■現象
図1のようにオシロの芯線とGND線をつなげ、同相ノイズを入れると、オシロにはそれによる波形が観測されます。
ここで、プローブの同軸線から先の芯線の長さをLs、GND線の長さをLgとします。実験によると、Lg=0でオシロ波形は小さくなります。Ls=0にしても小さくなりません。
GND線を短くすることは、同相ノイズによる波形を小さくする効果があるのです。同相ノイズは、回路上にはないものなのですから、これが観測されると紛らわしいです。
さらに、観測だけの問題ではなく、実際にこのような状況では、同相ノイズがノーマルノイズになってしまうということです。
図1
■解析
理論的に考えました。
図2に等価回路示します。
図2
L2はプローブ芯線のインダクタンス(同軸部から出ている部分)、
L3はGNDリード、
Tは同軸部GND-芯線間のトランスであり、GND側はもれインダクタンスなし、芯線側はもれインダクタンスL1である。
ここで、もしGNDリードの長さLg=0、つまりL3=0であると、
V3=V2=V4
となり、R1に電流は流れない。つまりオシロに同相電圧成分は現れない。
しかし、GNDリードがそんざいすると、
V4>V3
となり、R1には電圧が現れる。
つまり、GNDリードがないと、同相電圧はオシロに現れない。
■結論
同軸線でなければ、かならずL3ができるので、同相電圧がオシロに現れてしまう。
GNDリードを短くすることは、LC共振だけでなく、同相ノイズを観測しないですむ、という点で重要である。