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ブロッホ定理のわかりやすい解説 2 (ついに出た!)

ライター:mpcsp079さん(最終更新日時:2013/12/14)投稿日:2013/12/12

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ブロッホ定理のわかりやすい解説 2

 

(ついに出た!)

 

 

 1

ブロッホ定理(Bloch's theorem)のわかりやすい解説 1(ついに出た!) - SonofSamlawのブログ (hatenablog.com)

から続く。

 

http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n147426

 

にもこんなことが書いてあった。

 

    *************************

 

P183 (キッテル「固体物理」)
(λ_k-ε)C(k)+∑_G U_G*C(k-G)=0

 

からCを決定すれば波動関数ψ=∑_k C(k)exp(ikx)は 、

「ψ_k(x)=∑_G C(k-G)exp(i(k-G)x)となる 。


ここがわからないのですが、どなたかご教授お願いいたします

 

    **********************

 

 やっぱりここのところが難しいのです。もっと丁寧に解説しなければいけないのです。

 

 

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ここから、また先ほど引用した質疑の続きを引用してみる。

 

 ■ 質問者コメント

 ここまで丁寧に解説していただけるとは…嬉しいです、ありがとうございます!
はい、式はばっちり追えました!んですけどまだわからないところが(汗)ここまできてまたまた質問するのも気が引けるのですが…しっかり理解したいので聞きます!頭悪くて誠に申し訳ないです(汗)
ひっかかるのは
(1)>波動関数フーリエ変換においてΣ_{q}はΣ_{G}に置き換えてよく

(2)>C(q)とC(q-G)を関係付けるということ。つまりq≠k...mod G である運動量同士は全く関係なく、独立なシュレディンガー方程式を満足する。

(3)>q=k+Gで関係づくqとkは同じ波動関数を与える。

これです、この言葉の意味を理解できてないんです。
(1)&(2)フーリエ係数同士に関係式がない⇒独立な方程式の解になる⇒Σ_{q}はΣ_{G}に置き換えてよい
すなわちΣ_{q}の状態は、違うkをもったブロッホ関数たちの線形結合まで含めた形の解だということですよね?
じゃあ置き換えられたとして、
>要約するとシュレディンガー方程式の解としては一つのqにΨ(r)=Σ_{G}C(G+q)exp(i(G+q).r)という解が対応する。
ふつうに計算するとC(G+q)ではなくC(G)となるはずなのですが、ここでなぜC(G)がC(G+q)に取って代わってるんでしょうか?
ここがC(G)だったら最後の式はΨ(r)=Σ_{G} C(G)exp(i(k+G).r)=exp(ik.r)Σ_{G}C(G)exp(iG.r)となり、
k⇒k+g(g:ある逆格子ベクトル)とずらしたら、
Ψ(r)=Σ_{G} C(G)exp(i(k+g+G).r)=exp(ik.r)Σ_{G}C(G)exp(ig+G.r)となり、
最後の式で周期関数Uに取り込まれたexp(ig.r)の分だけ、元のものとは違う波動関数になるから混乱しています。
あ、それとも周期関数Uの部分はエネルギーには関係しないんですか?だからUとくくってやればいい、ということでしょうか。

(3)独立な方程式の解になるっていうことは…逆?に考えて「q=k+Gな結晶波数を最初にとったとして上のように計算していくと、結晶波数としてkをとった式(c)とまったく同じ連立方程式が得られる、同じ波動関数になる」ということでしょうか?

 

 ■ 回答

>>すなわちΣ_{q}の状態は、違うkをもったブロッホ
>>関数たちの線形結合まで含めた形の解だというこ
>>とですよね?

その通りだと思います。最初の波動関数フーリエ展開

Ψ(r)=Σ_{q}C(q)e^{iq.r}
=
[C(q1)e^{iq1.r}+C(q1)e^{iq2.r}+C(q3)e^(iq3.r)+..]

となっています。このqの和永遠に続いていますが、・・・で省略した項以降にはブリ・ゾーンからでたでたqの和、例えばq1+Gもありますq1+2Gもあります(G,2Gを独立な逆格子として書くと)。そしてこのqの和は

Ψ(r)
=
[C(q1)e~{iq1.r}+C(q1+G)e^{iq1.r}+....]
+[C(q2)e^{iq2.r}+C(q2+G)e^{iq2.r}+....]
+[C(q3)e^{iq3.r}+...]
+....

と書けますが、シュレディンガ方程式は最後の式で
[]でくくった係数C(q1),C(q2+G)...に対する条件を与えます。そして二行目、三行目はそれぞれの[]の
中でシュレディンガー方程式を満足します。その際に一行目と二行目、三行目は異なるEのシュレディンガー方程式を満足します。よってE=E(q1)の場合には一行目以外のCはずべてゼロとします。またE=E(q2)の場合には、二行目以外のCをゼロとします。
よってΨは

Ψ(q,x)=[C(q)e~{iq.r}+C(q+G)e^{iq.r}+....]
=Σ_{G}C(q+G)e^{i(q+G).r}

と書きます。(3)の質問は意味がわかりませんが、以上の説明で理解してもらえたでしょうか?

 

 ■質問者コメント

またまた丁寧なご返答、感謝です!
はい、その部分はしっかり理解できました!
自分が一番ひっかかってるところは
>ふつうに計算するとC(G+q)ではなくC(G)となるはずなのですが、ここでなぜC(G)がC(G+q)に取って代わってるんでしょうか?
のところです。
ふつうに計算すると、という意味は、#4の(a)式で Σ_{q} → Σ_{G} とすると、という意味です。
Ψ(r)は Ψ(r)=Σ_{G}C(G+q)exp(i(G+q).r)じゃなく
    Σ_{G}C(G)exp(i(G+q).r)となりませんか?
C(G+q)ではなくC(G)じゃありませんか?
(もしここがC(G)なら…というのが#4に(3)の前に長々と書いてしまった推測です)

その次に(3)の質問が出てくるんですが、
(3)の質問の意図は本当にkをk+Gにずらしても同じ波動関数が得られるのか?です。
同じ波動関数=同じフーリエ係数
なので、#4の証明の計算を最初から
kをk+Gに置き換えて行い、
#4の(c)式とまったく同じ連立方程式が得られる=まったく同じフーリエ係数が得られる=同じ波動関数となる んだろうか?という質問でした。
お忙しい中、こんなに時間を割いてもらってしまって申し訳ありませんm(_ _;)m

 

 ■ 回答

 #5の書き込みの意図が分りづらかったようですので、一次元で簡単に説明します。またq=(n/N)*bで一次元なのでb=2πです。またG=m*b=2πm (m=整数)です。
いかN=100として話をすすめます。式が長くなるのを防ぐために

C(q)e^{iq.x}
=C(n/N*b)e^{in/N*b.x}
≡f(n)

と書かせてください。するとq+Gで関係づくのは

C(q)e^{iq.x}=f(n)とC(q+G)e^{i(q+G).x}=f(n+N*m)

の成分です。ここでmod(G)で関係づく振幅をならべてみます。

F(n)={...,f(n-N),f(n),f(n+N),f(n+2N),....}

はGで関係づく振幅の集まりです。F(n)の意味はf(n)から出発して±N毎の間隔で振幅を集めたものです。
よってF(n)=F(n+N)は同じものです。F(0)=F(100)です。0から出発して±100毎にfを集めたものは100から出発して±100毎にfを集めたものに等しいですから。

ここまでが準備です。
=======================
Ψ = Σ_{q}C(q)e^{iq.x}

=....+f(0)+f(1)+f(2)+f(3)+......

=
(....+f(0)+f(0+N)+f(0+2N)+....)
+(....+f(1)+f(1+N)+f(1+2N)+....)
+(....+f(2)+f(2+N)+f(2+2N)+....)
+(....+f(3)+f(3+N)+f(3+2N)+....)
+........

とqの和はF(n)の集まりごとにまとめられますよね。
一行目はF(0),二行目はF(1)、三行目はF(3)の仲間に対する和です。そこで波動関数の各F(n)の集まりに対する和を

φ(n)≡Σ_{m=整数}f(n+m*N)≡Σ_{G}f(n+G)

と定義すると、

Ψ(x)=φ(0)+φ(1)+φ(2)+....+φ(99)

=Σ_{n=0,99}φ(n)    (nがB-Zoneに制限された和)

B-Zoneからはみだすnの和はφ(n)の定義の中に隠れています。

さて長くなりましたが、シュレディンガー方程式はGだけずれた波数ベクトルに対する方程式ですから、例えばφ(0)とφ(1)には全く関係を与えません。つまり、最初から

Ψ(x)=φ(0)=Σ_{G}f(G)

としてもシュレディンガー方程式を満足します。または

Ψ(x)=φ(1)=Σ_{G}f(1+G)

でも良いのです。一般に

Ψ(x)=φ(n)=Σ_{G}f(q+G)

が解です。n=0~99まで100個の解があります。
それならφ(0)+φ(1)も解かというと、それは違います。

シュレディンガー方程式を立てるとEがnごとに異なることが分りますから、その重ねあわせは許されません。

>> 自分が一番ひっかかってるところは
>> >ふつうに計算するとC(G+q)ではなくC(G)となる
>> はずなのですが、ここでなぜC(G)がC(G+q)に取っ
>> て代わってるんでしょうか?

少し言葉足らずでした。今の説明で分ったと思いますが、

Σ_{q} = Σ_{q=Bzoen}*Σ_{G}

と一般のqの和はGだけずれたqを集める和と、B-Zone内のqを集める和に分解できますね。これが出発点の波動関数にあった和です。そしてシュレディンガー方程式を立てると、C(q+G)とC(q)の関係がつくわけでした。関係がつく振幅は一つでも欠けるとシュレディンガー方程式を満たさないので、C(q)があるとC(q±G),C(q±2G),.....と全て必要です。
しかしC(q)とC(q+1)はGで関係付かないのでC(q+1)は必要ありません。一方でC(q+1)に対するシュレディンガー方程式はC(q)とEが異なることが分りますから、必要ないだけではなく、C(q)とC(q+1)を同時に含む和はシュレディンガー方程式を満たしません。どちらか一方だけ含むべし。

そんなわけでΣ_{q=Bzone}に関する和はとってはいけません。つまりf(n=0)を取るとf(n=1,2,3....,99)の振幅は全てゼロです。シュレディンガー方程式はn=1,2,3...に対するC(q)がゼロであることに抵触しませんから、振幅=ゼロはいつでもとれる一つの答えなわけです。

これは非常に長い書き込みになったので、もうやめます。これ以上の説明は無理だと思われますので、文章を何度も読んでよく考えてみてください。少なくとも2日は考えて、何度も読んでやはり納得がいかない場合は再度質問してください。質問事態は常に歓迎です。私も色々と勉強になりましたし。再度に、顔を向かい合わせて議論できる友人や先生を見つけてください。掲示板以上に得るものがあるはずです。

 

■ 質問者コメント

 

>しかしC(q)とC(q+1)はGで関係付かないのでC(q+1)は必要ありません。一方でC(q+1)に対するシュレディンガー方程式はC(q)とEが異なることが分りますから、必要ないだけではなく、C(q)とC(q+1)を同時に含む和はシュレディンガー方程式を満たしません。どちらか一方だけ含むべし。

わかりました!!!!ブロッホ関数がkに対してGだけの周期性を持つ理由、しっかり理解できました!同時にフーリエ変換というもの、基底展開というもの、固有値と固有関数に対する理解もぐっと深まったと思います!
この期間、atomicmoleculeさんの暖かいご回答ご忠告をうけることによって、自分がいかに他人に頼る甘い癖を持っているのかを感じました。長い間ご迷惑かけどうしで申し訳ありませんでしたm(_ _)mもっと精進していきます!貴重な体験ありがとうございました!