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電磁気 マクスウェル方程式 E,D,H,Bの整理

ライター:mpcsp079さん(最終更新日時:2017/2/3)投稿日:2014/10/8

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マクスウェル方程式 E,D,H,Bの整理 

 

 

難しいE,D,H,Bの関係を考え、B-H特性の意味を明らかにする

 

 

 

難しいE,D,H,Bの関係をE-B対応の考え方で整理し、
B-H特性の意味を明らかにする

■まずE,Dについて
   電界Eexの中に誘電率ε=εs*ε0の誘電体があり、かけた電界EexによりPに分極しているとする。Eはその結果の誘電体内の電界、ε0は真空の誘電率、εsは比誘電率とする。すると、
  ε0*Eex=ε0*E+P
となる。磁性体内で本質的な磁場の強さBは、BexがMにより強められるのとは逆に、誘電体では本質的な電場の強さEは、Pにより弱められる。 上の式で、副変数Dは、
   D=ε0*Eex
と置かれる。つまり、
   D=ε0*E+P=ε0*εs*E
誘電体内の電界Eは、
   E=Eex-P/ε0
となり、磁性体とは逆になる。さらに、

  D=ε0*Eex

だから、
  ε0*Eex=ε0*εs*E
   E=Eex/εs
これは磁場理論とは逆である。この逆転は、電場ではEが、磁場ではBが本質的な(副変数ではないという意味)変数であるということに対応している。 磁場理論では磁性体内の磁場強さBは加えたBexと生じたMの和であるのに、 電場理論では誘電体内の電場強さEは加えたEexから生じたPを引いたものとなっている。
  この逆転は、磁場理論ではBを、電場理論ではEを本質的な量とすることにより、形式的には、
  D=ε0*E+P
  B=μ0*H+M
と対称な形となっている。しばしば誰もが疑問に思うことは、これらの式中のD,E,B,Hがなんなのか、ということだ。上にあるように、
  D/ε0

は誘電体にかけた電界、 Eは誘電体内の電界、 Bは磁性体内の磁束密度、μ0*Hは磁性体にかけた磁束密度である。このように考えると線形な誘電体では、

  P=χp*Eex=χp*D/ε0

となることが想定されるので、

  D=ε0*E+P=ε0*E+χp*D

これから、

  D(1-χp)=ε0*E

  D=(ε0/(1-χp))*E

ここで、

  ε≜ε0/(1-χp)

とすれば、

  D=ε*E

と書ける。Pによる電界は、Eexを打ち消す方向にあるから、Pは

  Pmax=ε0*Eex

(Pが無限平板であるとき、内部電界はP/ε0になるから)

より大きくはなれない。このときPの発生原因である電界が=0になるからである。よって、

  χp<1

これから、

  ε/ε0=1/(1-χp)>1

であることがわかる。

  

■次にH,Bについて

  こんどはHが副変数になります。これは歴史的なところから理解しなければなりませぬ。

  磁束密度Bexの中に透磁率μ=μs*μ0の磁性体があり、BexによりMに磁化しているとする。μ0は真空の誘電率、μsは比透磁率。MはBexに比例するとする。Mを磁性体の磁化とすると、その場の磁束密度Bmは、
   Bm=Bex+M
 となる。
ここで、

  Bex=μ0*H
という副変数Hを導入する。

  H≜Bex/μ0=(Bm-M)/μ0
 このHは、磁化Mの原因となった磁束密度Bexの1/μ0であるということだ。

  ようやくすれば、磁束密度Bexにμsの磁性体を置くと、その内部の磁束密度Bmは、
  Bm=Bex+M
となる。Hは、
  H=(Bm-M)/μ0=Bex/μ0
で定義された副変数である。しかし、μ0*Hはいたるところで、磁性体が磁化する原因となった磁束密度である。つまり、上のPと同じようにMはHに比例する、とかんがえるのが妥当である。

  M=χm*H

すると、

  B=μ0*H+μ0*χm+H=μ0(1+χm)*H

ここで、

  μ≜μ0(1+χm)>1

を定義すれば、

  B=μ*H

となる。

 

 

■磁性体のB-H特性とは?
  つまり、H*μ0は実際の磁束密度Bm(磁性体が存在する)からMをひいたもの、磁性体の磁化Mの効果を差し引いたもの、つまりBexを表している。

  だから、磁性体のBーH特性とは、BexとBmの関係を表しているということでちゅ。しかし、BexではなくBex/μ0を使うのである。

  このHはアンペール則により、磁性体に関係なく電流・起磁力のみによりきまるのである。ここが肝心だ。つまり、Hを起磁力により決定し、そのご磁性体のμからいたるところの磁束密度を決めていくのである。

 

磁性体がある場合でアンペール周回積分

  H≜(B-M)/μ0

とし、 磁性体が点在するときを考える。

 

まず、
  ∲(M/μ0)・dl 

を考え、次のように変形する

  ∬rot(M/μ0)・ndS

ここで

  Jm≜rot(M/μ0)

と置くと、
   Im=∬(Jm)・ndS

という電流にみなせることがわかる。


すると、真電流I0も加えると全電流Itotは
  Itot=I0+Im
これで、磁性体のMを電流換算できた。
磁性体がなく、電流I0,Imのみがある場合、アンペール則より
  ∲(B/μ0)・dl=Im+I0
は成り立つ。上から、

  Im=∲(M/μ0)・dl 

だから、これを逆にたどり、空間に磁性体があるときも
  ∲(B/μ0)・dlー∲(M/μ0)・dl =I0
  ∲((B-M)/μ0)・dl=I0
Hの定義より
  ∲H・dl=I0
となり、この式は空間に磁性体があっても成り立つことになる。

 

磁性体内では外部磁場Bex、M,Mによる磁束密度はみな同じ方向

 

 


  誘電体内では、外部電界EexとPは同じ方向。Pによる電界は逆向きとなり、内部電界はEexより小さくなる。



  磁性体のMはソレノイド(コイル)による電磁石のようなものと考えていい。だから内部のBの方向はMと同じ。
  しかし、誘電体Pは分極した+-の電荷によって生まれ、-から+に向かう方向にとる。これは外部電界Eexと同じ向きになる。しかし、この電荷による電界はEexと逆向きになる。この点で磁性体とは逆になる。

  磁性体と誘電体の扱いはこのように完全には対称的ではない。 E-B対応の考えでは、 磁性体では本質的な変数Bは、磁性体内の磁束密度となっていて、 誘電体でも本質的な変数Eは、誘電体内の電界となっている。
  MとPの効果は逆であるが、B、Eを主要変数とすることで、 E,D,H,Bの関係式は対称的な形となっている。