ネイピア数(e=2.71828・・・)に関連して、特に数列の収束について、詳しく説明してみる。
また、ここでの知識は、オイラーの公式につながっていく。
オイラーの公式(e^(ix)=cosx+isinx)の証明(テーラ展開を使わない) - SonofSamlawのブログ (hatenablog.com)
この本から関連部分だけを引用する
■ 準備である
定理1 数列anが
(1)単調非減少である。すなわち。a1≦a2≦・・・≦an
(2)上方に有界である。すなわちan≦BなるBが存在する。
とき、この数列は収束する。
証明 まずε>0を考え、a1とBの間をm等分する。
ただしm>(Bーa1)/εとする。このとき、各区間はεより小さい。
この区間は左端は除き、右端を含むものとする。つまり区間の両端をa’、b’とすると、その区間内の点xは次の不等式を満足するものとする。
a’<x≦b’
このようなm個の区間の中で、この数列の項を含むような区間でもっとも右側にあるものを(a’、b’]とすると、b’の右方には数列の項は存在しないから、すべてのkに対して、
ak≦b’
また(a’、b’]に含まれている項の1つをanとするとan≦an+1≦・・・であるから、
a’<an、an+1、・・・≦b’
となり、nから先の項はすべてこの区間に含まれる。この区間に含まれない項はあっても、
a1~anー1
の中にしかないので、有限個である。
つまり任意のεよりみじかい区間(a’、b’]をとって、そのなかには無限項、その他には有限項しかないようにできる。
だから収束の条件によって、この数列は収束する。
この定理は数列の理論において極めて重要な役割を演ずる。
定理3 ai>0(i=1~n)のとき、次の不等式が成立する。
(1+a1)(1+a2)・・・(1+an)>1+a1+a2+・・・+an
証明 そのまま展開する。
(1+a1)(1+a2)・・・(1+an)
=1+a1+a2+・・・+an
+(a1a2+・・・an-1an)
+・・・>1+a1+a2+・・・+an
これと並んで、次の不等式が成り立つが、証明は難しい。
定理4 0<ai<1(i=1~n)の時、次の不等式が成り立つ。
(1ーa1)(1ーa2)・・・(1ーan)>1ー(a1+a2+・・・+an)
証明 数学的帰納法を用いる。
(1)n=2のときには、
(1ーa1)(1ーa2)>1ー(a1+a2)
定理は正しい。
(2)nー1の時正しいとすれば、
(1ーa1)(1ーa2)・・・(1ーanー1)
>1ー(a1+a2+・・・+anー1)
両辺に(1-an)>0をかければ、
(1ーa1)(1ーa2)・・・(1ーanー1)(1-an)
>(1ー(a1+a2+・・・+anー1))(1-an)
=1-(a1+a2+・・・+an)+(a1+a2+・・・+anー1)an
>1-(a1+a2+・・・+an)
nのときも正しい。証明は完了した。
以上の場合、
a1~an=a
とすれば次の不等式が成り立つ。
定理5 0<aのとき、
(1+a)^n>1+na(n≧2)
定理6 0<a<1のとき、
(1-a)^n>1-na(n≧2)
■ここから本題である。
■例5 an=(1+1/n)^(n+1)が収束することの証明。
すなわち、
つまり、単調非増加である。そして、
であるから、下方に有界である。
だから、anは収束する。
■例6
が収束することの証明
前の例でanが単調非増加であるから、
したがってbn<4,つまりbnは上方に有界である。
次に
定理6によって
だからbn-1<bnつまりbnは単調非減少。特にbn-1<bnだから単調増加である。だから定理1によってbnは収束する。
前のanと比べると、
だから、
lim(nー>∞)(anーbn)=0
したがって
lim(nー>∞)anーlim(nー>∞)bn=0
つまり、
lim(nー>∞)an=lim(nー>∞)bn
この極限をeとする。
e=2.71828・・・
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