SonofSamlawのブログ

うひょひょ

Vref 高精度バンドギャップ電源LT1019回路解析 旧

 

LT社と他の2社をあげるが、いずれもT*In(T)のエラー項を補正するものである。この項に比例した電流をつくり注入している。

 

■参考

3端子レギュレータ78シリーズの回路解析 - SonofSamlawのブログ (hatenablog.com)

■LT社のLT1019   

     図1 LT1019回路図

 

 図1ものはLT社の電圧リファレンスであり、温度ドリフトが typ 3ppm/℃ というものである。バンドギャップ型であり、下記の特許回路で2次補正している。

 

USP 4,603,291

NONLINEARITY CORRECTION CIRCUIT FOR BANDGAP REFERENCE

1986

が対応している。

 

   

        図2 USP 4,603,291の図

 

【準備】

 USPで冒頭の数式を理解するために、準備として、 

より引用する

  *******  引用  **********

 Vbe=VtIn(I1/Is)

 

vbe:ベースーエミッタ間電圧

I1:コレクタ電流


Is=(q*A*ni^2*Dn)/Qb=B*ni^2*Dn=B'*ni^2*T*μn

 

Qb:ベース中の不純物密度
μn:ベースでの電子の移動度
A:エミッターベースの接合面積
T:温度

B,B’は温度不変、アインシュタインの関係式μ=(q/kT)*DnがIsをμと
ni^2で表すのに用いられている。

μn=C*T^(-n)

と表しておく。


ni^2=D*T^3*exp(-Vg0/Vt)

Vg0:0度Kにおけるシリコンのバンドギャップ推定値
D、C:温度に不変な対して量で内容はこの場合重要でない。
μnの式のnはベース領域の不純物によりきまる。

以上を合わせて、

Vbe=Vt*In(I1)*T^(-γ)*E*exp(Vg0/Vt))

  =Vt*In(I1)-γ*Vt*In(T)+Vt*In(E)+Vg0   <---USPでは、これを使っているのか?

γ=4-n
である。

   ーーーーー ここで筆者意見 ーーーーーーーーーーー

ここで下の特許のために・・・

未知な値In(E)を消去する方法。

 

T=T0,I1=I10のときVbe=Vbe0であったとする。すると、

Vbe=Vt*In(I1)-γ*Vt*In(T)+Vt*In(E)+Vg0

Vbe0=Vt0*In(I10)-γ*Vt0*In(T0)+Vt0*In(E)+Vg0

これから、

In(E)=(Vbe0-Vt0*In(I10)+γ*Vt0*In(T0)-Vg0)/Vt0

これをVbeの式に代入して、
Vbe=Vt*In(I1)-γ*Vt*In(T)+Vt/Vt0*(Vbe0-Vt0*In(I10)

                            +γ*Vt0*In(T0)-Vg0)+Vg0
=Vt*In(I1)-γ*Vt*In(T)+(Vbe0*Vt/Vt0-Vt*In(I10)

                        +γ*Vt*In(T0)-Vg0*Vt/Vt0)+Vg0
=Vt*In(I1/I10)-γ*Vt*In(T)+Vbe0*Vt/Vt0+γ*Vt*In(T0)+Vg0*(1-Vt/Vt0)
=Vt*In(I1/I10)+Vbe0*Vt/Vt0+γ*Vt*In(T0/T)+Vg0*(1-Vt/Vt0)

 =Vt*In(I1/I10)+Vbe0*Vt/Vt0-γ*Vt*In(T/T0)+Vg0*(1-Vt/Vt0)

                                  ーーー (a)

下の特許ではこれにC1*kT/q(c1*Vt)を加えてVoutとしている。また、下の特許の中のnは上のγと

 

γ=n

の関係があると思われる。

ここの式が下の特許に使われている。

 

     ーーーーーー 筆者意見終わり ーーーーーーーーーーーー

 

 さらに進めて、

I1は温度で変わるとする。

I1=G*T^α

とおく。すると、

Vbe=Vg0-Vt**1

 

Vout=Vbe+K*Vt

   =Vg0-Vt*(γ―α)*In(T)+Vt*(K+In(E*G)

 

  ******* 引用終わり ************

 

 【USPより】

 

⊿Vbe=(kT/q))*In(A)

Vout=Vbe+VR4

      =  Vbe+GVR3

    =Vbe+(2R4/R3)*In(A)

 

 また、

Vout=C1*kT/q+Vg0*(1-T/T0)+Vbe0*(T/T0)+(kT/q)*In(Ic/Ic0)

+(nkT/q)*In(T/T0)                                             

                            (1)

 

   ーーーーーーーーーー 筆者意見 ーーーーーーーーーー                

  この式は上で導かれた式であるが、最後の項の符号はーの間違いではないかと思われる。Vout=C1*kT/q+Vbeであり、Vbeは上で導かれた形である。

 

 (1)式でIcもTに比例するので4項目からもT*In(T)に比例する成分が出てくる。

 

 上の式で最後の項は(nkT/q)*(In(T)-In(T0))であるから、T*In(T)の補正をすることがこの特許の目的である。

   ーーーーーーーー 筆者意見終わり ーーーーーーーーー

 

これをTで微分すると、

dVout/dT=C1k/q-Vg0/T0+Vbe0/T0+(nkT/q)*(1/T)-(nk/q)*In(T/T0)

+(k/q)*In((ic/Ic0)

 

    ーーーーーーー 筆者意見 ―ーーーーーーーーーーーー

 要は、IoとしてT*In(T)に比例した電流を得たいのである。図2において、

 

   Io=⊿Vbe/R41=(Vbe(Q41)-Vbe(Q42))/R41

    =(kT/(q*R41))*In((I41/I42)*(A42/A41))

 

A41,A42:Q41,Q42のエミッタ面積。

 

ここでI41∝T、I42=一定とすれば、

 

Io∝T*In(T)

 

これを図2のQ42のコレクタにいれて(1)式のT*In(T)の項を打ち消そうというわけだ。

 点42からIoを抜き取ることによって引き起こされるVref電圧の変化がIoに比例した形で起こるなら(1)式のT*In(T)成分は打ち消されることになる。

 

 (1)式は誤りがあるみたいなので(a)式で考えれば、T*In(T)項はー符号であるとすれば、図2でIoにより、フィードバック回路はVrefを引き上げることによってQ1の電流をより増やし、R1,R2の電圧を等しくする。つまりIoの変化(T*In(T)にそった)に比例してVrefを変化させる。この効果は+符号となりうまく打ち消されることになる。この動作によるQ1のコレクタ電流Icの温度変化は、これがないときのIcの温度変化に比べて無視できるくらい小さくなければならない。

   ーーーーーーー  筆者意見終わり  ーーーーーーーーーー

 

 ■Advanced Micro Dvicesの例

 

 USP 4,443,753

SECOND ORDER TEMPERATURE COMPENSATED BAND GAP

VOLTAGE REFERENCCE

1984

       図3 USP 4,443,753の図

 

 42の電流がT*In(T)に比例するようになっている。

 

■Analog Dvaicesの例

 USP 5,352,973

 TEMPERATURE COMPENSATION BANDGAP VOLTAGE REFERENCE

AND METHOD

1994 

   

       図4 USP 5,352,973

 

 Rc1の電流がT*In(T)に比例するようになっている。



  

 

 

 

 

 

 

*1:γ―α)*In(T)-In(E*G