SonofSamlawのブログ

うひょひょ

直接遷移と間接遷移、フォノンのわかりやすい考え方

 

  

ライター:mpcsp079さん(最終更新日時:2017/5/11)投稿日:2013/1/5    
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 直接遷移と間接遷移、

フォノンのわかりやすい考え方

     

 


           図1 直接、間接遷移

 

 http://www.ee.knct.ac.jp/teachers/takakura/zairyo/chapt7.pdf#search='yより

 

■ 間接遷移とは?

 

 間接遷移であるから発光しない、などと言われます。そのとき、フォノンが生成されてしまう? なんだかわかりませんね? でも、少し考えるとわかりますよ。このアイデアは、ごくわかりやすいところから出てきました。しかし、ちゃんとした本では、このことが言われません。もっと、もったいぶった理由が述べられています。

 

 さらには、説明に誤りがあるものも多く、大混乱です。ただでさえ難しいこの分野、ちゃんとした資料がほしいですね。

 

■運動量とエネルギー

 

 運動量は消滅できますが、エネルギーは消滅しません。これ不思議ですね。
半導体において、伝導体の電子と価電子帯のホールは時々衝突し、消滅します。そのとき、運動量は消えうせますが、エネルギーは消えうせません。それを我々は利用しているわけです。それは光ですね。
 伝導体の電子のkと、価電子帯のホールのk、つまり波数kが同じなら、つまり、量子力学でいうkで示される運動量が同じなら、衝突したとき運動量は消滅します。しかし、エネルギーは消滅しません。形を変え現れます。それは、結晶の振動か光です。

 

 

■運動量の不一致
 

 伝導帯の電子と価電子帯のホールの運動量、つまりブロッホ関数のkが値が
違っていた場合、それが逆符号でなかった場合、衝突したとき、運動量は消滅しません。
 価電子帯の電子が、結晶に捕獲されたとき、その運動量がホールにより消滅
されなかったとき、それを打ち消すものは結晶以外にはありません。そのとき結晶の運動量がその分増加します。そしてエネルギーも渡されます。量子論風に言えば、つまり、フォノンが励起されます。

 こう言えば、かなり当たり前な感じがしますね(^^

 

 

■運動量、間接遷移の場合


 この状況はk-Eグラフでわかります。伝導体と価電子帯のもっとも接近した部分で、遷移の確率は大きくなります。そこでの電子、ホールが衝突する確率が大ききなるが、運動量が打ち消されない場合。つまり電子とホールのkが違うから。

つまり、電子の運動量を0にするには、やっぱり結晶にぶつかるしかなかった。そこで、結晶に運動量とエネルギーが移される。

 

 電子とホールの衝突で運動量が消滅できなかった場合、最終的に電子は結晶

におさまるのであるから、その運動量は結晶に伝達される。そしてエネルギーも。

 

 

■そして

 

 電子とホールが反対の同じ運動量の場合、衝突で運動量は0になる。エネルギーは光として放出される。

 しかし、この運動量が異なった場合、差の運動量は結晶に移される。つまり、電子は、あるいはホールは、結晶にぶつかる。そして、結晶は振動する。

 ぶつかる電子とホールの運動量が異なる場合、その差がどこかに行く、ということですね。その差だけが問題。しかし、そのエネルギーは消滅しません、というのがあります。それはどこに行くのでしょうか? 運動量は消滅するが、エネルギーは消滅しない。よく覚えておいてください。考え付くのは、光か、結晶の振動、フォノンなのです。動いている電子を止めるのは、ホールか結晶しかない。ホールの場合、そのエネルギーは光になるが、結晶の場合、それはフォノンになる。

 

 

■おかしいなぁ・・・問題点を羅列してみる

 

 どうしてこんなことが、専門書に書いてないのでしょうか? それと、この関連の記事を見ていると、光子は質量=0だから、運動量=0である、と書いてあることがありますが、運動量は(h/2π)*kであるのであって、けして0ではありません。ただkが電子に比べ数ケタ小さいのです。このため、電子顕微鏡は光学のそれに比べ解像度が良いのですね。

 

 

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  それと、よくある質問に「間接型バンドのものではどうして直接遷移はおこらないのか?」というものがあります。ないのではなく間接遷移が支配的なのでしょう。他の遷移に比べて、発光が少ない遷移が圧倒的に多いのです。つまり、流れた電流の大半が上の間接遷移で終わってしまうのです。

 

 

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おまけ

実験はしらないけど、直観的にわかりますよ。

 電子とホールがぶつかって消滅するんでしょ?
このとき、両者の運動量が同じなら、合成運動量=0となり、結晶原子に運動量は行かない。これが直接遷移ですね。

 一方、両者の運動量が違えば、合体したとき、運動量は0にならないので、残った運動量は結晶原子の運動量になる。もったいぶった言い方では、フォノンが発生する。その運動量は、ー(電子とホールの運動量の和)です。当然エネルギーもフォノンに奪われてしまう。これが間接遷移ですね。電子とホールが結晶にぶつかって止まるんですから。何かが結晶にぶつかって止まった。このとき、結晶はうごきますよね?これが結晶振動、フォノンです。

 光子の波長λは電子に比べてはるかに長い、つまり、運動量h/λは電子に比べて十分小さいので電子・ホールの衝突のときに発生した光子の運動量は無視できる。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/間接遷移

から、

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  間接遷移半導体では、電子とホールの再結合の際外部の運動量を必要とするため、再結合寿命が長い。この寿命は、基板濃度に依存するものの、シリコンではミリ秒を超える場合もある。その拡散の間に表面順位や欠陥順位等にとらわれ発光を伴わない再結合を起こすため発光効率が著しく落ちる。

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