SonofSamlawのブログ

うひょひょ

ライター:mpcsp079さん(最終更新日時:2013/12/15)投稿日:2013/1/10

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 ブロッホ定理のわかりやすい解説 1(ついに出た!)

Bloch's theorem

この理論の解説は、ほとんどあのわかりずらいキッテル本のコピーだらけ・・・

そこで、わかりやすい解説しました。

 

          

                    ブロッホ

              リーマン文章.jpg

■ ブロッホ関数・ブリュアンゾーン・還元ゾーン形式フェルミ面・ウィグナーサイツ・・・うーんわからない(><

 

■ この部分、たいていの教科書では実に簡単に説明されていますが、一般になかなか理解できるものではありません。固体物理学中で最も難解なところかもしれませんね。

 

そこで、

質問サイト

http://soudan1.biglobe.ne.jp/qa2090465.html

 

においての質問と回答が面白かったのでノートにして、さらに解説を加えた。

 

 

 

■質問

 バンド理論で、E(k)=E(k+G)?

 バンド分散(E-K図)を描くとき周期ゾーン形式で書くことが多々あります。でも自分にはまったく理解できません

 なぜE(k)=E(k+G)が成り立つのでしょうか?Eはkに対してGだけの周期性をもつのでしょうか?自由電子的なイメージしか持っていない自分からすると波数kが増えるのにエネルギーが増えないってのが納得いかないんです…というか、周期ゾーン形式と拡張ゾーン形式とは明らかに矛盾しませんか?同じものを表すんですか?

 

■回答

 大学での講義ノートなどをひっくり返して、証明を考えてみました。 証明と言うほどのことはないが、ある程度納得してもらえるレベルの説明が可能だと思います。 数式は面倒なのでステップだけ書きます。kyongsokさんはブロッホの定理や格子、逆格子のことなどが理解できているようですから、以下のステップを自分でフォローして見てください。

 まず証明したいことを書きます。
      ===========
 周期ポテンシャルをもった結晶中の波動関数

Ψk(r)=Σ_{G} C(k+G) exp{i(k+G).r} ......(A)

と書ける。G=n1*b2+n2*b2+n3*b3と逆格子ベクトル
b1,b2,b3の整数倍で書ける逆格子空間の格子点
      ==========

証明のステップ
(1)波動関数フーリエ変換

Ψ(r)=Σ_{q} C(q)exp(iqr) .......(a)  <--これをフーリエ変換で表示していることもある

と書く。qは周期的境界条件より
q=(n1/N1)b1+(n2/N2)b2+(n3/N3)b3
ここで注意したいのは、目指す(A)と(a)は似ているようで違います。(A)ではΣはGの点でけに制限されている。

(2)周期的なポテンシャルのフーリ変換は

V(r)=Σ_{G} V(G)exp(iG.r)...........(b)

と逆格子空間Gの和で書ける。ポテンシャルが
周期的であることからフーリエ変換フーリエ
級数に帰着し、その運動量は逆格子Gになる。

(3) (a),(b)をシュレデンがー方程式に代入して
そのフーリエ係数を比べると以下の式を得る。

[(h*q)^2/(2m)-E]C(q)+Σ_{G}V(G)C(q-G)=0.....(c)

(c)の意味するところはシュレディンガー方程式波動関数フーリエ係数C(q)とC(q-G)を関係付けるということ。つまりq≠k...mod G である運動量同士は全く関係なく、独立なシュレディンガー方程式を満足する。
よって波動関数フーリエ変換においてΣ_{q}はΣ_{G}
に置き換えてよく,modGで関係づいてないフーリエ係数は独立なシュレディンガー方程式の解を与える。
証明終わり■


要約するとシュレディンガー方程式の解としては一つのqに

Ψ(r)=Σ_{G}C(G+q)exp(i(G+q).r)

という解が対応する。これが(A)の式。異なるqは異なる解とみなせる。しかしq=k+Gとmod(G)で関係づくkは同じ波動関数を与える。
{

 

ーー筆者追加コメントーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ここで、Ψをqの解とする。そしてk=q-G´ なるkを考える。q=k+G´だから、これをこのΨの展開式にいれると、

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

Ψ(r)=Σ_{G}C(G+(k+G'))exp(i(G+(k+G')).r)  <--Ψq(筆者コメント)
    =Σ_{G}C(G+G'+k)exp(i(G+G'+k).r)
    =Σ_{G''}C(G''+k)exp(i(G''+k).r)       <--Ψk(筆者コメント)

最後の等式でG+G’を新たな逆格子空間の和G''に取り直したが、これはダミー添え字なので

 

q=k+Gで関係づく
qとkは同じ波動関数を与える
。  -->Ψk=Ψq(筆者コメント)

またこの波動関数ブロッホの定理を当然みたす。

Ψ(r)=Σ_{G} C(k+G)exp(i(k+G).r)
    =exp(ik.r)Σ_{G}C(k+G)exp(iG.r)

ブロッホ波動関数の言葉では,周期的な波動関数部分は

u(k,r)=Σ_{G}C(k+G)exp(iG.r)

となっている。このことからブリリアンゾーンがずれた運動量は周期関数に吸収されていることが分る。


大体これで証明、説明になっていると思いますが、どうでしょうか。

 

 ーーーーーーーーー以上が引用です。以下筆者コメントーーー

■要約

 

 周期的ポテンシャルのなかの電子の波動関数Ψに関する(a)式の展開係数C(q)の集合は、C(k+G)(Gはすべての逆格子ベクトル)という形で1つの解となりうる、ということだ。それは、エネルギーによって異なるが。このkが違う場合、その差がGでない場合の係数Cの集合は、それとは独立な波動関数を表すものとなる。つまり、(a)式でqはk+G(kは任意、Gはすべての逆格子ベクトル)のみのとき係数C(=C(q)が存在し、それ以外は「0」となる。この解をΨkと書くのである。

 繰り返せば、Ψkは、(a)式で、q=k+G(Gはすべての逆格子ベクトル)のみで展開される。それ以外の成分は持たない。 

 

 エネルギーが同じ場合、Ψk+G、という解の展開係数はΨkの展開係数と同じなのである。

 

 (c)式の固有値Eはエネルギーであり、あるqに対して無限個存在する。これが異なるバンドとなる。

 

 

 big boy.JPG

■(c)式の導出(多少おかしなところあるが・・・)

 

シュレージンガー方程式(hはh/2πとする)
(-h^2/(2m)*∇^2+U)Ψ=EΨ       (aa)

 

Ψ(r)のフーリエ積分
Ψ(r)=1/(2π)∫d^3q C(q)exp(iqr)       (bb)

 

ポテンシャルエネルギーのフーリエ級数
V(r)=Σ(G) V(G)exp(iGr)

 

これらを代入すると、

-h^2/(2m)*∇^2(∫d^3 q C(q)exp(iqr))
+(Σ(G) V(G)exp(iGr))(∫d^3q C(q)exp(iqr))
=E(∫d^3q C(q)exp(iqr))


(h*q)^2/(2m)*(∫d^3q C(q)exp(iqr))
+(Σ(G) V(G)∫d^3q C(q)exp(i(q+G)r)))
=E(∫d^3q C(q)exp(iqr))

 

両辺にexp(-ikr)をかけ、rで積分する。


(h*q)^2/(2m)*∫d^3q C(q)∫d^3rexp(i(q-k)r)
+(Σ(G) V(G)∫d^3q C(q)∫d^3rexp(i(q+G-k)r)))
=E∫d^3q C(q)∫d^3rexp(i(q-k)r)

 

(h*q)^2/(2m)*∫d^3q C(q)δ(q-k)
+Σ(G) V(G)∫d^3q C(q)δ(q+G-k)
=E∫d^3q C(q)δ(q-k)

 

(h*k)^2/(2m)* C(k)
+Σ(G) V(G) C(k-G)
=E C(k)

 

つまり、
*1

     

ああああああああああああああああああああああああ

 

*1:h*k)^2/(2m)-E) C(k)+Σ(G) V(G) C(k-G)=0    (cc)

 

となる。これが上の回答の(c)式である。これがkの数だけあることになる

 

 しかし、Gをあらゆる逆格子ベクトルとすると、(cc)式に現れるC(q)の集合はkによって分類できる。各類はCの系列(C(q)でq=k+G)についての固有方程式を形成していることがわかる。この類を示すものがkなのである。

 

  そして、Cは波数がk-Gであるものだけが0でないことがわかる。これは、

 

    Ψ(r)=∑(G)C(k-G)exp(-Gx)exp(kx)

 

であることを示しており、ブロッホの定理の証明でもある。

 

 このとき、kとしてあらゆるエネルギーにおいてブリュアンゾーン内のものに限るとき、これを還元ゾーン形式と言い、kとして自由電子のようにとるとき、これを拡張ゾーン形式と言う。

 

 たとえば1次元でgを最小の逆格子ベクトルとすれば、(h*k)^2/(2m)をAkと置いてみる。これでCは決定する。  この方程式の一部を行列で書けば、下のようない固有方程式になる。実際は無限の行と列になる。

                                                       

 

   行列.jpg

                                 -----(dd)

 

この固有方程式(dd)から、係数CとエネルギーEが求まる。つまり(bb)式でqが、

 

   q=・・・ k-2g、k-g、k、k+g、k+2g、 ・・・        (ee)

 

という波数についての係数Cが決定する。このqの平面波と係数C(q)で構成されたΨは、方程式(aa)を満足する。 つまり、(bb)式で、他のqの平面波に関する係数Cは「0」となる。

 (bb)式の成分にq=kがあれば、(ee)もある。(aa)を満たすブロッホ関数が、

 

Ψk=u1(k)*exp(ik*x)  (-g/2<k<g/2)

 

の場合、

 

Ψk= u1(k)*exp(-i*n*g*x) exp(i(k+n*g)*x) =u2(k)*exp(i(k+n*g)*x)

 

となる。これは、kを、-g/2<k<g/2 の範囲に限定しない表式、つまり、自由電子の延長上で考えたい場合になる。図1においてP点とQ点の関係になる。

 これが、質問、E(k)=E(k+G)? に対する答えである。

 

■kがふえてもエネルギーは減るのはどうして?

 

  式(dd)で、kとしてk+n*gを入れた場合E、C列の集合は同一となる。

 

  たとえば、k=gの場合を考える。V(0),V(g)のみ考え、式(dd)を3列に限り、C(-g)、C(0)、C(g)のみ考えると、

C(-g)=C(g)

と、

C(-g)=-C(g)

の場合がある。

http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1129897171

の質問にもある。

運動量は、それぞれの項でh*g、-h*gだから、全体では=0となってしまう。つまり、k=gのブロッホ状態の運動量は=0である。

 

  エネルギーはここの成分の和だが、運動量は正負成分で差し引かれるので、エネルギーが大きくなっても、運動量が減るといういうこともある。とくに、ゾーン境界付近では正負の波数をもつ成分が打ち消し合うので運動量は小さくなる。つまり、=0付近の波数となる。

 

  これは推測であるが、kをゾーン内としたとき、式(dd)の解で、C(k-ng)とC(k+ng)の関係は、

    C(k-ng)±C(k+ng)

の関係があり、

    C(k-ng)exp(i(k-ng)x)+C(k+ng)exp(i(k+ng)x)

    =Aexp(ikx)*(exp(ingx)±exp(-ingx))

    =Aexp(ikx)*cos(ngx)

or   =Aexp(ikx)*sin(ngx)

となり、これは波数k(運動量hk)の電子のxでの存在確率がsin、cos項であることを示している。もうしこうであれば、この状態の運動量<k|p|k>はkhとなる。しかしC(k-ng)±C(k+ng)が成り立たなくても、全体としてkh以外の運動量は打ち消されてしまうのかもしれない。ここのところは式(dd)をもっと検討しなくてはいけない。あくまでも推測である。このことは、k(ゾーン内)のブロッホ様態の運動量がhkである、とされていることから、証明されなければならないですね。しかし、ポテンシャルエネルギーVが=0になったとき、このことは成り立たない。こ境界(Vの有無における)で何が起きるのか?むずかしい問題ですね。さらに、Vがあるうちは、運動量|hk|はhg/2以上になれないのだが、Vがなくなると、そうではなくなる。ここ不思議である。いきなり、何がおこるのか?

 

   kとEの関係をE-k分散という。 (dd)式から、この関係には、

E(k)=E(k+G)

の関係があり、波動関数も同じである。 

  

  というのは、(dd)式では、

  k-->k+n*g

としても、式(dd)と同一なものになるからである。

 

  固有値、つまりEの値は、kによって変わるが周期的に関係になる。それは、1つのバンドを形成する。各バンドは離れ離れとなる。

 

  このkがバンド分散のときに現れるkであり、上の解説の帰結であるkなのである。

 

  もし、式(dd)でV(n)=0であったなら、すべてのバンドはつながり、

     E=(h*k)^2/(2m)

という1つの曲線になる。

 

 ブロッホ図 3-3.jpg

         図1 kとEの関係の表し方

 

 

 

  サンダーバード2.jpg

  

  ここで、もう一度考えてみる。簡単のために、V(g)、V(-g)以外は0としてみる。すると式(dd)は次となる。

 

 行列 2.jpg

                                    --(ff)

 

  kをk+gとしてみると、式(ff)は次になる。

 行列 3.jpg

                                     --(gg)

  これは、式(ff)と同じになる。よって、固有値EとCも同じになる。つまり、gの周期をもつことが分かる。

  さらにV(g)=0としてしまうと、式(dd)は次となる。

 行列 4-2.jpg

                                         --(hh)
  つまり、展開係数Cの間には、関係がなく、Eはその波数をKとすれば、

 

       E=AK

 

である。つまり、自由電子の運動エネルギーである。Vの存在がgの整数倍異なるKの状態を混ぜ合わせてしまい、エネルギーバンドを作ってしまうのである。 

 

  また、大きな固有値Eに対応するCほど、大きい波数の大きさがおおきくなり、また、kがゾーン境界付近ではC(-A)とC(A)は同じになり、ゾーン境界から離れると、どちらかが大きくなると思われる。

 

 

  次に群速度を考える。どうして、包絡線の速度が電子の速度なのかである。上の考察のとおりに、ブロッホ関数はkの周りの正弦波の和である。そこで簡単にブロッホ関数がk1、k2の指数関数の和であるとしてみる。

 

 Ψ=exp(ikx1-iω1t)+exp(ikx2-iω2t)

     =exp(ikx1-iω1t)+exp(ikx1-iω1t+i(kx2-k1)x-i(ω2-ω1)t)

     =exp(ikx1-iω1t)(1+exp(i(kx2-k1)x-i(ω2-ω1)t