ブロッホ関数に関しては
ブロッホ定理(Bloch's theorem)のわかりやすい解説 1(ついに出た!) - SonofSamlawのブログ (hatenablog.com)
をも参照ください。これまでになく、少なくともキッテル本より詳しく書いてあります。
これらの本は読まないこと
■よくわからない還元ゾーン形式、なんでこんなことするの?
図1 自由電子のk-Eの関係
図1のAが自由電子のkとEの関係である。E=D*k^2の形になる。
1次元の結晶を考え、g=2π/a、aを格子定数とする。gは逆格子ベクトルの最小値である。そうしたときAはBのようにも書ける。これは、たとえば第2バンドでは波動関数はA表示では、
C*exp(ikx) ここで、g/2<k<g、-g<k<-g/2
となるが、これを
C* exp(-igx)*exp(ikx) ここで、-g/2<k<g/2
とする。E=D*(g-k)^2 となっている。
第3バンドではA表示では、
C*exp(ikx) ここで、g<k<3g/2、-3g/2<k<-g
となるが、これを、
C*exp(igx)*exp(ikx) ここで、-g/2<k<g/2
とする。E=D*(g+k)^2となっている。exp(-igx),exp(igx)はaの周期をもつのでブロッホ関数である。
つまり、kが-g/2からg/2の範囲にない場合、k+ng がその範囲に入るようなnを選び、q=k+ng をもってこの状態を表すのである。であるからして、同じqでもngの値によってエネルギーが違う。その区別がバンドである。
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n145469
には周期的ポテンシャルVがある場合、波動関数をフーリエ積分で表したとき、その係数C(k)の満足すべき方程式(c)式が示されている。これをqをkに書き換えて示すと、
[(h*k)^2/(2m)-E]C(k)+Σ_{G}V(G)C(k-G)=0
であるが、自由電子なのでV(G)=0であるから、
[(h*k)^2/(2m)-E]C(k)=0
となり、 [(h*k)^2/(2m)-E]=0 のとき、C(k)は存在できる。
そこで、E=(h*k)^2/(2m) である。もし、-g/2<k<g/2 でない場合、上のようにk+ng がその範囲に入るようなnを選び、q=k+ng をもってこの状態を表すと、
C(k)*exp(-ingx)*exp(iqx)
となる。これが還元ゾーン形式で表した自由電子の波動関数である。このエネルギーは、
E=(h*(q-ng))^2/(2m)
となり、これはなんの不思議もなく納得できる。
話もどって、exp(ikx)のEは(h*(k)^2/(2m) である。ここで、もしkがg/2を超えたら波動関数にexp(-igx)を掛け、Eの式のなかのkからgを差し引くのである。さらにkが3g/2を超えたとき、これに対応した波動関数にexp(-i2gx)を掛け、Eの式の中のkから2gを差し引くのである。こうすると、k-Eグラフはkに対して周期的になるのである。これも当たり前で納得できる。
■周期的ポテンシャルのある場合
図2 周期的ポテンシャルエネルギーの中のでのkとEの関係
図2が、周期的ポテンシャルエネルギーの中の電子のkとEの関係である。図1のグラフで、k=g/2、g、3g/2,2g、・・・のところが不連続になっているだけである。これでも図1とどうようにAの表式とBの表式がある。
A表示ではkとEの関係がわかりやすい。Bの表示では、たとえばAの表示で、
uk*exp(ikx)
である状態に対して、q=k+G (G=+-ng、n:整数)で,-g/2<q<g/2になるようなGを選び、
uk*exp(i(q-G)x)
とする。これは、uk*exp(-iGx)*exp(iqx) となり、exp(-iGx) は周期関数として
ukに含ませるのである。これをあらためて
uq*exp(iqx)
と書く。
■ここで疑問があるのだが・・・
半導体において、伝導バンドと価電子バンドは、上の図のどのバンドに相当するのであろうか?