作者のロバート・ワイドラー
■参考
シャントレギュレータ431について - SonofSamlawのブログ (hatenablog.com)
3端子レギュレータ78シリーズの原理 - SonofSamlawのブログ (hatenablog.com)
Vref 高精度バンドギャップ電源LT1019回路解析 - SonofSamlawのブログ (hatenablog.com)
3端子レギュレータ78シリーズの回路図です。かなり正確なものに見えます。
東芝のデータシートからです。
この形のものが、ワイドラーによって考案された最初の「バンドギャップ電源」です。
図1 回路図
「New Developments in IC Voltage Regulators」
ROBERT. J. WIDLAR (National Semiconductor)
IEEE JOURNAL OF SOLID-CIRCUIT,VOL SC-6 NO.1 FEBRUARY 1971
に最初のアイデアが発表されている。この論文から引用する。図もコピーした。
図2 論文から
(Q2の電流密度J2はQ1の密度J1の1/10くらい低い)
ワイドラーの論文ではいきなり数式がでてくるから、
より、準備的な部分を引用する。
[http://:title]
------------引用ーーーーーーーーーーーーーーーー
VbeとI1の関係、
Vbe=Vt*In(I1/Is)
ここで
vbe:ベースーエミッタ間電圧
I1:コレクタ電流
Is=(q*A*ni^2*Dn/Qb=B*ni^2*Dn=B'*ni^2*T*μn
ここで、
Qb:ベース中の不純物密度
μb:ベースでの電子の移動度
A:エミッターベースの接合面積
T:温度
B,B’は温度不変、アインシュタインの関係式μ=(q/kT)*DnがIsをμと
ni-2で表すのに用いられている。
μn=C*T^(-n)
と表しておく。
ni^2=D*T^3*exp(-Vg0/Vt)
Vg0:〇度Kにおけるシリコンのバンドギャップ推定値
D、C:温度に不変な対して量で内容はこの場合重要でない。
μnの式のnはベース領域の不純物によりきまる。
以上を合わせて、
Vbe=Vt*In(I1*T^(-γ)*E*exp(Vg0/Vt))
=Vt*In(I1)-γ*Vt*In(T)+Vt*In(E)+Vg0 <-- ワイドラーはこれを使っているのか?
γ=4-n
である。
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ここで下の特許のために・・・
未知な値In(E)を消去する方法。
T=T0,I1=I10のときVbe=Vbe0であったとする。すると、
Vbe=Vt*In(I1)-γ*Vt*In(T)+Vt*In(E)+Vg0
Vbe0=Vt0*In(I10)-γ*Vt0*In(T0)+Vt0*In(E)+Vg0
これから、
In(E)=(Vbe0-Vt0*In(I10)+γ*Vt0*In(T0)-Vg0)/Vt0
これをVbeの式に代入して、
Vbe=Vt*In(I1)-γ*Vt*In(T)+Vt/Vt0*(Vbe0-Vt0*In(I10)+γ*Vt0*In(T0)-Vg0)+Vg0
=Vt*In(I1)-γ*Vt*In(T)+(Vbe0*Vt/Vt0-Vt*In(I10)+γ*Vt*In(T0)-Vg0*Vt/Vt0)+Vg0
=Vt*In(I1/I10)-γ*Vt*In(T)+Vbe0*Vt/Vt0+γ*Vt*In(T0)+Vg0*(1-Vt/Vt0)
=Vt*In(I1/I10)+Vbe0*Vt/Vt0+γ*Vt*In(T0/T)+Vg0*(1-Vt/Vt0)
=Vt*In(I1/I10)+Vbe0*Vt/Vt0+γ*Vt*In(T0/T)+Vg0*(1-Vt/Vt0)
下の特許ではこれにC1*kT/q(c1*Vt)を加えてVoutとしている。また、下の特許の中のnは上のγと
γ=n
の関係があると思われる。
ここの式が下のワイドラーの特許に使われている。
ワイドラーの特許より・・・
Log(e)は Inのことである。つまり自然対数。
Vbe=Vg0*(1-T/T0)+Vbe0*(T/T0)+(nkT/q)Log(e)(T0/T)+(kT/q)*Log(e)(Ic/Ic0) (1)
・・・上で導いた式である
Vg0はT=0でのバンドギャップエネルギーでシリコンで1.205(V)
Vbe0はIc0,T0でのB-E電圧。
最後の2項はネグれるので、(1)はつぎのようになる。
Vbe=Vg0*(1-T/T0)+Vbe0*(T/T0)
⊿Vbe=(kT/q)*Log(e)(J1/J2) (2)
Vref=Vg0*(1-T/T0)+Vbe0*(T/T0)+(kT/q)*Log(e)(J1/J2) (3)
これをTで微分する。
∂Vref/∂T=-Vg0/T0+Vbe0/T0+(k/T)*Log(e)(J1/J2) (4)
温度0ドリフトのため、次が満たされなくてはならない。
Vg0=Vbe0+(kT0/q)*Log(e)(J1/J2) (5)
【筆者コメント】
T=T0においてのVrefは、(3)に(5)をいれると、
Vref=(Vg0-(kT0/q)*Log(e)(J1/J1)) *(T0/T0)+(kT0/q)*Log(e)(J1/J1) =Vg0
つまり、Vg0=1,205Vとなる。ここからバンドギャップ電圧の名がついた。
図3 論文から(5Vレギュレータ)
R.J.Widlar,「Designing positive voltage regulators」IEEE,vol.17pp. 90-97,June 1969
も参考に