オペアンプの同相ゲイン観察回路
ナショナルセミコンダクタ社によるOP AMPのVoの同相電圧依存性の観察回路を紹介する。たしか、1980年代に公表された。その後、ロバート・ピース氏によっても公表されている。
これは、同相電圧に対して非線形な応答となる。つまり、CMRRなどは、本当は定義できない。この方法はそれを目で観察できるのである。
この回路は難解な回路である。測定回路が自分自身なのである。私は20年くらいの間に何度も理解を挑んだが、挫折した。こんなにわからない回路はない。最近、ようやく理解した(つもり?)のでまとめておく。
図1 CMRR観察回路
図1が測定回路である。電圧源B1は正弦波を入れる。電圧源B2は、OP AMPの同相電圧によるオフセット電圧であり、これの同相電圧依存性を測定するのが目的である。B2は同相電圧によって変化するOP AMPのオフセット電圧を表している。
まずSWをひらいた場合を考える。この場合、重ねの理を考える。B2による効果を打ち消すようにR3を調整する。これによりVoの変化を最小にする。完全に打ち消せなくてもよい。
つぎにSWを閉じる。重ねの理でB1,B2の影響を別々にを考える。R4の存在はB1からVoへは影響しない。しかし、ノイズゲインが上がるから、B2に対するVoへのゲインはR4が小さいほど上がる。それでVoにおいて、B2の効果のみが拡大される。
B1とVoをオシロスコープのXYで表示すればXは同相電圧、YはそれによるB2の変化となり、B2の同相電圧依存性が観察できる。
■SWを閉じたとき、どうしてR4がB1からVoへのゲインに影響しないかの証明
図2 SWを閉じたときのB1からVoへのゲイン計算回路
(テブナン等価回路)
図2はSWを閉じたときのB1からVoへのゲイン計算回路である。
条件はOP AMPのIN+-端子間電圧が0であることである。
B3=B4
である。これはR4に関係がない。
ただここで問題となるのはOP AMPのループゲインが、
R4/(R1//R2+R1//R3+R4)
倍に小さくなってしまうことである。つまり、あまりR4を小さくすると精度が落ちてくるので注意である。
参考
オペアンプOPAMPの同相電圧ゲインのモデル(CMRR測定のために)
http://note.chiebukuro.yahoo.co.jp/detail/n262478
■詳細な検討は
オペアンプの特性(問題点)調査