NE5532の回路図と回路解析
オーディオでいまだに人気のあるオペアンプNE5532の概略回路図である。
この回路がどうしてよいのかは、いろいろな方々が解析されていますがいまひとつわかりません。
アナログとは、宇宙とはそんなものなのかもしれません。
■全体像
この回路図は、TI社のデータシートによりました。
図1 回路図 ユニティーゲイン周波数は10MHzです
図1-2 電流制限部分を除いた図
図2 回路解説
図3 ブロック図
図4 オープンループf得(フェアチャイルドデータシートより)
■C3NFBループ回路解析
図5 5532のブロック図(RA2はA2の初段のベース抵抗)
フィードフォーワードコンデンサC2について考察する。5532のA1は横型PNPBJTを含むので主波数特性が悪い。そのため高域ではC2によりA1をパスする。
図6 A1が元気なときの等価ブロック図
図6はA1が元気なときの等価ブロック図である。A2の電圧ゲインをーB(B>0)とする。C2’は負になる。しかし、A1の電圧ゲインは小さいのでC2の存在はおおきな影響はない。
図7 A1が死んだときの等価ブロック図
図7はA1が死んだときのもので、C2が信号パスとなっている。このときの詳細を図8に示す。
図8 A1が死んだときの詳細なループ図
図9 信号がA1とC2の並列で行くという考え
C4でフィードバックされたA2のIN端子電圧が、このC4によるフィードバックにより=0に保たれていると仮定するなら、A1からの電流 i1 はC2による電流ic2とA1による電流iA1の和になる。周波数特性は単純にこれらの和と近似できる。
■電流吸い込み時の負荷抵抗RLの影響
ここで、RLの下限値を考えるためにA1、A2ループの動作を図10で調べる。 RLが小さくなるとこのループは機能しなくなる。ヤバいことがわかる。この影響はRLから電流吸い込み時に問題となる。
図10 A3の動作
i=vi/RA+(vi-vo)/Z
(vi-vo)/Z-vi*Gm=vo/RL
i+vo/Z=vi/RA+vi/Z
i+vo/Z=vi(1/RA+1/Z)
vi=(i+vo/Z)/(1/RA+1/Z)
Za=1/(1/RA+1/Z)
として、
vi=(i+vo/Z)Za
((i+vo/Z)Za-vo)/Z-(i+vo/Z)Za*Gm=vo/RL
vo/RL
=iZa/Z+voZa/Z^2-vo/Z-i*Za*GmーvoZa*Gm/Z
vo(Za/Z^2-1/ZーZa*Gm/Z-1/RL)
=i(-Za/Z+Za*Gm)
vo/i=(-Za/Z+Za*Gm)/
(Za/Z^2-1/ZーZa*Gm/Z-1/RL)
ここで、条件(Gm大)を満たせば、
vo/i≒ーZ
となる。
1/RL<<Za*Gm/Z
でないといけない。Gm=20mSではRL=1k以下か・・・