SonofSamlawのブログ

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透磁率とは何だ?ーその1

ライター:mpcsp079さん(最終更新日時:2016/4/22)投稿日:2014/1/26

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透磁率とは何だ?ーその1

 

良くわからない電磁気学

さらにわからない透磁率に関する質問と回答例です。

HとBは何が違うのか?

回答します。

 

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10120011120

の質問が有意義であるので質問、回答をまとめた。

 

 

■質問

一様な磁場中に置かれた、磁性体の変化について

電磁気を勉強しているものですが、磁化ベクトルについて考えていると頭がこんがらがってしまいます

まず最初の疑問は磁化ベクトルはxを磁

化率として
M=xH
となると言われますが、このHは磁性体内部における磁場(内場)、それとも磁性体にかけられている一様な磁場(外場)のどちらでしょうか?


そしてもう一つ分からないのが磁場中の磁性体の動きです
例として一様な磁場中Hに磁性体を置いたあと、
まず最初に磁性体が磁化されて磁性体内部の磁場Hinが生じますが
この際、
内部の磁場は外部の磁場と磁化による磁場
の重ね合わせであると考えてもいいのでしょうか?
また、磁性体外部ではM=0なのに外部でも磁場の重ね合わせが起こる理由がいまいちピンときません


色々と勉強不足でありますがどうか回答よろしくお願いします  

  

 

■回答

  この問題はむずかしいです。
  わたしも昔々悩んだ・・・
  厳密には
http://www.f-denshi.com/000TokiwaJPN/32denjk/000denjk.html
を見てください。
  2つの立場があります。E-H対応とE-B対応です。

  E-B対応で言えば、EとBが実際の意味ある量であり、D,Hは副変数です。
  この場合、
H=(B-M)/μ0ーーー(1)
と定義されます。磁場の強さはBのみで決まります。Hは副変数です。

  B0の中に磁性体を置くと、磁化M0が生じる。そこで、磁性体内外のBはこのM0により変化します。つまり、初めのB0よりは強くなります。Hは(1)式で定義されます。この場合、Bは初めに加えたB0とB0によって誘起されたM0によって生じたB1の和になります。M0によって生じたB1とは、各点において磁性体すべての部分のM0から計算されたある点の磁束密度です。

  MとBはMKSA単位系では同じ量ですが、このB1は磁性体の大きさが有限、特に長さが短い場合、=Mにはなりません。それは磁性体のある部分のBはその点のMによるBと周りのMによるBの和であるからです。周囲のMからのBは、その点ではMと逆向きになります(反磁界という)から、その点のB1はMより小さくなります。この場合、μ0*H=B-Mは初めに加えたB0より小さくなります。資料の長さが無限の場合、B-Mは初めにかけた外部磁束密度に近くなります。

 

  μ0*HというのはB-Mだから、その場所のB(実際の磁場)からMを取り除いたもの、つまりMが生じる原因になった磁場である、と言えます。だから、B-H カーブなのです。これは磁性体が置かれるまえの磁場をμ0で割ったものと、置かれた後の磁場の関係です。つまりB-MとHの関係です。Hをこういうものだと考えることができます。

 

  Mはあるのは原因となる磁場があったからです。その原因の磁場はMを含めた磁場からMを差し引いたものです。ここで注意しまければいけないのは、ある点のMの原因となるBは、はじめに加えられたBではなく、周囲のMの影響も受けます。つまり、初めのBによって生じたMにより変化するのです。しかし、Mと原因となるBは比例しているとすれば、その係数をAとします。つまり、

 

  M=A*(B-M)

ここで(B-M)はE-B対応モデルではμ0*Hの定義式ですから、

  =A*μ0*H 

となります。最初の式より、 

  M(1+A)=A*B

このMに2番目の式を入れれば、

  A*μ0*H(1+A)=A*B

これより、

  B=μ0*(1+A)H

 

となり、(1+A)は比透磁率μsと呼ばれる。ここでBはその場所の磁場です。つまり、Mの存在も含めた磁場の強さです。μ0*(1+A)が磁性体内での透磁率です。

 

  永久磁石において、M-Hカーブとは外部磁束密度をB0とすると、B0/μ0とそれによって生じたMの関係を示したものです。B-HカーブとはB0/μ0とB0+Mの関係を示したものです。この測定においてMの測定は資料を振動させることにより、かけたBと分離することができます。しかし、資料の各点に実際にかかっているBは外部からかけたBの他に、資料のMによる分が加算されます。通常これにより、初めに加えたBより小さくなりますのでこれを補正し、加えたBとしなければならない。通常これは資料の形状から推測する(反磁界係数)。資料が細長いほど、この効果は小さくなる。つまり、外部から加えたBに近くなる。

 


  E-B対応では、Mとは電流の流れる電磁石と等価になります。つまり、断面積S、長さL、磁化Mの磁性体は、周囲に電流I=M*L/μ0が流れる電磁石に等しくなります。これを体積を無限小にすれば、各点でMが定義できます。

  磁性体外ではM=0なので、H=B/μ0ですね。

  無限大の永久磁石ではB=MなのでH=0です。

  この場合Hは副変数なので意味はありません。

■初めの質問、
>M=xH
のHは磁性体のない場合の磁場でE-B対応では、磁性体のないときの加えたBの1/μ0倍ですね。
そこに磁性体を置いたときの磁化がMです。

外部磁場Bに磁性体置いたとき、磁化Mが生じたとき、

μs=(B+M)/B

を比透磁率といい、μ0*μsを磁性体内の透磁率とする。

 

磁性体のB-Hカーブを測定するとき、資料の形状が細長くない場合、上述のように、磁性体の他の部分のMによるBにより、外部磁界が弱められるので、資料形状によって補正係数を使います。

 


■別な見方
H=(B-M)/μ0
だから、
μ=B/H=μ0*B/(B-M)ーーー(2)
この場合、BはMが生じる前のものではなく、Mから生じたものも含まれる。
真空中では、M=0だから、μ=μ0ですね。
ちょっとわかりずらいね。

■別な見方2
アンペール則の微分形は
∇×H=j

∇×B/μ=j
∇×B=μjーーー(3)
となる。
つまり、起磁力jとBの関係がμであると言える。
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n144058

アンペール則について
磁性体がなければ、
∇×B=μ0*j
が成り立つ。
磁化Mがあるとき、上ように、磁化Mは電流に置きかえられる。磁化Mを等価な電流密度に置きかえると、
∇×M/μ0
となるので、
∇×B=μ0*(j+∇×M/μ0)=μ0*j+∇×M
と書ける。変形すると、
∇×(BーM)=μ0*j
つまり、(1)式により、
∇×H*μ0=μ0*j
∇×H=j
で、アンペール則が証明できた。

 

その2に続く

透磁率とは何だ?ーその2 - SonofSamlawのブログ (hatenablog.com)

 

 

参考

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1334561528