ライター:mpcsp079さん(最終更新日時:2013/6/14)投稿日:2013/4/13
微分回路設計
■微分回路の問題点
図1 危険な微分回路
微分回路では図1があるが、これは発振する回路である。OP AMPの伝達関数Gが、
G1=A/s
であるとすれば、図1の場合一巡伝達関数G2は、
G2=A/(s*(1+R1*C1*s))
であるので、R1*C1がゲイン交点で効いてくれば発振する。
この対策として、図2のようにC2、R2を入れる。ゲイン交点付近での特性を、
B/s
のの形にするのである。
図2 実用的微分回路
図3の場合の一巡伝達関数G3はつぎとなる。
G3=(A/s)*(R2+1/sC1)/(R2+1/sC1+(R1/sC2)/(R1+1/sC2))
このとき、閉ループ特性では、
f1=1/(2πR2*C1)
f2=1/(2πR1*C2)
とすれば、f1までが微分領域、f1~f2までゲインR1/R2領域、それ以上が積分領域である。
sC1R1
という微分になる。
■一巡伝達関数は?
さてこの場合、各周波数域で一巡伝達関数を調べてみる。
一巡伝達特性では、f<<f1では図3となりA/s近似できる。
図3 f1<fにおいて
f1<f<f2では図4のようになり、(A/s)*(R2/(R1+R2))で近似できる。
図4 f1<f<f2において
f>>f2では図5になり、(A/s)で近似できる。
図5 f>>f2において
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ゲイン交点は、f1からf2までの間にする。R1,R2により調整できる。この領域でゲインを下げゲイン交点がf1からf2の間にくるようにする。一巡伝達特性のゲインはこの領域でしか動かせない。
f1>f2となってはいけない。こうなると微分回路ではなくなってしまう。
C2は必ずしも必要ではない。
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図6 図2の回路の一巡伝達関数のf得とゲイン交点の設計