円筒座標でのマクスウェル方程式の解法
円筒座標で軸対称問題を解く。
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https://bbs.ednjapan.com/ADI/index.php?bid=4&v=1306126829QsGAEM
の21
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無限長円筒導体に電流密度j0で電流流したときの、各部のB,Eを
計算しました。再投稿で前のものが整理されています。
■ 真空で電荷なしでのマックスウェルの方程式は次のとおり。
divB=0 (1)
rotE+dB/dt=0 (2)
divE=0 (3)
rotB-(1/c^2)dE/dt=μ0*j(4)
ε0*μ0=1/c^2
光速c=3×10^8(m/s)ですから、(4)の左辺第2項は
ほとんど静磁界、静電界に近い状態を考察するとき、あるいは、
電流や電荷などのE,B発生の原因となるものの近傍での考察
では、省略してもかまわないことがわかります。
しかし、遠方ではこの解は急激に減衰しますので、この項を
考えたときの解、つまり電磁波解が重要となりますね。
■ 円筒座標によるrot演算は次のようになる。
http://www.f-denshi.com/000TokiwaJPN/20vectr/cpx01.html
より、
rotE=[1/rdEz/dΦーdEΦ/dz]er+
[dEr/dz-dEz/dr]eφ+
[1/rd(rEφ)/drー1/rdEr/dΦ]ez
(5)
■ 半径Rの円柱に電流密度j0*t(tは時間)で電流を流します。
tに比例した電流を流すことで、電界を発生させようとしています。
この電界に長さをかけることで電圧(逆起電力)がでて、インダクタンス
を計算しようというものです。
■ まず、円柱内(r=0~R)のBを求めます。
座標はr、Φ、zの円筒座標とします。
この場合、Bの成分は対称性よりBφのみになります。
(4)式で、低周波数の条件によって2項を省略すれば
(もし省略しなければ、簡単に計算できなくなる)、
rotB=j0*t*μ0 (6)
=1/rd(rBφ)/dr
=Bφ/r+dBφ/dr=j0*μ0*t
Bφ=Ar^nと仮定すると、
Ar^(n-1)+Anr^(n-1)=j0*μ0*t
これより、n=1
A=j0*μ0*t/2
となり、
Bφ=j0*μ0*t*r/2 (7)
■ 円筒外でのB(R<r)
(4)より電流がz方向のみなので、rotBのz方向のみである。
また、対称性よりΦ方向の変化もない。円筒外部では電流がないので、
右辺は0である。(5)より、
1/rd(rBφ)/dr=0
d(rBφ)/dr=0
Bφ+rdBφ/dr=0
変数分離で
∫dBφ/Bφ=-∫dr/r
In(Bφ)=-In(r)+In(C) :In(C)は積分定数
=In(1/r)+In(C)
=In(C/r)
Bφ=C/r
Bは連続であるから、r=Rで円筒内のBφに等しくならなければ
ならないので、
C/R=j0*t*μ0*R/2
C=j0*t*μ0*R^2/2
πR^2*j0を全電流I0と置くと、
C=μ0*t*I0/(2π)
となり、
Bφ=t*μ0*I0/(2πr) (8)
となる。
■ 円筒体内のEzを求める。
(2)より
rotE=-dB/dt
対称性と(5)、(7)より、
ーdEz/dr=ーj0*μ0*r/2
Ez=j0*μ0*r^2/4 + C
j0=0でEz=0だから、C=0、よって
Ez=j0*μ0*r^2/4 (9)
■ 円筒外のEzを求める。
(2)より
rotE=-dB/dt
対称性と(5)、(8)より、
ーdEz/dr=ーμ0*I0/(2πr)
Ez=μ0*I0/(2π)In(r)+C
ここで、C=μ0*I0/(2π)In(C1)とおくと、
Ez=μ0*I0/(2π)In(C1*r)
円筒内のEzの解のr=Rでの値と円筒外のEzのr=Rでの値は同じ
でなければならないので、
j0*μ0*R^2/4=μ0*I0/(2π)In(C1*R)
j0*μ0*R^2/4=μ0*I0/(2π)In(C1*R)
I0=πR^2*j0 だから、
j0*μ0*R^2/4=μ0*πR^2*j0/(2π)In(C1*R)
1/2=In(C1*R)
C1*R=EXP(1/2)
C1=1/R*EXP(1/2)
Ez=μ0*I0/(2π)In(EXP(1/2)*r/R)
=μ0*I0/(2π)(In(r/R)+1/2) (10)