SonofSamlawのブログ

うひょひょ

フーリエ級数、変換の厳密な証明

 

閲覧注意!暇な方のみ閲覧してください(^^

 

  フーリエ変換は常識であるが、証明はされなければならないものだ。しかし、これについての厳密な証明を見たことのある人がいるだろうか? 昔の大学の講義プリントから抜粋してみる。大変な証明である。多くの定理が出てくる。とりあえず各定理の証明は省いた。

 

 

      リーマン

 

1.リーマンの定理

lim(k->0)∫(a,b) f(x)sin(kx)dx=0

lim(k->0)∫(a,b) f(x)cos(kx)dx=0

 

2.積分第2平均値の定理

(a,b)でf(X)は単調有界、ψ(x)は積分可能とすれば、

 

∫(a,b) f(x)ψ(x)dx = f(a+0)∫(a,c) ψ(x)dx + f(b-0)∫(c,b) ψ(x)dx

 

なるCが存在する。

 

3.パラメータを含む積分

(1)

f(x,α)がa<= x <=bで連続のときは、S(X)=∫(a,b) f(x,α)は、αにつき連続である。

また、

∫(α1、α2) S(α)dα=∫(a,b){∫(α1、α2) f(x,α)dα}dx

 

(2)

fα(x,α)=∂f(x、α)/∂αが(1)の変域で連続なら、

(i)

dS/dα=∫(a,b)  fα(x,α)dx

(ii)

(d/dα)∫(ψ(α)、Ψ(α)) f(x、α)dx

=f(Ψ(α)、α)dΨ/dxーf(ψ(α)、α)dψ/dx

  +∫(ψ(α)、Ψ(α)) fα(x、α)dx

 

 

(3)

I(x) = ∫(a,∞) f(x,α)dx が収束で、|∫(x,∞)  f(x,α)dx|<εならしめるxがαに無関係に定まるときは、I(α)はαにつき一様収束であるという。

 

以下(4)(5)(6)では、I(α)を一様収束であると仮定する。

 

(4)

f(x、α)が α1<= α <= α2 で連続ならばI(α)も連続である。

 

(5)

∫(α1、α2) I(α)dα=∫(a,∞) ∫(α1、α2) f(x,α)dαdx

 

(6)

∫(a、∞) fα(x、α)dx も一様収束ならば ∫(a、∞) fα(x、α)dx=I’(α)

 

(7)

∫(0、∞) f(x)dx が収束ならば、

 lim(αー>0) ∫(0、∞) e^(-αx)f(x)dx=∫(0、∞) f(x)dx

 

(8)

∫(0、∞) (sin(kx)/x)dx の値

 

k>0としておく。

∫(0、∞) (sin(kx)/x)dx =∫(0、∞) (sin(t)/t)dt

=∫(0、π) +∫(π、2π) +∫(2π、3π) +・・・(交代級数

 

(sin(t)/t)ー>1 (t->0)だから、∫(0、π) は積分可能。

 

|∫(nπ、(n+1)π)|>|∫((n+1)π、(n+2)π)|ー>0 (n=>∞)

 

であるから、この交代級数は∫(0、π) り小さい値に収束する。

 

I(k)=∫(0、∞) e^(-αx)(sin(kx)/x)dx (α>0) とする。

 

      

 |∫(x、∞) e^(-αx)(sin(kx)/x)dx|

<∫(0、∞) e^(-αx)dx=(e^(-αx))/αー>0(xー>∞)

(kに無関係に<ε)

 

故にI(k)はkにつき一様収束であるから(6)により、

 

I’(k)=∫(0、∞) e^(-αx)(cos(kx))dx 

=[e^(-αx)(sin(kx)k)](x=0、∞)

+(α/k)∫(0、∞) e^(-αx)(sin(kx))dx

=[ーα*e^(-αx)(cos(kx))/k^2](x=0、無限)

ー(α^2/k^2)∫(0、∞) e^(-αx)(cos(kx))dx 

=α/k^2-(α^2/k^2)*I’(k)

 

∴I’(k)=α/(α^2+k^2)

∴I(k)=arctan(k/α)+C

I(0)=0 であるから C=0

(7)により、

lim(αー>0)I(k)=∫(0、∞) (sin(kx)/x)dx

であるが、k>0のとき、lim(αー>0)I(k)=π/

 

明らかにk=0で I(k)=0

k<0でlim(αー>0)I(k)=ーπ/

 

結局、

∫(0、∞) (sin(kx)/x)dx=π/2(k>0)

                  =0(k=0)

                  =-π/2(k<0)

  

                                 ディレクレ

 

4. Dirichletの積分

f(x)を0<x<bで積分可能とし、f(+0)が存在するものとする。

 

lim(k->∞)∫(0、b) f(x)(sin(kx)/x)dxを計算するのが第一目的である。

|f(x)-f(+0)|<ε、0<x<δとなるδがεにより決まる。(δ<bにとる)。

 

∫(0、b) {f(x)-f(+0)}(sin(kx)/x)dx=∫(0、δ)+∫(δ、b)と分ける。

(δ、b)では、(f(x)-f(+0))/x が積分可能だから、上のリーマンの定理により、lim(k->∞)∫(δ、b)=0

残りの

∫(0、δ) {f(x)-f(+0)}(sin(kx)/x)dx

を考える。 

 

Ⅰ. もし、x=0でf(x)の右方微分係数

f’(+0)=lim(x->0)(f(x)-f(+0))/x)が有限に存在するならば、

(f(x)-f(+0))/x)は(0、δ)で積分可能となるから、リーマンの定理で

lim(k->∞)∫(0、δ)=0

 

Ⅱ. f(x)が有界単調であるとき、

sin(kx)/x->k (x->0)であるからsin(kx)/xは積分可能である。

f(x)ーf(+0)は単調であるから第2平均値の定理により、

 

∫(0、δ) {f(x)-f(+0)}(sin(kx)/x)dx

=(f(+0)-f(+0))∫(0、ξ) (sin(kx)/x)dx

+(f(δ)-f(+0))∫(ξ、δ) (sin(kx)/x)dx

=(f(δ)-f(+0))∫(ξ、δ) (sin(kx)/x)dx、0<ξ<δ

 

|∫(ξ、δ) (sin(kx)/x)dx|

=|∫(kξ、kδ) (sin(t)/t)dt

<∫(0、π) (sin(t)/t)dt=定値(交代級数の第一項)

 

|f(δ)-f(+0)|<εであるから、

|∫(0、δ) {f(x)-f(+0)}(sin(kx)/x)dx|

=|f(δ)-f(+0)|*|∫(ξ、δ) (sin(kx)/x)dx|<ε*(定値)

 

∴∫(0、δ) {f(x)-f(+0)}(sin(kx)/x)dx=0(kに無関係に0)

 

故にⅠ、Ⅱの何れかの場合に、

lim(k->∞)∫(0、b) {f(x)-f(+0)}(sin(kx)/x)dx=0、即ち、

 

lim(k->∞)∫(0、b) f(x)(sin(kx)/x)dx

=lim(k->∞) f(+0)∫(0、b) (sin(kx)/x)dx

=f(+0)lim(k->∞) ∫(0、kb) (sin(t)/t)dt=f(+0)π/

 

同様に、

Ⅰ’. x=0でf(x)の左方微分係数が有限に存在するか、

Ⅱ’. f(x)が有界単調であるか

 

何れの場合には、a<0とし、

lim(k->∞)∫(a、0) f(x)(sin(kx)/x)dx=f(-0)π/

 

まとめて、積分可能なf(x)に対して、

 

Ⅰ. x=0でf(x)の左右微分係数が有限に存在する。

Ⅱ. x=0の近傍でf(x)が有界単調である

 

のいずれかのか仮定のもとに(どちらでもいい、これをD条件とする)

 

 

 lim(k->∞)∫(a、b) f(x)(sin(kx)/x)dx

=0                    (a,bが同符号であるとき)

=(f(+0)-f(-0))*π/2   (a<0<b)

=f(+0)*π/2           (a=0<b)

 f(-0)*π/2          (a<0=b)

 

 この積分を Dirichletの積分という。

 

f(x)が x=tにおいてD条件を満足するときは、x=t+ξとして変数をxからξに移し、f(x)=f(t+ξ)=ψ(ξ)とすれば、ψ(ξ)はξ=0で同性質であるから、

 

α<0<βに対して、

lim(k->∞)∫(α、β) ψ(ξ)(sin(kξ)/ξ)dξ

=(ψ(+0)+ψ(-0))π/

 

 

∴lim(k->∞)∫(α、β) ψ(t+ξ)(sin(kξ)/ξ)dξ

=(ψ(t+0)+ψ(t-0))π/

 

5.フーリエ積分

 

  上の最後の式のα、βは、リーマンの定理の証明をみると、α(<0)はいくら小さくしても、β(>0)はいくら大きくしても、有限ならばよいわけである。これを―∞、+∞にすることを考える。

 

ーn<α<-1<1<β<m として、

∫(n、m) f(t+ξ)(sin(kξ)/ξ)dξ

=∫(ーn、m)+∫(αβ)+∫(β、m) 

の3部分のうち第1第3の部分は、

|∫(ーn、α)|

<=∫ー(n、α)|f(t+ξ)(sin(kξ)/ξ)|dξ

<=∫(ーn、α)|f(t+ξ)|dξ

= ∫(t-n、t+α)|f(x)|dx

 <=∫(ー∞、t+α)|f(x)|dx

 

同様に、

|∫(β、m)|

<=∫(t+β、t+m)|f(x)|dx

 <=∫(t+β、∞)|f(x)|dx

 

故にもし、∫(ー∞、∞)|f(x)|dx が収束(存在)するときは、αを小さくし、βを大きくして、

∫(ー∞、t+α)|f(x)|dx<ε/3

∫(t+β、+∞)|f(x)|dx<ε/3

α<-N、β>N とできる。

 

第二の部分∫(α、β)は k->∞ のとき

ー>(f(t+0)+f(t-0))π/

となるから、k>Kのとき、

|∫(α、β)(略) -(f(t+0)+f(t-0))π/2|<ε/3、とできる。

 

故に、

|∫(-n,m) f(t+ξ)(sin(kξ)/ξ)dξー(f(t+0)+f(t-0))π/2|

<ε

                                      

                                       k>K

                                       n,m>N

 

即ち

lim(k->∞)∫(ー∞,∞) f(t+ξ)(sin(kξ)/ξ)dξ

=(f(t+0)+f(t-0))π/

 

然るに他方、|f(t+ξ)cos(uξ)|<|f(t+ξ)|でかつ

∫(-∞、∞)|f(x)|dxが収束であるなら、

∫(ー∞、∞) f(t+ξ)cos(uξ)dξ はuについて一様収束である。つまり、uに関係なく、任意のεに対してξが決まる。

 

∫(0、λ)du∫(-∞、∞) f(t+ξ)cos(uξ)dξ

=∫(-∞、∞) f(t+ξ)dξ∫(0、λ)cos(uξ)du

=∫(-∞、∞) f(t+ξ)(sin(λξ)/ξ)dξ

 

両辺でλー>∞とすれば、

∫(0、∞)du∫(-∞、∞) f(t+ξ)cos(uξ)dξ

=(f(t+0)+f(t-0))π/

 

ここで、t+ξ=v、t=x とかきかえて、

∫(0、∞)du∫(-∞、∞) f(v)cos(u(v-x))dv

=(f(x+0)+f(x-0))π/2               (1)

 

これをフーリエ積分、または積分表示という。これが成り立つための充分条件は、D条件と

∫(-∞、∞)|f(x)|dxが存在することである。f(x)が連続の時は右辺はπf(x)となる。以下このかきかたをもちいる。

 

(a)を書き変えると、

f(x)=(1/π)∫(0、∞) cos(ux)du∫(-∞、∞) f(v)cos(uv)dv

   +(1/π)∫(0、∞) sin(ux)du∫(-∞、∞) f(v)sin(uv)dv

 

f(x)が偶関数のときには、

 

∫(-∞、∞) f(v)cos(uv)dv=2∫(0、∞) f(v)cos(uv)dv

 ∫(-∞、∞) f(v)sin(uv)dv=0

となるので、

f(x)=(2/π))∫(0、∞) cos(ux)du∫(-∞、∞) f(v)cos(uv)dv (2)

(偶関数、x>0で任意)

 

f(x)が奇関数では、

f(x)=(2/π))∫(0、∞) sin(ux)du∫(-∞、∞) f(v)sin(uv)dv (3)

(奇関数、x>0で任意)

 

(1)の左辺の∫(-∞、∞) f(v)cos(u(v-x))dvはuについて偶関数だから、

 

 ∫(0、∞)du∫(-∞、∞) f(v)cos(u(v-x))dv

=(1/2)∫(ー∞、∞)du∫(-∞、∞) f(v)cos(u(v-x))dv

=πf(x)                   (*)

 

∫(-∞、∞) f(v)sin(u(v-x))dvはuについて奇関数だから、

(1/2)∫(ー∞、∞)du∫(-∞、∞) f(v)cos(u(v-x))dv=0

 

後の式にiをかけ前の式(*)に加えると、

(1/2)∫(ー∞、∞)du∫(-∞、∞) f(v)e^(-i(u(v-x)))dv=πf(x)

あるいは、

(1./2)∫(-∞、∞) e^(iux)du∫(-∞、∞) f(v)e^(-iuv)dv=πf(x)

                     

                                        ーーー(4)

 

 -------投稿者注------------

  これがフーリエ変換の式でみごとに証明されました。(4)式の最後のものが、よくよくみるとわかりやすいです。つまり、積分の後の部分がフーリエ変換で初めの部分が逆変換です。つまり、フーリエ変換ーー>逆変換で、もとに戻る、ということです。

 -----------------------

 

  2変数の関数f(x、y)にたいしては(1)より、

f(x、y)=(1/2π)∫(-∞、∞)∫(-∞、∞)f(u、y)cos(α(u-x))dudα

 f(u、y)=(1/2π)∫(-∞、∞)∫(-∞、∞)f(u、v)cos(β(v-y))dvdβ

 

となるから、

f(x、y)

=1/(2π)^2∫∫∫∫(-∞、∞)f(u,v)cos(α(u-x))cos((β(v-y))dudvdαdβ                                                                              

                                            (5) 

 

 

6.フーリエ級数の和

f(x)のフーリエ級数は(f(x)は -π<x<πでていぎされている関数)

 

f(x)~a0/2+a1cos(x)+b1sin(x)+a2cos(2x)+b2sin(2x)+・・・

 

ao=(1/π)∫(-π、π)f(x)dx

an=(1/π)∫(-π、π)f(x)cos(nx)dx

bn=(1/π)∫(-π、π)f(x)sin(nx)dx

 

この級数の第(2n+1)項までの和をSn(x)とする。

ancos(nx)+bnsin(nx)

=cos(nx)*(1/π)∫(-π、π)f(t)cos(nt)dt

+sn(nx)*(1/π)∫(-π、π)f(t)sin(nt)dt

=(1/π)∫(-π、π) f(t){cos(nx)cos(nt)+sin(nx)sin(nt)}dt

=(1/π)∫(-π、π) f(t)cos(n(t-x))dt

 

また、

1/2+cos(θ)+cos(2θ)+・・・+cos(nθ)

=(1/sin(θ/2)){(1/2)sin(θ/2)+sin(θ/2)cos(θ)

+sin(θ/2)cos(2θ)+・・・+sin(θ/2)cos(nθ)}

 =1/(sin(θ/2){(1/2)sin(θ/2)

+(1/2)(sin(θ/2+θ)+sin(θ/2ーθ))

+(1/2)(sin(θ/2+2θ)-sin(θ/2-2θ))+・・・

+(1/2){sin(θ/2+nθ)+sin(θ/2-nθ))}

=(sin(((2n+1)/2)θ)/(2sin(θ/2))

 

ということから、

 

Sn(x)

=(1/π)∫(-π、π) f(t)(sin(((2n+1)/2)(t-x))/(2sin((t-x)/2))dt

=(1/π)∫(-π-x、π-x) f(x+α)(sin(((2n+1)/2)α)/(2sin(α/2))dα

 

(α/2)(f(x+α)/sin(α/2))をf1(x+α)とおけば、

Sn(x)=(1/π)∫(-π-x、π-x)f1(x+α)(sin(α(2n+1)/2)/α)dα

 

f(x)がD条件を満足すつときには、f1(x)もD条件を満足するし、

f1(x+0)=f(x+0)、f1(x-0)=f(x-0)であり、かつ、ーπ<x>πならば、-πーx<0、πーx>0であるから、ディレクレの積分より、

 

lim(nー>∞)Sn(x)=(1/π)(π/2){f1(x+0)+f1(x-0)}

              =(1/2){f(x+0)+f(x-0)}

 

f(x)が(-π、π)のすべての点でD条件を満足するならば、f(x)はフーリエ級数は(-π。π)のすべての点でf(x)の左右両極値の平均値(f(x)が連続のところではf(x))に収束する。

 

-πでは、

Sn(-π)=(1/π)∫(-π、π) f(t)(sin((2n+1)/2)(t+π))/(2sin((t+π)/2))dt

ここでt+π=2βとすると、

=(1/π)∫(0、π)f(-π+2β)(sin(2n+1))β)/(sin(β))dβ

 

β=πでsin(β)=0となるから、2つに分けて、

 

Sn(-π)=(1/π)∫(0、π/2)f(-π+2β)(sin(2n+1))β)/(sin(β))dβ

            +(1/π)∫(π/2、π)f(-π+2β)(sin(2n+1))β)/(sin(β))dβ

 

 第1の積分はn->∞のとき(1/π)(π/2)f(-π+0)に収束する。

第2の積分はでーπ+2β=π―2γとおくと、

 

=(1/π)∫(π/2、0)f(π-2γ)(sin(2n+1))(π-γ))/(sin(π-γ))(-dγ)

=(1/π)∫(0,π/2)f(π-2γ)(sin(2n+1))(γ))/(sin(γ))(dγ)

=(1/π)f(πー0)

 

∴lim(nー>∞)Sn(-π)=(1/2){f(-π+0)+f(πー0}

 

x=πでも同様で、

lim(nー>∞)Sn(π)=(1/2){f(πー0)+f(ーπ+0}

 

注) f(x)(-π<x<π)のフーリエ級数は、それが収束するとき、(-∞、∞)で考えると、周期2πの関数を表している。故にf(x)が周期2πの関数の場合には、上記の事実は区間(-∞、∞)でそのまま成り立つ。