θ/2+2θ)-sin(θ/2-2θ))+・・・
+(1/2){sin(θ/2+nθ)+sin(θ/2-nθ))}
=(sin(((2n+1)/2)θ)/(2sin(θ/2))
ということから、
Sn(x)
=(1/π)∫(-π、π) f(t)(sin(((2n+1)/2)(t-x))/(2sin((t-x)/2))dt
=(1/π)∫(-π-x、π-x) f(x+α)(sin(((2n+1)/2)α)/(2sin(α/2))dα
(α/2)(f(x+α)/sin(α/2))をf1(x+α)とおけば、
Sn(x)=(1/π)∫(-π-x、π-x)f1(x+α)(sin(α(2n+1)/2)/α)dα
f(x)がD条件を満足すつときには、f1(x)もD条件を満足するし、
f1(x+0)=f(x+0)、f1(x-0)=f(x-0)であり、かつ、ーπ<x>πならば、-πーx<0、πーx>0であるから、ディレクレの積分より、
lim(nー>∞)Sn(x)=(1/π)(π/2){f1(x+0)+f1(x-0)}
=(1/2){f(x+0)+f(x-0)}
f(x)が(-π、π)のすべての点でD条件を満足するならば、f(x)はフーリエ級数は(-π。π)のすべての点でf(x)の左右両極値の平均値(f(x)が連続のところではf(x))に収束する。
x=-πでは、
Sn(-π)=(1/π)∫(-π、π) f(t)(sin((2n+1)/2)(t+π))/(2sin((t+π)/2))dt
ここでt+π=2βとすると、
=(1/π)∫(0、π)f(-π+2β)(sin(2n+1))β)/(sin(β))dβ
β=πでsin(β)=0となるから、2つに分けて、
Sn(-π)=(1/π)∫(0、π/2)f(-π+2β)(sin(2n+1))β)/(sin(β))dβ
+(1/π)∫(π/2、π)f(-π+2β)(sin(2n+1))β)/(sin(β))dβ
第1の積分はn->∞のとき(1/π)(π/2)f(-π+0)に収束する。
第2の積分はでーπ+2β=π―2γとおくと、
=(1/π)∫(π/2、0)f(π-2γ)(sin(2n+1))(π-γ))/(sin(π-γ))(-dγ)
=(1/π)∫(0,π/2)f(π-2γ)(sin(2n+1))(γ))/(sin(γ))(dγ)
=(1/π)f(πー0)
∴lim(nー>∞)Sn(-π)=(1/2){f(-π+0)+f(πー0}
x=πでも同様で、
lim(nー>∞)Sn(π)=(1/2){f(πー0)+f(ーπ+0}
注) f(x)(-π<x<π)のフーリエ級数は、それが収束するとき、(-∞、∞)で考えると、周期2πの関数を表している。故にf(x)が周期2πの関数の場合には、上記の事実は区間(-∞、∞)でそのまま成り立つ。